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ラリーレイド

『Yalla』:ダカール・ラリー2輪王者がブルジュ・ハリファ最上部を目指してドバイを爆走!

ダカール・ラリー2017で2輪総合優勝を飾ったサム・サンダーランドが世界で最も高いビルの最上部を目指してゴルフコースやショッピングモールなどを含むドバイの名所を走り回った動画をチェック!
Written by Joe Caron Dawe
読み終わるまで:6分公開日:
ダカール・ラリー2017の2輪部門総合優勝経験を持つサム・サンダーランドが、最新動画プロジェクト『Yalla / ヤラ』で “オフロードライディング” を再定義した。
アラビア語で「急ぐ」または「行こう」を意味する言葉がタイトルに冠されたこの最新動画で、サンダーランドはドバイを縦横無尽にライディングしている。KTM 450 SX-Fに乗った彼は、好きな場所を制限なく走り回った。
そして、世界で最も高いビルとして知られる全高830mブルジュ・ハリファに到着して160階までエレベーターで上がったサンダーランドは、そこからは自力で梯子を90分かけて登り、このビルの最上部に立った。
好きなロケーションを好きなように走ることができました
サム・サンダーランド
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実現までのプロセス

『Yalla』のアイディアの種は、サムがラリーキャリアをスタートさせたばかりの頃に撒かれていた。当時ドバイに拠点を置いていたこの英国人ライダーと仲間たちは、この都市が擁する美しいゴルフコースの数々に驚き、モトクロッサーでこれらを自由に走り回る自分たちを夢想したのだった。
そしてある日、彼らは建造中に破棄されたゴルフコース予定地をモトクロッサーで走るチャンスに恵まれた。サンダーランドは次のように回想する。
「自分たちの夢をあらためて意識しました。破棄された予定地を走ってみて、本物のゴルフコースでライディングできたら最高にクールだろうなと思ったのです」
そして、サンダーランドのこの思いは、2019年にヘリコプターからブルジュ・アル・アラブへのドロップインなど多様なライディングでドバイを巡ったBMXライダー、クリス・カイル動画プロジェクトを見たことで、さらに強くなったのだった。
エミレーツ・ゴルフクラブを駆け抜けるサム・サンダーランド
エミレーツ・ゴルフクラブを駆け抜けるサム・サンダーランド
エミレーツ・ゴルフクラブは、『Yalla』でサンダーランドがライディングしたスペシャルロケーションのひとつだが、本人は今作のアイディアが実現した背景を次のように説明している。
「自分のバイクでライディングしたい夢のロケーションを好きなだけ挙げることができました。制限はありませんでした」
「好きなロケーションを好きなように走ることができました。また、ブルジュ・ハリファの最上部など、考えてもいなかったロケーションを訪れることもできました。とんでもない経験になりましたね!」
ブルジュ・ハリファの最上部では立ちすくみました
サム・サンダーランド
サンダーランドは全高828mを誇るブルジュ・ハリファの最上部に立った
サンダーランドは全高828mを誇るブルジュ・ハリファの最上部に立った
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ブルジュ・ハリファ最上部

“無制限” の自由を得たサンダーランドがロケーション候補からブルジュ・ハリファを外す理由はなかったため、彼らはこの超高層ビルの最上部へ向かうことにした。最上部はモトクロッサーを持ち込めるほど広くなかったが、ダカール・ラリーで彼が直面してきたような不毛で孤独で荒れ果てている砂漠と同じくらい恐ろしくてスリリングだった。
ブルジュ・ハリファの最上部に立ったサム・サンダーランド
ブルジュ・ハリファの最上部に立ったサム・サンダーランド
「正直に言いますと、ブルジュ・ハリファの最上部では立ちすくみましたよ。160階までエレベーターで上がったあと、90分ほど登り続けてまだ外が暗いうちに最上部に出ました。日の出が見られるように、午前2、3時頃に登り始めました」
「最上部へ出るためにはハッチを開けて登る必要があるのですが、スタッフが開けたハッチから外を覗いた瞬間、 “これ以上進みたくない!” と思いましたね」
最終的に、サンダーランドはレーシングスーツを着たままそのハッチを出て狭い最上部に立ち、ヘリコプターからその姿が撮影された(上)。本人は「強烈でしたね。本当に凄かったです」と振り返っている。
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チャレンジ

撮影は愉快に楽しく進んだが、同時にチャレンジングだった。撮影期間は8日間連続で、1日の撮影が14時間に及ぶこともあった。さらに、サンダーランドにはこのタフなスケジュールに向けて準備をする時間もなかった。
ドバイの砂漠を爆走するサム・サンダーランド
ドバイの砂漠を爆走するサム・サンダーランド
「撮影前はラリー・モロッコに2週間参戦していたのですが、最終日の前日に食中毒にかかってしまいました。それでレース後にすぐに自宅へ戻ったのですが、1日休んだだけでドバイへ向かい、翌日から撮影を始めました」
『Yalla』のサンダーランドは、乗り慣れているエンデューロバイクではなくモトクロッサーを採用したため、初日を使ってライディングに慣れる必要があった。そしてもちろん、誰も言葉にしなかったが、サンダーランドと撮影クルーの頭の中には不慣れから来る怪我の心配があった。
ラクダの群れの真横を駆け抜けるサム・サンダーランド
ラクダの群れの真横を駆け抜けるサム・サンダーランド
しかし、最大のチャレンジは意外なところに潜んでいた。それはブルジュ・ハリファの最上部に立つことでも、ショッピングモール “ラ・メール” の全速ライディングでも、ゴルフコースのバンカーでのビッグジャンプでもなかった。サンダーランドは次のように振り返る。
「正直に言いますと、一番怖かったのはブルジュ・アル・アラブ前でのちょっとしたジャンプでした。ブルジュ・アル・アラブを背景にして何かしたいと思っていたので、小さな橋を越えるジャンプを準備したのですが、着地のスペースがほとんどないことに気付いたのです。着地した直後にヤシの木と低木が立っていたので、着地直後に直角ターンをする必要がありました」
本人が一番難しかったと振り返るブルジュ・アル・アラブのジャンプ
本人が一番難しかったと振り返るブルジュ・アル・アラブのジャンプ
「橋でのジャンプの長さは着地スペースの3倍もあったので、余裕がなくて大変でしたね。今回の撮影を通じて最も小さく、最も目立たないジャンプだったはずですが、本番は本当に怖かったですね」
サンダーランドにとって、純粋なハイライトは “ラ・メール” に隣接するビーチでの撮影だった。
ラ・メールを走り抜けるサム・サンダーランド
ラ・メールを走り抜けるサム・サンダーランド
「あそこはクールでしたね。ジャンプ用にダウ船(帆船の一種)を用意してくれたんです。とんでもないアイディアでしたが楽しかったですね。ツーリスト用ビーチを走ってボートをジャンプで越えようとしたのですが、現地入りしたあと、ジャンプするポイントに植えられている植物を傷つけてはいけないと言われたのです。ですので、少しアレンジして、茂みと木の間にラインを用意したのですが、最終的にはすべてが上手くいきましたね」
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キャリア最高のプロジェクト

サンダーランドは撮影経験が豊富だが、『Yalla』は大きな期待がかけられていたため、本人にとってはキャリア最大のやり甲斐を感じるプロジェクトになった。
かなりのプレッシャーがかかっていました
サム・サンダーランド
「『Yalla』はレベルが違いましたね。カマズのラリートラックやプジョーのラリーマシンと一緒だった『Gardians of Dakar』のようなクレイジーな撮影も経験してきましたが、今回はそれらとは大きく異なっていました」
「大がかりな準備が必要でしたし、撮影クルーも大所帯でしたので、かなりのプレッシャーがかかっていました。あとは僕が自分の役割を果たせるかどうかだったんです。ですが、すべてが噛み合って上手く進めることができました。撮影クルーが経験豊かだったので助かりましたね」
サム・サンダーランドが参戦中のダカール・ラリー20221月14日にフィナーレを迎える。
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