この世の中に “成功の方程式” は存在しないが、成功を手に入れている人たちの生活をチェックすれば、ひとつの共通テーマ、“ルーティン” が見えてくる。
「朝はテクノロジーを完全にシャットアウトする」や「タスクをリスト化する」など、英国を代表する起業家たちに成功に役立つルーティン、つまり、“必ずやっていること” を教えてもらった。
1. 順番をつけたTo-Doリストを前夜に作成する
学生用賃貸物件検索サイト “SPCE” の共同設立者兼CEOのレオン・イファイェミは、製品開発のヴィジョン、戦略、マネージメントを公開することで、株主価値を生み出している。
「毎晩寝る前に優先順位をつけたリストを作成して、日中のストレスを減らそうとしています」
「第1の理由は、午前中の仕事から判断系のタスクをなくすためです。というのも、私の中で一番生産性が低いのが午前中だからです。第2の理由は、仕事の効率を高めるためです。邪魔が入ったり、計画を立てていなかったりすると、生産性が大きく下がってしまいます」
「というわけで、私は翌日にやるべきことの優先順位リストを前日に用意して、オフィスでのパフォーマンスを高めています」
2. 早起きする
セレブリティ御用達のヘアスタイリストとして活躍中のジェイ・バーミンガムはエジバストンでブティックサロンを経営している。
彼の平均的な1日には、エクステンションのセットからレッドカーペット用のスタイリングまで、ありとあらゆる仕事が含まれている。
「1日を無駄にしないために、午前7時より前に起きるようにしています。他の人たちよりも早起きすればその分だけ使える時間が増えます」
「“早起きは三文の徳” は本当ですよ。世の中が忙しなくなる前に静かに集中を高めることもできます」
「また、この時間を使ってエクササイズも定期的にこなしています。集中し直して、クリアな頭で1日を迎えられますからね。頭をクリアにするというのは、非常に忙しい毎日を送っている僕にはとても重要なんです」
3. 朝はテクノロジーをシャットアウトする
グローバルデートコーチのサミ・ワンダーは、VIPクライアントのコーチング、セルフスタディプログラムの考案、グループセッションの指導などを行っている。
「1日のムードを決めるという意味で、朝は非常に重要な時間です。わたしは朝食前にスマートフォンやラップトップに触りません。ここは絶対に譲りません。メールやクライアント、仕事を健康より優先してしまうのは簡単だからです」
「毎朝バルコニーでひとり静かに過ごし、自分を良いムードへと導いています」
4. 全体のバランスを取る
ジェームズ・ベルは英国政府関係のコミュニケーション部門で働いている人たちのための団体、Government Communications Serviceのキャンペーンリーダーで、英国中央省庁や内閣を対象にした各種キャンペーンを実施している。
「世界のどこへ行く時も、必ずジム用ギアと長年履いているスニーカーを携行して、宿泊先のホテルのジムで短時間のランニングやワークアウトをこなすようにしています」
「身体を動かすのは、フィジカル面だけではなくメンタル面にも効果があるからです」
「コミュニケーション部門は人間関係がベースですので、平日は社交をすることが重要になります。大抵の場合、その場所はパブなので、エクササイズをしてパブ分のカロリーを消費してバランスを取っています」
5. 朝に散歩する
シェフとして働く傍ら、ポッドキャスト『Desert Island Dishes』を配信しているマギー・ノムラは、料理・調査・ポッドキャストの編集に忙しい日々を送っている。
「犬の散歩が1日の中でとても重要な時間ですね。新鮮な空気を吸えますし、デスクやキッチンから距離も取ることもできます」
「朝起きたらまず家を出て、20分ほど散歩するようにしています。これが、その日の生産性に大きな違いをもたらしてくれるんです」
6. 毎日15分プラーナーヤーマをする
フリーランスグローバルストラテジストで、Legacy Business Schoolの創設者でもあるニミシャ・ブラムバットは、クライアントとのミーティング、ビジネスプランの策定、コンサルタント業をやりくりしながら1日を過ごしている。
「わたしのお気に入りのストレス解消法は、インドのヨーギン、ラームデーヴから教わったプラーナーヤーマ(呼吸法)です。毎朝15分行って、エナジーレベルを高めています」
「消化力も高まりますし、就寝前に行えば、睡眠の質も高まります。これら全ては、生産性を高めるのに重要な要素です。プラーナーヤーマは気持ちを落ち着かせて、集中力を高めるのに向いています」
7. 起床後に感謝する
ギャビン・ブローメンは、『Tinder』世代の “マッチングゲーム” の解毒剤として立ち上げられたプログラム “thegroundwork.co.uk" の共同設立者で、世間の意識を高めながら、技術的な問題の修正や製品の改良に取り組んでいる。
「僕は占星術に興味を持っているので、“星への祈り” と名付けたルーティンを取り入れています。全ての曜日は星と結びついています。たとえば、月曜日は月ですし、土曜日は土星です」
「数年前にインターネット上である情報を見つけて、それを自分なりに取り入れることにしました」
「起床したあと、その曜日の星に感謝の気持ちを述べることをルーティン化しています。感謝することで集中力を高めているんです」
8. 午前中に30分のエクササイズをこなす
装飾デザイナー / アーティストとして活躍中のダイアン・ヒルは、クライアントのためのサンプル制作や壁画の用意、壁紙の採寸など、1日で様々な業務をこなしている。
「メールのチェックと仕事の整理から1日を始めます。そのあと午前10時から30分はワークアウトです。このワークアウトは、エナジーを充填して気持ちを高めるのに欠かせないですね」
「また、わたしは自宅でひとりで働いているので、気分転換にもなります。ワークアウトのあとは午後6時半まで働きますが、音楽は常にオンです。音楽は生産性を高めるのに欠かせませんね」
9. 3項目に分けられたTo-Doリストを作成する
ポップコーンの代替品、Not.Cornの創設者として知られる起業家ルシーナ・シャーは、試食や戦略会議、小売店との連絡などに追われる日々を送っている。
「わたしにはオタク的なところがあるので、いつもパーフェクトなTo-Doリストを作成しようとするんです。まず、15分くらいかけて、1日の目標をリストアップしていきます」
「次にそれを3項目に分けます。1つ目は “大嫌いな仕事”、つまり、必ず最初に終わらせる仕事です。そして、2つ目は “大好きな仕事” で、3つ目は “個人的な予定” です」
「3項目に分けたリストを作れば、1日が生産的になりますし、ひとつずつリストを消していくことで大きな満足感が得られます」
10. 早く出社して立ちながらミーティングする
英国で急成長中のフィンテック企業のひとつ、Chipの創設者兼CEOのサイモン・ラビンは、チームのマネージメント、投資家とのミーティング、新商品の開発などを担当している。
「チームが出社する前、午前8時にはオフィスに着いています。重要なメールを送ったり、アイディアをまとめたりするためです」
「そして午前9時頃には全員が出社するので、マネージメントチームと立ちながらコーヒーを飲み、その日のムードをセットアップしつつ、予定について確認します」
「立ちながらのミーティングはエナジーが生まれますし、会話のペースも良くなります」
11. “フロウ” を得る
メカニカルエンジニアのジョノ・テイラーは、一般消費者用、医療用、B2B用の革新的な製品のデザインを担当している。
「僕のルーティンの核には、僕が “フロウ” と呼んでいるものが置かれています。これは、デザイン作業に完全に集中している状態を指します」
「この “フロウ” が邪魔されてしまうと、3Dモデルのエディット中に何かを忘れてしまい、プロトタイプのどこかに不具合が生まれてしまいます」
「理想的な “フロウ” を得るためには、BGMとしてBrian Enoのような静かなアンビエントを流すのが良いですね。また、僕の場合は、他の予定を終わらせる、またはあらかじめスケジュールを組んでおくことも重要です。こうしておけば、何かを気にしながら仕事をしなくて済みます」
「チョコレートを少しつまむのも役に立ちますよ!」
12. 月曜の仕事後にスポーツを楽しむ
ヴァレンティーナ・クリステンセンは、数十億ドル規模のフィンテック企業、ACORN OakNorthの成長・コミュニケーション部門ディレクターで、イベントの管理やスピーチの台本作成、メディア対応などを担当している。
「毎週月曜日に仕事を終えたあと2時間バドミントンを楽しんでいます。週始めに他人と競い合うことで1週間のムードが決まります。 “勝利” に向けてメンタルを整えることができるんです」
「このようなメンタルはヨガなどでは得られません。また、『Zero to One』や『Brotopia』など、インスピレーションに溢れるビジネス書も読んでいます」
13. 仕事とプライベートを完全に分ける
栄養セラピストのレイチェル・ケリーは、自然食品による健康管理を提唱するNature Provides Ltd.の設立者でもある。
「仕事とプライベートは完全に分けていますし、無意識で分けるように努力しています。ビジネスの成功は、四六時中働くこととイコールの関係ではありません」
「仕事を終えたあとの自由時間では、クリエイティブに考え、自主的・個人的なアプローチで物事に取り組んでいます」
「わたしの中で最も重要なのは、テレビを見ないこと、あとはビジネス以外でソーシャルメディアを使わないことですね」
14. スマートフォンを寝室に持ち込まない
ギフトサービス “Don’t Buy Her Flowers” の設立者ステフ・ダグラスは、イメージ撮影やサプライヤーとのミーティング、ウェブサイトのアップデートなどに1日を費やしている。
「自営業はいつもやることがあり、終わりが来ません。Don’t Buy Her Flowersの立ち上げから1年経った頃、わたしは “限界状態” にならないためにはスマートフォンのスイッチをオフにすることが重要だということに気が付きました」
「ですので、スマートフォンを寝室に持ち込みません。就寝前や起床後にメールやソーシャルメディアをチェックすることはありません。こうするだけで気持ちが落ち着き、自分をコントロールできるようになるのは驚きですよ」