Motoring

滝沢伸介×ロールス・ロイス

ファッションブランド『NEIGHBORHOOD』の創始者、滝沢伸介。モーターカルチャーに根付いたライフスタイルを発信してきた彼に自動車の哲学を訊く。この日、相棒となるのはロールス・ロイス・レイスだ。
Written by 遠山宜秀
読み終わるまで:6分Published on
shinsuke takizawa 1

shinsuke takizawa 1

© Maruo Kono

「ずっとロールス・ロイスというブランドが好きだった。そのヒストリーだったり、ブランドの立ち位置だったり。ものづくりの観点から見てもどんなティテールにもイギリスらしいクラフトマンシップで溢れている。細かいところをいえば、レイスっていうその車名すら良い。イギリスってバイクも然りクルマも然り、いつもネーミングが洒落ている。ロールス・ロイスならファントムとかゴーストだったり、バイクでいうならブラックシャドウとかブラックナイトだったり。どこか中世の王族を思い起こすような響きを秘めていて、そんなディテールひとつにも惹かれる。
そんな中、はじめて乗ったロールス・ロイスは、素晴らしいとしか言いようがなかった。このクルマしか成しえない内装の世界観とか、運転したときの乗り味とか。それらは他の何にも似ていない」
shinsuke takizawa 2

shinsuke takizawa 2

© Maruo Kono

「“夢の一台は?”と聞かれれば、ロールス・ロイスと答えると思う。もう十年以上、いつか手に入れたいと思ってきた。でも、自分が乗るのならファントムやゴーストなどの4枚ドアのサルーンではなく、レイスやドーンなどの2ドアモデルがいい。ファントムは本来運転手に任せて自分は後ろに乗るクルマであって、自分で運転することに少し違和感がある。ボクはどんなクルマも手にしたからには自らの手で楽しみたい。
でも、端的に高級車が頂点というわけじゃない。たとえばとある人が古いマスタングに乗っていたとして、その一台がその人のライフスタイルに合っていれば車種に関係なくクールなんだと思う。プライスとかステータスを求めるわけじゃなく、いかにライフスタイルに合った物と生活してくか、そういうところが大事」
Shinsuke Takizawa Tuika PH

Shinsuke Takizawa Tuika PH

© Maruo Kono

「クルマでもファッションでも同じ。その人のライフスタイルにあったものじゃないと不自然。無理をして手に入れるものじゃない。これは日本特有だと思うけれど、シャネルの鞄をもって居酒屋に呑みに行ったりとか、そういう間違った使い方に違和感を覚える。もちろん敢えてビーサンでファントムに乗るとかも時としてクリエイティブでカッコイイこともある。
けれど、“あるべき姿”ってどんなに時代が流れても必ずそこに存在するんじゃないかと思う。そのブランドなりプロダクトなりが築き上げてきたストーリーに対するリスペクトを忘れたくない」
shinsuke takizawa 4

shinsuke takizawa 4

© Maruo Kono

「普段は、1932年製のフォードのホットロッドに乗っている。けれど、自分の中ではレイスもホットロッドも同じ位置づけ。こっちが最新高級車であっちが古いストリートマシンという正反対な存在にはなるけれど、そのどちらに乗っていても自分が表現したいと思っていることは一緒。
クルマを選ぶときの基準は、自分のライフスタイルに合って、自分が乗りたいと思えるかどうか。ビンテージだから価値があるとか、最新型だからステータスがあるとかそんな価値基準じゃなく、大切なのは、自分を表現するもののひとつとして必要かどうか。単なる道具じゃなくて、自分を表現するための手段としてクルマに乗っていたい」
shinsuke takizawa 7

shinsuke takizawa 7

© Maruo Kono

「洋服でも時計でもクルマでも、自分でなにかを選ぶときってヘリテージという部分は外せない。けれど、ただ“昔のものは良かった”なんて過去を表現したいわけじゃなくて、そのプロダクトやブランドのセオリーとかを知った上でリスペクトをしながら、そこに自分の今のテイストをうまく融合させることで、自分なりの現代のカタチにしていくことが大事だと思ってる。
その感覚で言えば、実はロールス・ロイスってホットロッドと共通の匂いがしている。ヘリテージな部分きちんと残しながら、必要に応じてモダンにアップデートしていく感覚はホットロッドも現代のロールス・ロイスも一緒。これは冗談だけど、レイスのルーフを低くチョップしたらホットロッドとしてとてもかっこよく仕上がると思う(笑)。スーサイドドアだし(※正式名はコーチ・ドア。通常の自動車とは逆向きにドアが開く)。もちろんロールス・ロイスをリスペクトしているから実際にはイジったりはしないけれど」
shinsuke takizawa 6

shinsuke takizawa 6

© Maruo Kono

「どうやってでも手に入れたいって思えるモノって大事だと思う。心の底から欲するモノに出会える機会って、人生でなかなかない。それに、年齢を重ねてくると欲しい物に対する想いも“ま、いっか”って諦めがつくようになってくることが多い。でも、やっぱり人を掻き分けてでも欲しいっていう気持ちにさせてくれる存在って今もボクの中にあるし、そういう衝動って絶対に大切にしたほうがいい。
いつかCROCKERという旧いバイクを手に入れたい。もちろん大金を積めば買えるのかもしれない。けれどそういう問題じゃなくて、自分の人生の適切なタイミングに運命的な個体に巡り逢って、“これしかない!”と思って手に入れる機会が巡ってくるといいなって思う。
クルマもバイクも妥協したくない。ずっと永く大事に付き合いたいから」
shinsuke takizawa 5

shinsuke takizawa 5

© Maruo Kono

◆Profile
滝沢伸介
東京を代表するストリートファッションブランド 『NEIGHBORHOOD』。その創始者でありデザイナー。ヴィンテージバイクやホットロッドをこよなく愛し、『モーターサイクル、ミリタリー、アウトドア、トラッド等の要素を独自の解釈で消化したベーシックな服作り、またそのライフスタイルの提案』をコンセプトに、魅力的なプロダクトを生み出し続けている。
◆Rolls Royce Wraith
Specifications
Size(Overall Length×Width×Height):5280×1945×1505mm
Curb Weight:2430 kg
Seats:4(2+2)
Engine:6.6L V-12 cylinder twin-turbo
Max Power:465kW(632PS)/5600rpm
Max Torque:800Nm/1500-5500rpm
Transmission:8AT
Drive System:FR
0-100km/h:4.6sec.
Max Speed:250km/h(Limiter control)
Price(tax included):¥ 33,830,000
Cooperation:ロールス・ロイス・モーター・カーズ