DIGGIN IN THE CARTS
© RED BULL MUSIC FESTIVAL
ミュージック

『DIGGIN' IN THE CARTS 電子遊戯音楽祭』を楽しむ3つのポイント

2017年11月17日(金)東京・恵比寿LIQUIDROOMにて、ゲーム音楽のライブイベント『DIGGIN' IN THE CARTS 電子遊戯音楽祭』が開催される。「ゲーム音楽のライブって行ったことないけど、どんな雰囲気?」、「ゲームに詳しくなくても楽しめるの?」…と、気になっている人の為に、イベントを楽しむための3つのポイントを、「週刊ファミ通」の元編集者でゲーム批評家:ローリング内沢が紹介。
Written by Rolling Uchizawa
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DIGGIN' IN THE CARTS

DIGGIN' IN THE CARTS

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① そもそも『DIGGIN' IN THE CARTS』とは?

『DIGGIN' IN THE CARTS』とは、2014年にレッドブル・ミュージック・アカデミーが公開した、日本のゲーム音楽の歴史とその魅力を探った全6エピソードのドキュメンタリー映像シリーズです。
8ビット・16ビットゲームの時代を中心に、当時のゲーム音楽が世界のミュージックシーンにどれだけの影響を与えてきたかを、日本のゲームミュージックコンポーザーおよび、世界で活躍するミュージシャンたちのインタビューを絡めながら紹介し、公開当時、世界中のゲームファンの話題を呼びました。
そんな"DIGGIN' IN THE CARTSプロジェクト"の一環として、今回開催されるのがゲーム音楽のライブイベント『DIGGIN' IN THE CARTS 電子遊戯音楽祭』なのです。
各エピソードは下記リンク先を参照のこと。映像を見て予習すれば、イベントがより楽しくなること間違いなしです。

② ゲーム音楽の魅力って?

「Diggin' in the Carts」とは、「Carts(ゲームカセット)をDigる(掘り探す)」という意味。よく「DJがレコードを"Digる"」なんて言いますが、それと同様に「素晴らしいゲーム音楽を掘り探す(紹介する)」という趣旨が込められています。
昨今のゲーム音楽は、ゲーム機の高性能化やメディアの大容量化などにより、フルオーケストラの生演奏も収録できるようになりましたが、8ビット・16ビットゲームのころは、現在と比べてゲーム機の性能も低く、限られた音色でさまざまな"ゲーム音楽"を生み出していた時代です。
DIGGIN’ IN THE CARTS

DIGGIN IN THE CARTS 01

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だからこそ、当時のゲームミュージックコンポーザーたちは知恵をしぼり、制限のあるメモリのなかで数々の楽曲を作り出していました。まさにそこには、短歌や俳句に通じる表現の美しさがあります。
そんな当時のゲーム音楽の名曲を"掘り探し"、その持ち味や醍醐味はそのままに、いま風のテクノ、ハウス、ブレイクビーツといったジャンルにアレンジしてお届けするのが『DIGGIN' IN THE CARTS 電子遊戯音楽祭』なのです。
Diggin' in the Carts

Diggin' in the Carts

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③ 多彩なアーティストが出演、数々の名曲を披露!

本イベントには、さまざまなゲームミュージックコンポーザーやミュージシャンが出演します。
現在発表されているのは、『メトロイド』や『ドクターマリオ』などの楽曲を手掛けた元任天堂のChip Tanaka(田中宏和)氏。ゲーム音楽史/ゲーム史研究家でご自身でもゲーム音楽やチップ音楽の作編曲を手掛けるHally氏。はたまた、マルチメディアアーティスト/ゲームデザイナー/作曲家のOsamu Sato氏。さらに、"テクノ・ゴッド"ことテクノミュージシャンのKen Ishii氏が出演します(ちなみにKen Ishii氏は、『Rez』や『LSD』、『ルミネスII』といったゲームに楽曲提供もしています)。
古代祐三氏(写真右) と 川島基宏氏(写真左)

古代祐三氏(写真右) と 川島基宏氏(写真左)

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そして、ヘッドライナーを務めるのは、ゲームミュージックコンポーザーの古代祐三氏と川島基宏氏。なお、古代氏と川島氏が手掛けた『ベア・ナックル』シリーズのBGMは、当時のデトロイトテクノやシカゴハウスに影響を受けて制作され、そのゲーム音楽の枠に捕らわれないサウンドは、Flying Lotus(フライング・ロータス)やJust Blaze(ジャスト・ブレイズ)といった著名アーティストらが、「影響を受けた」と語るほどの名曲です。
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本イベントのライブアクトでは、そんな『ベア・ナックル』シリーズや『ザ・スーパー忍』といった名作のライブバージョンが披露される予定だそうです。
さすがに当時のゲーム機とゲームソフトを揃えて、実際に遊びながら予習をするのは敷居が高いですが、Youtube等にゲーム映像がアップされていますので、ぜひゲーム名を検索してチェックするのをオススメします。