佐賀ワキ(藤沢市議会議員)さん
© Takaki Iwata
スケートボード

『スケートパーク建設は地方自治体にとって大きなチャンス!?』佐賀ワキ(藤沢市議会議員)さんインタビュー

日本有数のパブリックパーク、鵠沼海浜公園スケートパーク建設に一役買った男、佐賀ワキさんにぶつける3つのテーマ。 第2回は『スケートパーク建設は地方自治体にとって大きなチャンスか!?』をお届け!
Written by Matsui Tatsuya/ Edited by Hisanori Kato
読み終わるまで:6分Updated on
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・第1回 『スケーターは地方自治体にとって悪なのか!?』は【こちら
・第3回 『パブリックスケートパークの作り方!』は【こちら
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第2回 【スケートパーク建設は地方自治体にとって大きなチャンスか!?】

ーー佐賀さんは横乗りカルチャーを知りながら、街作りを行う市議として活動をしているわけですがスケートボードって街作りの観点からどのような位置付けにあるものなのでしょうか。
佐賀ワキ(以下:佐賀)「良い街づくりを考えることは市民の暮らしをどのように充実させるかを考えることです。端的に言えば、安全な環境を作るとか、充実したサービスを提供するとかそういったことですね。スケーターの人たちも藤沢市民なので等しく考えないといけません。もちろん僕自身スケート文化に思い入れはありますが、特に区別はせず平等に大切だと思っています
ーースケーターも藤沢市の重要な一部分ということですか?
佐賀「そうです。サーフ文化をはじめとする横乗りカルチャーは藤沢市のアイデンティティにもなっていますからね。古くは湘南海岸公園に太陽の広場という場所があり、誰もがそこでスケートをしたり、曲を流してブレイクダンスをしたりできたんですよ。地元のスケーターはみんな太陽の広場でグラインドトリックを覚えたもんです。僕はChattyクルーの北村“Zizow”浩一くん(※)ともそこで初めて出会ったんです。その後、高校で同級生となって今でも良い仲間として付き合っています。僕に限らず多くの人がサーフ、スケートカルチャーを通じた人と人のつながりを作っていったんです。今ある藤沢市のイメージはそういった過去の上に成り立っていると思っています
  • ※ 北村“ZIZOW”浩一:湘南藤沢エリアを拠点とする伝説のスケートクルー“Chatty Chatty”の最年長スケーター。テクニカルなライディングで日本スケートシーンをネクストレベルに押し上げたレジェンド。
佐賀ワキ(藤沢市議会議員)さんに聞く、『スケートパーク建設は地方自治体にとって大きなチャンスか!?』

佐賀ワキ(藤沢市議会議員)さんに聞く、『スケートパーク建設は地方自治体にとって大きなチャンスか!?』

© Takaki Iwata

ーースケートボードは今の藤沢市を形成する重要なパーツのひとつであると。
佐賀「そりゃそうですよ。そういうアイデンティティに魅力を感じるからこそ、少なくない人数の若い人が移住してきているわけですから。僕が議員になった22年前と比べて藤沢市の人口は6万人以上増加しているんです。人口減少傾向にある現在でこれはなかなかすごい数字で、小さな市区町村一つ分くらいの人数が藤沢市に流入しているんですよ。もちろんその全てがサーファー、スケーターだと言うつもりはないですが、彼らは藤沢市に魅力を感じて移住してきてくれているわけですから、少なくともそういった文化が根付いた土地に価値を見出してくれていることは間違いないでしょう
ーースケートボードが街を発展させる一因になっていると聞くとすごく嬉しいですね。
佐賀「良い街作りに若い人の存在は欠かせませんからね。街がスケートボードを受け入れることで、若者が集やすい活気ある街を作れると言えるのかもしれませんね
佐賀ワキ(藤沢市議会議員)さんに聞く、『スケートパーク建設は地方自治体にとって大きなチャンスか!?』

佐賀ワキ(藤沢市議会議員)さんに聞く、『スケートパーク建設は地方自治体にとって大きなチャンスか!?』

© Takaki Iwata

ーーこれからの街作りにスケートパークは欠かせない!というのは言い過ぎですか?
佐賀「極端ですけどあながち間違ってもいないんじゃないですかね。街の発展の客観評価の一つは人口推移ですから、そこに寄与できるカルチャーの醸成が大事なことは確かです。移住する人はその街の“ライフスタイル”に魅力を感じて移住してきているんですね。朝、サーフィンしてから仕事に行く、週末はスケートパークで思う存分楽しむ、そういったカルチャーが藤沢にあるということが当たり前という意識が根付いていますよね。だから湘南オープンのような大規模なサーフイベントも市と協力して開催できるようになったんです。今世の中の流れ的にもアウトドアやサーフ、スケートのようなライフスタイルを大切にする生き方が注目されていますから、スケートパーク建設などは住民の生活の質を上げる効果もあるのではないかと期待できます
Red Bull Mind The Gap

Red Bull Mind The Gap

© Kazuki Murata

  • 2021年10月2日には、鵠沼海浜公園スケートパークで前述のChatty Chattyクルー全面協力のもと、Red Bull Mind The Gapというスケートコンテストも行われた。
ーーそういったカルチャーベースのライフスタイルを生み出す環境整備も行政のカバーする範囲なんですね。では、スケートパークの建設って地方自治体にとってチャンスになりうると思いますか?
佐賀「大いになると思いますね。街の魅力を再発見して町おこしするのも良いですが、新しいカルチャーを取り入れることもすごく大事。そうすれば若い人が集まって活気のある街が生まれやすくなります。活気のある街作りにつながる可能性があるなら、行政としては真剣に取り組む価値のあるプロジェクトですよ。素晴らしいスケートパークで町おこし、なんて聞いただけでワクワクするじゃないですか。幸い今は藤沢市をはじめとして先例となる街がいくつもあるんですから、他の自治体も随分やりやすくなってると思いますよ。ぜひ多くの自治体で取り組んでもらいたいと思いますね。藤沢市の視察、意見交換ももちろん大歓迎です
佐賀ワキ(藤沢市議会議員)さんに聞く、『スケートパーク建設は地方自治体にとって大きなチャンスか!?』

佐賀ワキ(藤沢市議会議員)さんに聞く、『スケートパーク建設は地方自治体にとって大きなチャンスか!?』

© Takaki Iwata

◆まとめ◆

スケーターがよく口にする「スケートボードはカルチャーである」という言葉。これって意外と理解されない考え方だったりする。スケートボードって街中でする危ないスポーツだよね、くらいの認識を持たれて悔しい思いをしたことも多々あります。だからこそ、佐賀さんが「カルチャーが街を発展させる」「スケーターは街の一部」と力強く言うたびに心にグッとくるものがありました。それは、理解されているという実感が持てたこと以上に、スケート文化が街にとって何らかの貢献になっていると認められたからかもしれません。
「でも、僕らの街には肝心のパブリックパークがないんだよ!」という人も多いはず。そこで第3回のテーマは、「パブリックスケートパークの作り方!」とし、佐賀さんにスケートパーク建設の経緯や方法をお聞きしたいと思います。
◆Information
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