車に乗ったらシートベルトを締めるのと同じで、フリーライドに出掛けるならアバランチギアを必ず用意する必要がある。
アバランチエアバッグ、仲間、そして雪崩救助方法を熟知しているフィルムクルーに助けられて巨大な雪崩から生還した経験を持つフリーライドレジェンドのグザヴィエ・ドゥ・ラ・リューは、プロフェッショナルで迅速な行動が命を助けることを知っている。外部の救援だけを頼りにしてはいけない。雪崩に飲み込まれた人の多くが、同行者によって救出されている。
そこで今回はグザヴィエ・ドゥ・ラ・リューにアバランチビーコンの使い方を教えてもらうことにした。
グザヴィエ・ドゥ・ラ・リューが教えるアバランチビーコンの使い方は以下の通り:
- 朝アバランチビーコンの電源を入れたら、1日中オンにしておく。バッテリー残量を気にしてオンオフを繰り返さない。オフにしたまま忘れてしまう可能性がある。
- バッテリー残量をチェックする。最低でも50%以上残っていること。50%以上残っていれば1日は持つ。寒い日はバッテリーの消費が速くなるので注意したい。
- 携帯電話とアバランチビーコンの距離を最低50cmは離し、混線しないようにすること。
- 同行するメンバー全員のアバランチビーコンが正常に動作していることを事前に確認する。
- 実際にツーリングやランを出掛ける前にテストする。アバランチビーコンを隠して仲間に見つけてもらったり、アバランチ専用トレーニング施設(アバランチパークなど)を活用したりしよう。ルーティンの確立は実際にアクシデントが発生した時のために非常に重要だ。発生してから使用方法や対応を学ぶことはできない。発生時はショックを受けてパニック状態になる。また、現場に急行しなければならない時もある。
- 仲間が雪崩に飲み込まれた時は、最後に見た場所を覚えておくようにする。可能なら、バックパックかストックでその場所に目印をつける。ここから救出作業が始まる。
- まず電話で救援を要請する。
- 全員のアバランチビーコンをサーチモード(捜索モード)に切り替える。
- 信号を探す。信号が受信できない時は、最後に見た場所からジグザグに歩きながら雪崩のあとを下っていく。ジグザグの縦の頂点の間隔は40m以内、雪崩の端から頂点までの距離は20m以内に保つ。複数で捜索する際は、お互いの距離を30m程度、雪崩の端からの距離を20m以内に保ちながら縦に下る。
- アバランチビーコンが信号を受信したら、具体的な位置を見極める。ディスプレイに表示される矢印や音を頼りに近づいていく。近づいているなら、ディスプレイに表示されている数字(距離)が小さくなっていく。数字が大きくなっているなら、逆方向に向かう。表示されている数字を随時捜索メンバーに声で伝える。
- ディスプレイの数字が10以下、つまり10m以下になったら、ゆっくり歩く。3m以内になったら、微調整を行う。アバランチビーコンを水平に持って雪面に近づけ、信号が最も強くなる場所を探す。
- 信号が最も強くなる場所が見つかったら、プローブを雪面に刺して外側に向かって旋回しながら動かしていく。何かに触れるまで両手でしっかりと差し込みながら動かすこと。何かに触れたらショベルで掘る。
複数の同行者が飲み込まれた時の捜索方法:
- 一番強い反応を示している信号から探す。
- 見つけたらアバランチビーコンに場所を登録し、プローブで目印をつける。他の捜索メンバーにその場所をショベルで掘ってもらうように頼み、次の同行者の捜索に向かう。
- 全員が見つかるまでこの作業を繰り返す。
注意点:捜索隊を頼りにしないこと。信頼すべきは同行者のみ。信頼関係が何よりも重要になる。アバランチギアを装備しない、または使用方法を知らないまま雪山に向かったりするのは信頼関係を裏切る行為だ。緊急時に誰も助けられない。自分の命だけではなく、仲間の命も預かっているという意識を持とう。
フリーライドの大原則:アバランチギアを装備していない、または使用方法を知らない人は絶対に連れて行かないこと
グザヴィエ・ドゥ・ラ・リュー関連記事:
Red Bull TVのアプリをダウンロードして、世界中のスキーアクションをチェックしよう! ダウンロードはこちら>>