Christian Horner took on the hill in 2013
© Leo Francis/Red Bull Content Pool
Red Bull Box Cart Race

Red Bull Box Cart Race:プロが教える最速カートの作り方

F1チーム Red Bull Racingのチーフエンジニアオフィサーが坂道バトルを制する最速・最強カートの作り方を教えてくれた!
Written by James Roberts
読み終わるまで:5分Published on
2017年10月22日(日)に東京・赤坂サカスで開催されるRed Bull Box Cart Race 2017では、愉快なデザインの手作りカートとそれに乗り込む勇気溢れるドライバーたちが会場に集まる観客を大いに沸かせることになる。
しかし、重力に耐えられる強度と誰よりも速いスピードを兼ね備えた手作りカートを組み上げるにはどうしたら良いのだろうか? そこで我々はハイスピードバトルについて多少の知識を持っている人物にアドバイスを求めることにした。
その人物がロブ・マーシャルだ。マーシャルはF1チームRed Bull Racingのここ10年の躍進に大きく寄与した人物として知られている。10代の頃から中古バイクの改造に夢中だった彼は、航空機製造業界でキャリアを築いたあと、Red Bull Racingのチーフエンジニアリングオフィサーの職に就いた。スピードと安定性を併せ持つマシンの開発はマーシャルの得意分野なのだ。
というわけで、さっそくモータースポーツの頂点で活躍するトップエンジニアに最速カートの作り方を教えてもらうことにしよう!

1:頑丈なベースを用意する

ベースには強度や安定性がすでに証明されている物を選ぶべきだ。Red Bull Box Cart Raceではゴーカートや自転車、またはその一部をベースにしている手作りカートを良く見かけるが、これらをベースにすればカートは壊れにくくなる。
Quotation
頑丈だが重すぎず、滑らかなベアリングを備えているカートが必要だ
ロブ・マーシャル
Red Bull Box Cart Raceのコース上にはジャンプや凹凸があるので、スムースなドライビングはできない。よって、頑丈なホイールと車軸が必要になる。Red Bull Box Cartでは、スタート直後は安定しているように見えるが、ジャンプ直後にホイールが壊れてバラバラになってしまうカートを良く見かける。頑丈だが重すぎず、滑らかなベアリングを備えたカートに仕上げる必要がある。
最速マシンの専門家ロブ・マーシャル

最速マシンの専門家ロブ・マーシャル

© Getty Images/Red Bull Content Pool

2:基本を押さえたらあとは自由

頑丈なフレームと4つのホイール、反応が良いステアリングホイールが備わった優秀なシャシーが用意できれば、その上に何を載せても問題ない。巨大なクリスマスケーキを載せても構わないし、空気抵抗を減らすデザインを施しても構わない。木材で組まれたフレームに車軸を打ちつけただけのカートなら、たった1回のジャンプでバラバラになってしまうだろう。
Quotation
非常に複雑なデザインが施されているカートは完走できない
ロブ・マーシャル
非常に複雑なデザインが施されているカートは完走できない。走行中に色々なことが同時発生してしまうからだ。ただ、誤解しないで欲しいのは、その中には本当に素晴らしいカートもある。最初から最後まで手作りで組み上げたカートを見ると「スピードも出ないだろうし、途中で壊れてしまうだろう」と思いがちだが、中には完走するカートもあるということだ。
Volkswagen Type 2(通称:ワーゲンバス)そっくりのカートをロンドンで見たのを覚えている。あれは本当に美しいデザインだった。最後はちょっと大変なことになっていたが素晴らしかったね!
ロンドンではワーゲンバスを再現したカートが登場

ロンドンではワーゲンバスを再現したカートが登場

© Nathan Gallagher/Red Bull Content Pool

3:最速カートの作り方

スピードを得るためには、まずドライバーの体重をできる限り軽くする必要がある。また、デザイン面で言えば、ドライバーシートの位置をできる限り低くして、ホイールの上ではなくホイールの間に収めるようにする。ドライバーシートの位置が高ければ転倒する確率が高くなる。
Quotation
旧時代のレーシングカーのようなデザインが理想的だ
ロブ・マーシャル
理想的なカートデザインは旧時代のレーシングカーだろう。空力デザインが導入される前の時代にサーキットを走っていた、4輪がむき出しのティアドロップ型のレーシングカーだ。このようなデザインにすればスピードが多少得られるはずだが、全てのカートが同じデザインでは観客としては退屈だ。とはいえ、基本路線としては間違っていない。
旧時代のレーシングマシンが理想のカートデザイン

旧時代のレーシングマシンが理想のカートデザイン

© Nathan Gallagher/Red Bull Content Pool

4:空力を考慮する

ユニークで魅力的なデザインが評価されるRed Bull Box Cart Raceで空力について真剣に考えるのは馬鹿げていると思うかもしれないが、空力は非常に重要だ。平坦な表面にゴテゴテと色々なものが貼り付けられているデザインではスピードはまず出ない。だが、空気抵抗をゼロにできないのも事実なので、最速を狙うのなら、空気抵抗を最小に抑える必要がある。低車高のカートなら空気抵抗を減らすことができる。
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頑丈なホイールと車軸が重要だ
ロブ・マーシャル

Red Bull Soapbox Race London 2015で記録されたクラッシュの数々をチェック! マーシャルのアドバイスを参考にして、こうならないように気をつけよう!

1分

Red Bull Soapbox Race London 2015 best crashes

It wouldn't be Red Bull Soapbox Race without some hilariously embarrassing meetings of face/road.

5:F1エンジニアの理想は?

私なら子供用のゴーカートをベースにするだろう。モーターではなくペダルを漕いで加速するタイプのゴーカートだ。その前輪の車軸とステアリングのメカニズムを流用して、そこに頑丈なホイールを加える。木材をベースにしているカートだとすぐに壊れてしまう。また、乳母車のような細いホイールやスポークを使っているカートは重さに弱い。頑丈なホイールと車軸を用意することが重要だ。
頑丈なホイールと車軸があればこのような事態を回避できる

頑丈なホイールと車軸があればこのような事態を回避できる

© Ali Bharmal/Red Bull Content Pool

私が自由にデザインできるとしたら、スピットファイア(第二次世界大戦で活躍した戦闘機)のデザインにするだろう。だが、主翼は折りたためるようにするので、空母搭載機のようなルックスになる。かつてRed Bull Soapbox Race(英国版Red Bull Box Cart Race。海外によって名称が異なる)の審査員を担当したことがあるが、ソッピースキャメル(第一次世界大戦で活躍した複葉戦闘機)のカートを用意したチームがいた。あれは本当に素晴らしかった!
そのチームが用意したのはソッピースキャメルだけではなかった。第一次世界大戦で英国軍が使用していたテントを用意して、口ヒゲ姿で制服を着込み、ティーを楽しむパフォーマンス付きだった。当時をパーフェクトに再現して完全になりきっていたんだ。あれには感心したよ!
Red Bull Box Cart Race 2017は10月22日(日)に東京・赤坂サカスで開催予定。詳細はこちら