Szymon Godziek rides his bike at Red Bull Rampage in Virgin, Utah, USA on 18 October, 2022.
© Bartek Wolinski/Red Bull Content Pool
MTB

【Red Bull Rampage 2023】マウンテンバイク セットアップ解説

【Red Bull Rampage】の容赦ない地形と強烈なインパクトを攻略するためには特別なMTBが必要だ。“世界最恐フリーライドイベント” 専用バイクはどのような設定になっているのだろう?
Written by Katie Lozancich
読み終わるまで:8分Published on
ビル2階分に相当するドロップ、ナイフエッジのように切り立ったエクスポージャー、無慈悲なほどに急峻な地形での特大テールウィップと360は【Red Bull Rampage】で使用されるバイクが "耐えなければならないこと" のほんの一部に過ぎない。
このイベントの過酷なコンディションは特別なバイクを要求する。それらは通常のバイクショップのショールームに並んでいるようなMTBとは完全に異なる。【Red Bull Rampage】で使用されるバイクは他と比べることができない特殊なもので、むしろラリーカーに近い。
【Red Bull Rampage】で競い合うライダーにとって “精度” は絶対だ。タイヤ空気圧の設定ミスなどのほんの小さな違いが強烈な360とクラッシュを分ける可能性がある。そして、このような精度はバイクの性能を含む無数のファクターに左右される。
【Red Bull Rampage】で使用されるバイクのフレーム、サスペンション、ブレーキ、ホイールは標準的なMTBと同じだが、全体を通じてユタ州ヴァージンの埃まみれの崖を走破するためのチューニングとセットアップが施されている。

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今回は、MTBシーン最恐とも言われる強烈な地形でのライディングのために組まれる【Red Bull Rampage】専用バイクと一般的なMTBの主な相違点を解説していく。
01

バイクの種類

【Red Bull Rampage】で用いられている最も典型的なタイプのMTBはダウンヒルバイク(以下、DHバイク)だ。DHバイクは “山を下る” というたったひとつの目的のために作られており、急峻で凹凸の激しい地形での高速走行に長けている。
UCIダウンヒルワールドカップ参戦ライダーたちやリフトでアクセスするバイクパークを走るライダーたちが厳しい地形を駆け下りられるDHバイクを好んでチョイスしているのは当然なのだ。
Red Bull Rampageではギャップ&ジャンプに対応できるセットアップが採用される

Red Bull Rampageではギャップ&ジャンプに対応できるセットアップが採用される

© Red Bull Content Pool

DHバイク最大の特徴はサスペンションだ。クロスカントリーバイクのトラベル量が100mm〜120mmなのに対し、DHバイクのトラベル量は200mmもあり、【Red Bull Rampage】のライダーたちにはこの豊富なトラベル量を必要としている。
また、【Red Bull Rampage】では丘を登るペダリングは不要なため、エンジニアたちは下りに特化したフレームに変更している。DH専用フレームはヘッドチューブアングルがより緩やかで、ライダーのポジションがはるか後方になるため、より大きな安定感が得られる。
【Red Bull Rampage】では他カテゴリーのMTBに備えられているオプション装備も取り外されており、ドロッパーポストやボトルケージは見られない。エンジニアたちはこれらの装備を取り外して空いたスペースを活用してショックの位置を工夫しており、バイクにユニークなキャラクターとルックスを与えている。
また、【Red Bull Rampage】には落差の大きなドロップが含まれることから、カーボン製フレームを見かける機会はほとんどない。フレームにはアルミニウムが用いられている。
02

サスペンション

まだ話は始まったばかりだ。普通のDHバイクでは【Red Bull Rampage】のスタート地点にも立てない。このイベントに出場するライダーたちは成功を確実にするためにバイクのあらゆる部分に重要な調整を加えている。【Red Bull Rampage】の地形に合った適切なバイクセットアップを見つける作業は科学に近いのだ。
【Red Bull Rampage 2022】ブランドン・セメナックのカスタムバイクとリアサスペンション

【Red Bull Rampage 2022】ブランドン・セメナックのカスタムバイクとリアサスペンション

© Robin O'Neill/Red Bull Content Pool

大まかに説明すると、追従性が高くて柔らかいサスペンションは急峻かつルーズな地形でより優れたトラクションを生み出す。逆に、硬めのサスペンションはジャンプに有効で、リップからの飛び出しで安定感が得られる。
【Red Bull Rampage】の難しさは、ライダーたちが凹凸の激しい地形とビッグジャンプ&フィーチャーの両方でライディングしなければならない点にある。
ゆえにどちらも問題なくライディングできる性能のバイクが理想とされるのだが、「リジッドバイクで凹凸の激しい地形を走る」方が「柔らかいサスペンションでビッグジャンプに挑む」よりも簡単なため、【Red Bull Rampage】のライダーたちはサスペンションを硬めに設定する傾向が強い。
突き詰めれば、サスペンションのセットアップはライダーごとに異なり、彼らは試行錯誤を重ねながらベストなセットアップを煮詰めている。【Red Bull Rampage】に合った絶対確実なセットアップは存在せず、最終的にライダーの好みに委ねられるのだ。
尚、【Red Bull Rampage】の経験が浅いライダーにはサスペンションが鬼門になる可能性が高い。最適解を見出すには経験を積む他に方法はないからだ。
【Red Bull Rampage 2022】で強烈なドロップを下るブランドン・セメナック

【Red Bull Rampage 2022】で強烈なドロップを下るブランドン・セメナック

© Garth Milan/Red Bull Content Pool

サスペンションフォークについては、ほんの2年前まではデュアルクラウン以外の選択肢は存在しなかった。デュアルクラウンはより硬くて長いトラベルを備えている一方、シングルクラウンは柔らかくトラベル量も少ないからだ。
しかし、シングルクラウンはトリックメイクがしやすく、バースピンやテールウィップをはじめとするその他の興味深いコンビネーショントリックをメイクできる。
そのため、サスペンションテクノロジーの大幅な進歩に合わせて、近年は【Red Bull Rampage】でもシングルクラウンフォークが見られるようになっている。
このように、MTBシーンの進化は【Red Bull Rampage】にもスピーディに波及しており、2021年にインターネットで話題となったブランドン・セメナックのテールウィップでも確認できるように、フリーライドは前進を続けている。
03

ブレーキ

堆積した砕石に囲まれた斜度65°のシュートや巨大なフィーチャーに向けてのドロップではスピードのコントロールが極めて重要だ。つまり、【Red Bull Rampage】で成功を手に入れるためには、ブレーキが非常に大きくて重要な役目を担う。
【Red Bull Rampage 2022】でのトーマス・ゲノン

【Red Bull Rampage 2022】でのトーマス・ゲノン

© Paris Gore / Red Bull Content Pool

整備の行き届いたレースカーと同じように、【Red Bull Rampage】のライダーたちも可能な限り正確で一貫性の高いブレーキを求めており、不測の事態を避けるためにブレーキオイルやブレーキパッドを常にフレッシュに保っている。ライダーたちにとって油圧ブレーキディスクは信頼できるチョイスで、最大限の制動力を発揮する大型の200mmローターも定番化している。
04

ホイール&タイヤ

29インチホイール(29er)はトレイルライドやレジャーサイクリストに人気のサイズだが、【Red Bull Rampage】で29インチホイールを見かける機会はおそらくない。その代わり、【Red Bull Rampage】のライダーたちはトリックメイクやコントロール性能を重視して小径ホイールを好んでいる。
愛車を背負うブレット・リーダー

愛車を背負うブレット・リーダー

© Paris Gore / Red Bull Content Pool

バイクの回転やフリップはホイールサイズが小さい方が楽にメイクできる。たとえば、26インチのダートジャンパーをフリップさせるのに使うエナジーと頑強なDHバイクをフリップさせるのに使うエナジーを比較するとダートジャンパーの方が劇的に小さい。
そこで、【Red Bull Rampage】のライダーたちは頑強なDHバイクを軽快にするために小径ホイールをチョイスしている。また、小径ホイールは回転速度が低くなるため、カミソリの刃のようなリッジラインでのスピードコントロールでアドバンテージも得られる。
結果、【Red Bull Rampage】で使用されるバイクの大半が前後共27.5インチか26インチのいずれかに統一されている。フロント27.5インチ / リア26インチの前後異径セットアップがチョイスされるときもある。
サスペンションと同様、【Red Bull Rampage】ではタイヤも硬ければ硬いほど良い。チューブレスタイヤでは、レジャーサイクリストの大半が空気圧を18〜28psi程度に設定しているが、【Red Bull Rampage】のライダーたちは35psiあるいはそれ以上の空気圧に設定する傾向が強い。
タイヤの空気圧を高く設定すれば、着地でタイヤがリムから脱落しないようになる。ただし、空気圧を高く設定してもリムからの脱落を絶対に防げるわけではない。
05

カスタムペイント&グラフィック

MTBコミュニティは【Red Bull Rampage】をMTB版のスーパーボウルとして扱っているため、現地に持ち込まれるバイクも様々なペイントやスタイルが施されて祝祭に華を添えている。
【Red Bull Rampage 2021】でのジャクソン・リドル

【Red Bull Rampage 2021】でのジャクソン・リドル

© Bartek Wolinski / Red Bull Content Pool

毎年、【Red Bull Rampage】ではアートギャラリー級のカスタムフレームが登場しており、過去にはゼブラ模様や大海に沈む夕陽、レトロな航空機のデカールを纏ったフレームが確認できた。これらのフレームに散りばめられたディテールにはライダーの個性が表現されている。
目を凝らせば、【Red Bull Rampage】の出場回数や歌詞など、普通なら気付かない隠れ要素を見つけることができるはずだ。ライディングと同じように、バイクも各ライダーのクリエイティビティやスタイルが反映されている。
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Red Bull Rampage

Now in its 22nd year, the premier big-mountain freeride event brings the world’s top riders to the toughest terrain in the world to showcase the biggest and baddest tricks, lines and sends!

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