『Red Bull Midsummer』とは、日本のほか、ニューヨーク、ムンバイ、ウィーン、ベルリン、ロンドン、ロサンゼルスを含む世界7都市・3大陸で同日に実施されたグローバルイベント。太陽を祝福するとともに、世界各地のエレクトロニックミュージックカルチャーをつなぐ祝祭として開催された。
日本会場の舞台となったのは、海を望むインフィニティプールとボタニカルな景観が広がる「BOTANICAL POOL CLUB」。
当日は午前中こそ雲が空を覆い、午後には雨も降り出したが、その天候さえもイベントの一部となっていった。
雲間から差し込む光、水面を打つ雨音、プールサイドに響く電子音楽。晴天のリゾートパーティとは異なる、湿度と余韻をまとった特別な時間がそこに生まれていた。
朝の空気を整えたアンビエントサウンド
日本会場の幕開けを飾ったのは、緻密なリズム構築と独創的な音響デザインで知られるAlbino Sound。
鳥の鳴き声が聞こえる早朝の空気に寄り添うように、清涼感のあるアンビエントサウンドを展開。プールやサウナ、南国のような景色が広がる会場に、ゆっくりと音の輪郭を描いていった。
「会場にプールやサウナがあって、普段出演しているクラブやフェスとは全然違う空間でした。ライブでもフェスでも、ある程度みんな同じ方向を見るものですが、プールやサウナなど別のアクティビティがあることで、まったく異なる空間と時間軸が生まれる。その中でみんながひとつのときを過ごしているのがおもしろいなと思いました」
続くEita Godoは、ジャジーなアンビエント、波音を思わせるバレアリック、メロウなネオソウルを織り交ぜたDJセットを披露。朝の会場を柔らかく満たし、リラックスした時間を演出した。
Gigi Masinがつないだ、午前から昼への美しい時間
イタリアが生んだアンビエント・ミュージックの至宝、Gigi Masinも登場。
優しいピアノの旋律やシネマティックな音像を軸にしながら、時に身体を揺らすイーブンビート、インド音楽を思わせるサイケデリックな展開も披露。午前から昼へと向かう時間を、ゆるやかにつないでいった。
水と湿気のある環境で育ったというGigi Masinは、日本の島国ならではの空気感にも親近感を覚えたという。
Gigi Masin「会場も音響も最高でした。ヴェネツィア出身の私は水と湿気のある環境で育ちましたが、島国ということもあって日本はその環境に近く、まるで故郷にいるような気持ちになります。今日の会場は周りの自然も美しく、本当に素晴らしい空間で皆さんに楽しみながら過ごしていただけたと思っています」
自然に囲まれた会場の雰囲気と彼の音楽が重なり、プールサイドには穏やかで深い没入感が広がっていた。
雨の午後を踊らせたDJセット
午後には、Chloé Julietteが登場。幻想的なディスコからジャジーヒップ、ジャズファンク、ムーディーなハウスまで、コンセプトに寄り添う幅広い選曲で会場を盛り上げた。
続くKuniyuki Takahashiは、ルーパー、電子パーカッション、ガジェットシンセ、キーボード、ラップトップを駆使したライブセットを披露。浮遊感のあるアンビエントから壮大なサウンドスケープ、ジャジーなディープハウスまで、ストーリー性のある展開で観客を魅了した。
そして、この日の空気を一気に変えたのが、Licaxxx b2b FELINEによるスペシャルB2Bセット。
ハウス、テクノ、ベースミュージックを縦横無尽に行き来するアップリフティングな選曲を展開し、会場のテンションは一気に上昇した。
Licaxxx b2b FELINE「途中から雨が降り出したので、2人で話し合い、雨を吹き飛ばすようなブチアゲなDJセットにしましたが、お客さんもプールに入ったまま遊んじゃおうみたいな人もいて、雨の中でもみなさんに楽しんでもらえて嬉しかったです。それとロケーションがめちゃくちゃ良かった。こういうところでDJすることはなかなかないので、自分たちも新鮮な気持ちでプレイを楽しめました」
Vegynが締めくくった、夏の始まりの一日
夕暮れ時には、イベントのヘッドライナーを務めるロンドン拠点のプロデューサー、Vegynが登場。
シンセポップからエクスペリメンタル/レフトフィールドハウス、エレクトロニカ、ディスコ、シューゲーザーまで、ジャンルを横断する独自の世界観を展開。現代エレクトロニックミュージックの最先端を体現するようなセットで、夏の始まりを告げる特別な一日を締めくくった。
プール、サウナ、モクテル。音楽の外側にも広がった体験
『Red Bull Midsummer』の魅力は、音楽だけにとどまらない。
来場者は、海を望む全長40メートルのインフィニティプールや、ボタニカルな景色を眺めながら楽しめるコンテナサウナで、それぞれの時間を過ごした。パームツリーが並ぶプールサイドでは、プールベッドでくつろぎながら音楽に身を委ねる姿も見られた。
また、会場では「Red Bull Mocktail Workshop」も実施。レッドブルとフレッシュフルーツ、フレーバーを組み合わせ、自分だけのノンアルコールカクテルを作る体験が用意された。
さらに、DJブース裏に設置された円形モニターを通じて各都市の様子が中継され、午後3時30分からはムンバイ会場との接続がスタート。来場者は、日本にいながら世界各地で同時に行われているイベントの熱気を感じ、東京からロサンゼルスへと太陽を追いかけるように展開されるグローバルな祝祭の一体感を共有した。
晴れ間だけではなく、曇り空も、雨音も、プールに広がる波紋も、この日の一部だった。
『Red Bull Midsummer』は、夏の始まりをただ告げるだけではない。その瞬間にしか生まれない音楽、景色、人の熱気をひとつに束ねた特別な12時間を過ごすことができる、年に一度の祝祭なのだ。