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『GTAオンライン』は2013年10月、『GTAV』のリリースから2週間後に始まった。以来、『GTAV』のシングルプレイヤーモードを補完するために用意されたこのCo-Opマルチプレイヤーモードは、デベロッパーのRockstar Gamesに大きな経済的成功をもたらしている。
同社は『GTAオンライン』のリリースから2016年半ばまでにこのゲームの課金で5億ドル(約570億円)を稼いでおり、全タイトル合計だと単年で7億ドル(約800億円)を稼いでいる。
高額の予算をかけたAAAタイトルのビジネスモデルは "ハイリスク・ハイリターン" で、大半のデベロッパーはこのモデルを持続できない。このモデルは、大量の労働力と資金が必要になり、投資分を取り返せる保障もない。
しかし、Rockstar Gamesは自社開発タイトルの収益によって "クリエイティブ・フリーダム" を得ることができている。他のデベロッパーには不可能な「奥深さ」と「没入感」を自分たちのゲームに盛り込めているのだ。
2018年10月26日にPS4とXbox Oneでリリースされる『レッド・デッド・リデンプション2 / Red Dead Redemption 2』を例に取ってみよう。
Rockstar Gamesは約10年をかけてこのゲームの開発を続けてきたが、現在明らかになっている情報を元に判断すると、ディテールの追求度は前例にないレベルになりそうだ。
先日、Rockstar Gamesは今作の世界には200種類以上の野生動物が生息していることを発表した。これは前作『レッド・デッド・リデンプション』の38種類を大幅に上回る数字だ。
そして、11月からはCo-opマルチプレイヤーモード『レッド・デッド・オンライン / Red Dead Online』もスタートする予定だが、それまではRockstar Gamesはシングルプレイヤーモードを前面に押し出すことになる。
現時点では、『レッド・デッド・オンライン』の内容については、公式サイト上でのプレスリリースで触れられている内容しか明らかになっていない。
とりあえず分かっているのは、『レッド・デッド・オンライン』は前作『レッド・デッド・リデンプション』のマルチプレイヤーの進化版になるということだ。
2010年にリリースされたオリジナルのマルチプレイヤーモードには、オープンワールドを自由に放浪できるFree Roamモードや、DLCとして配布された協力モード、キャプチャー・ザ・フラッグに相当するゴールド・ラッシュモードや、デスマッチモードなどが収録されていた。
『レッド・デッド・オンライン』にも全てとは言わずとも、前作に用意されていたこれらのモードの大半が用意されるだろう。
また、『レッド・デッド・オンライン』はまずオープンベータとしてリリースされ、必要なバグ修正が行われたあと、正規リリースされる予定だ。
前出のプレスリリースには「大規模なオンラインコンテンツの多くがそうであるように、ローンチする際には多少の混乱が予想されます。私たちはコミュニティの皆さんと力を合わせ、ご意見をいただき、問題を解決し、『レッド・デッド・オンライン』をより楽しく革新的なコンテンツにしたいと考えています」と書かれている。
“コミュニティのため” ではなく、“コミュニティと一緒に” というこのアプローチは、Rockstarが前向きなフィードバックを積極的に取り入れていくことを意味している。
そこで今回は、『レッド・デッド・オンライン』が『GTAオンライン』による経済的成功を引き継ぐためにRockstar Gamesができることをいくつか提案してみることにする。
1:『GTAオンライン』のクローンは不要
『レッド・デッド・リデンプション』シリーズは、カジュアルプレイヤーの間では「高級車の代わりに馬車が用意されているところ以外は『GTA』シリーズと同じじゃないか」と思われている可能性がある。
しかし、両シリーズをプレイした経験がある人は、サードパーソンシューティングとオープンワールド以外に共通点がほとんどないことを知っている。
つまり、『GTAオンライン』のアイディアを『レッド・デッド・オンライン』にただ流用しても上手く機能しない。
本質的には、『GTAオンライン』は “ひたすら積み重ねていくゲーム” だ。犯罪を重ねて資金を増やし、種類が増え続ける高級車やヨットを次から次へと手に入れていく。このゲームの究極のゴールも、犯罪者としての履歴書のページ数を増やすことだ。
しかし、オリジナルの『レッド・デッド・リデンプション』での犯罪は、目的のための手段に過ぎなかった。ジョン・マーストンの匿名性や安全、そして妻と息子との幸せな時間を得るためのものだった。
『レッド・デッド・オンライン』では、このような「控えめな目的」が反映される必要がある。『GTAオンライン』よりも実質的で地味なモードにするべきだ。
2:よりパーソナルなカスタマイズオプション
『GTAオンライン』では、購入したヨットのデッキに寝そべったり、邸宅のソファでくつろいだりする時間はほとんどない。このゲームは常に「外で何かが起きている」からだ。
第一、『GTAオンライン』の住居には個人的な好みを加えられる部分がほとんどない。住居はただそこにあるだけだ。
小さなアパートでも巨大な邸宅でも、プレイヤーは玄関から飛び出して犯罪をさらに重ねていく。労働の対価を楽しむよりも、その対価をひたすら増やし続けていくのだ。
そこで考えるのは、『レッド・デッド・オンライン』で住居を自分で建てられたらどんなに楽しいだろうということだ。
ひと部屋しかないコテージを2部屋のバンガローへ拡大できたら? 水洗トイレにアップデートできたら? ニワトリ小屋を建てられたら? 誇りを持って面倒を見ることができる農地が持てたらどうだろうか?
西部開拓時代の入植者たちは、今よりも物が少ない中で荒れた大地を相手に戦っていた。『レッド・デッド・オンライン』がその時代背景を取り入れて、製品や商品の値段にもそれを反映させてくれたら最高だ。
3:犯罪以外のアクティビティの増加
犯罪以外の仕事の選択肢が用意されるべきだ。バーの主人、牧場主、馬商人、鍛治屋などになれたら楽しいだろう。
もちろん、Rockstar Gamesのゲームには犯罪とは無関係なアクティビティも常に用意されてきた。しかし、そのようなアクティビティで得られる報酬は生活を維持できるほどではないので、最後にはとんでもない金額のアイテムを手に入れるために裏社会へ戻ることになる。
二足のわらじが履けても面白いだろう。昼間は世間から尊敬される石油王で夜は卑劣な列車強盗というのは、興味深い緊張感を生み出すはずだ。
Rockstar Gamesは『レッド・デッド・リデンプション』シリーズに「名誉と名声」システムを用意してプレイヤーに選択の自由があることを強調しているが、「殺す」・「殺さない」よりも微妙で細かい選択肢が用意されるべきだ。
4:ロールプレイングコミュニティの取り込み
『GTAオンライン』では、ロールプレイングコミュニティがTwitchとYouTubeで流行した。
ロールプレイヤーたちは、他のプレイヤーとのロケットランチャーの撃ち合いを楽しむよりも、担当エリアをパトロールする警官や、救急車の運転手、ベンチで眠るヒッピーなど、ゲーム内のニッチなキャラクターを演じるのを好んでいた。
Rockstar Gamesがこのコミュニティに連絡を取り、何が機能して何が機能していないのか確認しても良いだろう。ジェスチャーや建物内のインテリアの種類を増やしてプレイヤーのインタラクションの自由度を高める新しい方法を見つけ出してもらいたい。
このようなスローペースでディテールが細かいゲーミングエクスペリエンスを好むプレイヤーとオーディエンスは確実に存在する。彼らの期待に応えても良いだろう。
5:荒らしの厳罰化
真実を言えば、『GTAオンライン』のロールプレイヤーたちの多く、そしてさらに多くのカジュアルプレイヤーたちは随分前にこのゲームから姿を消している。
なぜなら、ミッション挑戦中にトロール / グリーファー / 荒らしに邪魔されるのが嫌になったからだ。また、裏技を見つけて自分たちだけがロビーに入れるようにし、彼らや我々の前から姿を消したプレイヤーもいる。
彼らが裏技を見つける必要があったという事実は、「スポーツマンシップに反する」行為をする荒らしプレイヤーへの取り締まりを厳しくし、そのようなプレイヤーたちが集まるサーバーの停止期間を長くする必要があることを示している。両方とも確実に施行されるべきだ。
また、ルール無用の暴れん坊プレイヤー専用のエリアが用意されても良いだろう。Free Roamモードからそのようなプレイヤーが好むミッションをオプトアウトできるようにしても良い。
この問題を簡単に解決してくれるソリューションは存在しないが、楽しい時間を過ごしたいと思っている人への迷惑行為は通過儀礼ではない。
あらゆるプレイヤーを受け容れてくれるコミュニティを作り上げれば、そこで長い時間を過ごしたいと思うプレイヤーの数が増えるはずだ。
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