サイクリング

ロードバイク:下り坂攻略ガイド

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上り坂については様々な情報が存在するが、最高速に達するのは下り坂だ。ロードバイクのダウンヒル攻略アドバイスを、英国人サイクリングコーチが授けてくれた。
Written by Charlie Allenby公開日:
ロードバイクのスピードアップをテーマにした記事は、上り坂を中心にしたものが多い。傾斜がきつくなればライディングがタフになるので、サイクリストたちはその辛さを少しでも楽にしてくれる細かい調整やトレーニングを欲しているのだ。
しかし、その坂の頂点に到達したあとに待っている、曲がりくねっていて急傾斜の下り坂にはどう取り組めば良いのだろうか?
「上り坂を苦にしていないサイクリストは多いですが、彼らは、下り坂は苦手としています」と語るのは、Rule 5 Cycle Coachingを主宰するイアン・ジェナーだ。
「サイクリストたちが最も懸念しているのは落車です。自宅から遠く離れている、高速のロングセクションでの落車は絶対に避けたいものですから」
では、下り坂はどのようにマスターすべきなのだろう? 今回は、短期間で下り坂での自信を身につけるための8つのヒントをジェナーが解説してくれた。
Riders come down a steep hill in the Dolomites.
ドロミーティの山々を縫って走る

1:自信を身につける

「下りが苦手なら、自信を持ってライディングできるようになる必要があります」
「肘をハンドルバーのサイドに載せるフードポジションは快適ですので、このポジションで坂を下るサイクリストを多く見かけます」
「ですが、ドロップポジションを取ればバイクのスピードが増し、コントロールもしやすくなります。両手がブレーキに添えられ、重心位置が下がるので、コントロール性が向上するのです」
「コーナーリングテクニックなどに目を向ける前に、ドロップポジションでのライディングに慣れておきましょう。これをマスターすれば、他のテクニックも自然と身についてきます」

2:ハイスピードを怖がらない

「現代のロードバイクはダウンヒルをかなり高速でライディングできるよう設計されていて、直進性も高くなっています」
「多くの人がウォブル(編注:高速走行時にバイクが細かく横揺れする現象)を恐れていますが、ハイエンドなロードバイクでは起こりません」
「力を抜いてリラックスし、バイクに身を任せれば、ライディングが楽になります」
「サイクルコンピューターのモニターに目を向けて『60km/hも出ている!』と驚くより、感覚に任せましょう。数値は気にせず、自分が快適でいられるスピードでライディングしてみましょう」
チェダー・ゴルジを下るサイクリスト
チェダー・ゴルジを下るサイクリスト

3:ブレーキの使いどころを見極める

「下り坂で絶対やってはいけないことのひとつは、ブレーキをかけ続けることです」
「ホイールリムが過熱すれば、修理したばかりのインナーチューブのゴムのりが溶けてしまいますし、最悪の場合、タイヤがバーストしたり、リムから脱落したりします」
「そうではなく、タイミングを見ながら軽くブレーキをかけていけば、快適なスピードが維持できます。極端な加減速を繰り返すよりずっと楽なはずです」
「あとは、コーナー進入前に減速を終えておくことも重要です。ヘアピンカーブへの進入時は、タイヤを路面に着けておくのが難しくなります。旋回時に内側の脚を上げ、外側の脚を下げれば、タイヤが路面から離れなくなります」
「コーナーリング中にブレーキをかけてしまうと、バイクに過剰な力が働き、フロントホイールのコントロールを失ってしまいます。どんなにコーナーリング速度が低くなろうとも、減速はコーナー進入前に済ませておきましょう」
「あとはブレーキを操作せず、流すようにコーナーを回り、適切なタイミングでペダリングを再開させましょう」

4:コーナー出口に視線を向ける

「コーナーリングのベストアドバイスは “コーナーの出口に目を向ける” ですね」
「多くのサイクリストがハンドルバーの前だけを見ています。ヘアピンカーブ進入時にその出口に視線を向けるようにすれば、自然にコーナーを立ち上がれるようになるはずです」
「また、走行ラインも大事です。できるだけ直線的なラインを選びましょう。ただし、安全第一ですので注意が必要です」
「急角度で折り返すヘアピンでは、坂の先に目を向けて対向車を確認しましょう。対向車が来ていないなら、ややワイドに開いて、直線的なラインでコーナーを抜けていきましょう」
マルホランドドライブを下るティム・ジョンソン
マルホランドドライブを下るティム・ジョンソン

5:身体を緊張させず、リラックスさせておく

「経験の浅いサイクリストが本格的な下りで遭遇する問題のひとつが、坂を下り終えたあとに感じる肩甲骨や手腕の痛みです」
「多くの場合、これは身体を緊張させ続けていることが原因です。20分ほど同じポジションでライディングするので、サドルの上でなるべく身体をリラックスさせる必要があります」
「下り坂は、必ずしも傾斜が一定ではありません。平坦なセクションもあれば、傾斜がやや緩やかなセクションもあります」
「このようなセクションに入ったら身体を動かしたり、フードポジションを取ったりして、身体を休ませましょう。ほんの少しでも身体を動かすだけで、痛みを感じずに下りきることができます」

6:下り坂ではペダリングするべき?

「できるタイミングがあるなら、なるべくした方が良いですね。というのも、スポーティブやグランフォンド(編注:長距離系エンデュランスイベント)では、上り坂と下り坂が交互に続くからです」
「このようなレースでは、脚を動かさないまま20分間坂を下ったあと、平坦なセクションを少し走れば、またすぐに上りです。下りで脚を動かさなければ、脚の筋肉が硬いまま平坦なセクションや上りに挑むことになります」
「ですので、スピードに影響しないレベルで構わないので、可能ならば、坂を下っている間にペダリングをしましょう。脚を動かしておけば、次の上りで役立つはずです」
Riders descend during the Quebranthahuesos sportive.
バイクと共に過ごす最高の1日

7:地道に経験を積み、スキルを磨く

「テクニック向上は傾斜が緩い下り坂で取り組むのがベストです。コーナーリングドロップポジション、コーナーでの視線の向け方に集中しましょう」
「傾斜のきつくない下り坂でテクニックをマスターして自信を得たら、次は傾斜が少しきつい坂でトライします。テクニックが万全になれば、あとは自然に身につくので、問題なく下り坂に取り組めるはずです」
「サイクリストは、下り坂で飛ばしたいタイプとスピードを出したがらないタイプに大きく分けられますが、どちらのタイプでも、テクニック向上に取り組めば、より快適にライディングできるようになります。超低速で下る時でもテクニックは役に立ちます」

8:自動車に注意する

「誰もが下り坂でのテクニックを極めたいと望んでいますが、安全第一です。対向車はもちろんですが、サイクリストたちを追い越していく車もいます」
「至近距離で追い越していく車は、平坦なセクションでもサイクリストに恐怖を与えるので、さらにスピードが上がる下り坂では、かなりの緊張を強いる存在になります」
「高速で下っているサイクリストに気を遣って車が十分なスペースを必ず取ってくれるわけではありません。50km/h〜70km/hの高速走行中に、わずか30cm横を車が追い越していくのはかなりの恐怖です」
「ひとまとめに言えば、常に道路の後方に注意しておくことは非常に良いことなのです」