F1

【史上最年少日本人F1ドライバー誕生】角田裕毅 20歳の肖像

© Josh Kruse/Scuderia AlphaTauri/Red Bull Content Pool
2021シーズン、角田裕毅がレーシングカート卒業からわずか4年でスクーデリア・アルファタウリからF1デビューを果たす。次世代を担う日本人スターのこれまでのキャリアと世界が彼に期待を寄せている理由を解説する。
Written by Matt Clayton公開日:
目覚ましい早さでジュニアカテゴリーを駆け上がってきた角田裕毅が、2021シーズンにピエール・ガスリーのチームメイトとしてF1のグリッドに並ぶ。
2019シーズンにFIA F3デビューを果たし、2020シーズンはFIA F2で輝きを見せたこの20歳の若者は、来年3月の開幕戦オーストラリアGPでスクーデリア・アルファタウリからF1デビューを果たす。
数カ月後、角田はF1グリッド最年少のドライバー / 18人目の日本人F1ドライバーになる。神奈川県相模原市出身の20歳のプロフィールを紹介する。

これまでのレースキャリア

レーサーを目指す者なら誰でも、夢がはっきりと定まった「あの瞬間」を持っているはずだ。角田にとってその瞬間は、2004年に彼の父親が出場したジムカーナのコンペを目にした4歳の時だった。彼はすぐにモータースポーツの虜となり、ごく自然な流れでカートを始める。
しかし、日本ではレーシングカートから4輪レースへのステップアップは16歳にならないと認められておらず(ヨーロッパでは14歳から4輪レースに参戦可能)、オープンホイールでのレースデビューはしばらく待たなければならなかった。
16歳でシングルシーターデビューを飾った角田がそこから後ろを振り返ることは一切なかった。そして、2018シーズンにブダペストのハンガロリンクで行われた3日間のテストで有望なパフォーマンスを見せた角田は、レッドブル・ジュニアチームに加入する。
角田は「あのテストはこれまでの僕の人生で一番重要な場面のひとつでした」と振り返っている。

ジュニアカテゴリーでの実績

角田にとって2019シーズンは激動の1年だった。ヨーロッパへ拠点を移し、新たな文化と英語を学びながら、F1パドックの目の前でFIA F3を戦った。モンツァのスプリントレースで優勝を飾り、シーズン後半に5戦連続トップ6入賞を果たした角田にとって、翌シーズンのFIA F2昇格は当然の結果だった。
レッドブル・リンクで開催された第3戦でポールポジションと表彰台を獲得した角田はさらなる飛躍を遂げ、ベルギーとバーレーンでフィーチャーレース優勝、シルバーストンでスプリントレース優勝を飾る。
さらに2回の表彰台フィニッシュを加えて2020シーズンのFIA F2を総合3位で終えた角田は、ルーキー最上位ドライバーに贈られるアントワーヌ・ユベール・アワード、メディア関係者が年間最優秀ドライバーを選出するピレリ・トロフィー、そしてFIAルーキー・オブ・ザ・イヤーとあらゆるアワードを総なめにした。

イモラでF1ドライブ初体験

アイルトン・セナに憧れる若者のF1ドライブ初体験がイタリア・イモラだったというのは相応しい偶然だった。
このアイコニックなサーキットは2006シーズン以降F1が開催されていなかったが、2020シーズンの短縮カレンダーで復活していた。伝説的なブラジル人ドライバーが1994シーズンに悲劇的な最期を遂げたこのサーキットで、角田は初めてスクーデリア・アルファタウリのステアリングを握った。
F1屈指のアイコニックなサーキットで72周を周回した彼は自分の課題を認識すると同時に意欲をさらに高めた。
「F2とF1では大きな違いがあります。完全に別世界でした。F2よりドライブはしやすかったですが、フィジカルはハードでした」と初のF1ドライブを終えた角田は語った。

フランツ・トストが寄せる期待

スクーデリア・アルファタウリのチームプリンシパルを務めるフランツ・トストは、角田の初テストをはっきりと覚えている。
「午前中はややダンプコンディションだったので、我々はフルウェットタイヤで走行を開始した」とトストはイモラテストを振り返る。
「裕毅は瞬く間にマシンに慣れ、ドライタイヤに交換するとすぐにラップタイムを更新してみせた。実に印象的だった。彼はマシンの挙動についても価値あるテクニカルフィードバックをもたらしてくれた。レッドブルはここしばらく裕毅のキャリアを見守ってきたが、我々のチームにとって彼は大きな財産になると確信している」

デビューシーズンの目標

2019シーズンのFIA F3参戦開始前、角田は自身の中期目標を「F1ドライバーになること」に設定していた。その目標が達成された今、モータースポーツの頂点で戦う来シーズンに向けて彼は何を期待しているのだろうか?
「心から楽しみにしていますし、F1でも上手くドライブできる自信があります」と角田は語る。
「レーシングドライバーならほとんど誰でもそうですが、F1でレースすることが僕の目標でしたので、このニュースはとても嬉しいです。来年は日本にいる大勢のF1ファンの期待を背負うことになると思いますし、その期待に応えるためにもベストを尽くすつもりです」

日本GPへの思い

アブダビで行われたヤングドライバーテストで2020年型のアルファタウリAT01をドライブした角田は、ファエンツァにあるアルファタウリのファクトリーを訪問したあとバルセロナでの3日間のプレシーズンテストに参加し、さらには2021シーズン開幕の地メルボルンへ向かうことになる。
また、角田の心のスケジュール帳は10月10日に印がついているはずだ — 鈴鹿サーキットレーシングスクール(SRS-F)を卒業した角田は、この日初めて母国ファンたちの目の前でモータースポーツ最高峰カテゴリーを戦うことになる。世界屈指の名サーキットとして誉れ高い鈴鹿でホンダパワーを背負って…。
鈴鹿の熱狂的なファンたちがホームヒーローを迎えるのは2014シーズンの小林可夢偉以来となる。