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Motoring

日本中をジャックする、“パーティー特殊部隊”が集結

© Maruo Kono
全国各地に出没しイベント(パーティー)をガンガンに盛り上げる、レッドブルのイベントカーとDJの面々。その実体を、ここに公開する。
Written by 中三川大地公開日:
Red Bull Event Car
Red Bull Event Car
日本で3回目の開催を迎えた今年のレッドブル・エアレースは、室屋義秀選手が優勝を果たし、GLAYのライブでも大いに盛りあがった。歴史に残るこのビッグイベントをサポートしたのが、アクションスポーツを主としたサイドアクトの数々だ。BMXにFMX、ブレイクダンスのショーケースなど、世界のトップアスリートたちが繰り出す超絶パフォーマンスは、そのどれもが来場者を熱狂と興奮に包んでいた。
これらパフォーマンスに欠かせないのが、ノリノリの音楽と共にオーディエンスを盛りあげるDJと、パワフルに鳴らす音響機器だ。しかし、会場となった幕張海浜公園は、彼らにとってベストなコンディションとは言い難い。海風には砂浜の砂が混じるし、雑踏の音も無視できない。そうした環境下でこそ活躍するのが、レッドブルの「イベントカー」である。以前、全国各地に現れてはその場をダンスフロア化してしまう、走るDJブースこと「MEGGA」の詳細をお伝えした。実は同様のイベントカーが日本全国に4台ほど生息しており、レッドブル・エアレースを盛りあげるという重要なミッションのもと、一挙集結。さらに今回は、その精鋭を同じ空間に集めることができるという、またとない機会を得た。(※注:“パーティー特殊部隊”はその能力の高さゆえに、普段は単独任務が中心となる)
Red Bull Event Car
Red Bull Event Car
メンバーは東京に本拠を置く前述のMEGGA、同じメガクルーザーをベースとした北海道エリアで活動するEZZO(蝦夷)、そして福岡エリアのKODO(鼓動)である。他に大阪エリア担当のsuggaが存在するが、KODOと同じ仕様だ。これらは、同じイベントカーといっても三車三様、それぞれに個性が異なるという。早速、それぞれの特徴を捉えつつ、イベントカーの実体に迫りたい。
   
世界基準のタフガイ
KODO
【↓の写真を左へスライドするとKODOがDJブースに変形していきます】
見るからにレトロなテイストをまき散らすKODOは、グローバル・スタンダードとなるレッドブル・イベントカーだという。ランドローバー・ディフェンダーをベースに、戦前から活躍するボルボの軍用車「VOLVO TP21」の上屋を被せた姿は、見るからに旧めかしい。ベースとなるディフェンダーだって基本骨格は70年前のもの。だが、これらイベントカーに使われる個体は生産年度が新しいものをベースにしているし、世界中で活躍する実績があるだけに、そのパッケージングは素晴らしい。優れた音響機器を備え、ひとりのDJが不満なくプレイできる空間を小柄な車体に凝縮した、イベントカーのよき見本例である。なにより、DJプレイを支えるだけの電力を自らまかなう発電機を備えている。クルマ側の燃料タンクとは別に、独立して発電機用の燃料タンクまで付いているのがなによりの証拠だ。たとえ地球の果てでもDJブースになるタフネスさ、これが世界で活躍する理由でもある。
とはいえ日本では難点もある。ヨーロッパで設計されたためか電圧が220Vであり、日本の音響機器を使うためには変圧器が必要となる。ほかにも、消耗品や補修部品の入手に苦労したりと、グローバル・スタンダードなKODOはその圧倒的な存在感の一方で、日本で使うとなるとひと手間が必要となるようだ。
   
日本が世界に誇るエンターテイナー
MEGGA
【↓の写真を左へスライドするとMEGGAがDJブースに変形していきます】
EZZO
【↓の写真を左へスライドするとEZZOがDJブースへ変形していきます】
そこで、メイド・イン・ジャパンのイベントカー、上記メガクルーザーベースの面々である。そもそもレッドブル・イベントカーは、活躍の地に応じて自由に製作することが許されている。ただし「日本で作るのであれば、日本らしくてユニークなもの」でなければならない。とはいってもイベントカーとしての役割を犠牲にすることは許されない。単にユニークなだけじゃなく、2トンにも及ぶ重い音響機材を積んでもヘコたれない堅牢さ、安心して悪路を突き進めるだけの走破性能、イベント会場で目立つ風体が必要だ。となると、日本ではメガクルーザー以上の適任はいなかった。
かくして、7年ほど前に登場したのが、メガクルーザーに敬意を表して命名されたMEGGAだった。巨体を活かしてルーフから飛び出す1200×1800mmもの大型LEDスクリーンが特徴だ。実際、世界のレッドブル・イベントカーを見渡しても、ここまで巨大なスクリーンを持つものは皆無だという。
東京に生息し、関東界隈で活躍するMEGGAに対して、2年ほど前に導入された同じメガクルーザーベースのEZZOは、また仕様が異なる。EZZO(蝦夷)という名前からして分かるように、これは北海道に生息している。となると、頻繁に出向くのがスキー場などでのイベントだ。ゆえにKODOやMEGGAでは完全にNGとなる雨や雪への対応が迫られた。そこでEZZOは、雨風を凌ぐためルーフが昇降するようになっていて、そこにスピーカーがつり下げられている。時に雨風(雪)をしのぐシェードも用意される。ルーフを上げた状態で構築されるDJスペースが広く、ふたりでプレイできるのもEZZOの特徴だ。なお、ルーフを昇降させるためにエアコンプレッサーが設けられており、その機構はリヤに背負い込んだスペアタイヤカバーの中に収納されている。
   
イベントカーの真の任務とは?
と、その風体は似通っていても、得意分野や個性はそれぞれ異なる。大型LEDスクリーンが必要であればMEGGAは東京エリアを飛び越えて全国各地どこへでも出向くし、雨風に強いイベントカーが必要となったらEZZOの出番だ。小回りが利いて外部発電が不要のKODOやsuggaのニーズだって少なくはない。
実は日本の全国各地には「DJブースを出したいけれど、コストやインフラの問題でなかなか実現が難しい」といったようなイベントが少なくない。そうしたイベントに対して、これらレッドブル・イベントカーは強力な助っ人となる。極端な話、クルマを停められるスペースさえあれば、DJがひとりで駆けつけて搬入から撤収までをこなし、しかも良質かつ迫力のあるサウンドで興奮のプレイをお届けしてくれるのだ。
Red Bull Event Car KODO Booth
Red Bull Event Car KODO Booth
実際、これらイベントカーを操るDJたちは、決して与えられた任務をこなすだけに終始してはいない。彼らは常日ごろから積極的に、活躍のできる場所を探して奔走している。そうした意味でレッドブル・イベントカーは、イベントを盛りあげるサポーターとしてだけでなく、「イベントをクリエイトする」役割を担っている。イベントカーがDJたちと共に創り出す“熱狂と興奮”という名のエナジーは、次はアナタの街へ届くかもしれない。
   
Red Bull Event Car
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