写真02
© Nobuo Iseki
スケートボード

TRASH WORDS vol.02 : スケート写真の面白さと奥深さを少し語ってみる

日本のスケートシーンを長年追い続けてきたフォトグラファー・井関信雄。そんな彼だからこそ見える景色や感じる想いを、リアルな言葉とともにお届けしていく。
Written by Nobuo Iseki
読み終わるまで:4分Published on
写真01

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© Nobuo Iseki

こんにちは。世界でワーストなスケートボード写真家を目指している井関です(笑)。今回は僕が撮っている写真、いわゆる「スケート写真」の面白さについて具体例とともにお話していこうと思います。
さっそくですが、まずは上記のメイン写真をご覧ください。
写真01 :
自身のデッキブランド「BURDEN」を立ち上げたばかりの 松尾裕幸が、攻めたアプローチの少ない10段の階段でハンドレールをメイク。愛すべきステレオタイプ! 王道万歳! スケート写真といえばやはり魚眼レンズでしょう。フィッシュアイとも呼ばれ、スポットの大きさや距離感を強調したり、周りの様々な情景を画面内にぶち込むことができたりといった、絶大な効果を発揮する表現ツールです。
続いてはこちら。
写真02

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© Nobuo Iseki

写真02 :
夜な夜なのスケート物件探しに余念がない 村岡洋樹によるフロントサイド・テールスライド。パッと見ベーシックなスケート写真でも、一枚の画の中でさりげなくライダーの動きを説明するような意図があったりします。たとえばこの写真の場合だと階段の上に見える平らな地面から縁石をスライドし、スロープに着地してそのまま下り降りる、という一連の動作を見ている側がイメージしやすい構図になっています。でも、単に説明的なだけの写真ではつまらないってことで、フォトグラファーなりに風景として切り取ったり、別の何かと組み合わせたりして見せ場を作っていくわけですね。
上記と同じトリックでもやや表現をツイストしてみた写真がこちら。
写真03

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© Nobuo Iseki

写真03 :
VANSヨーロッパチームのライダー KRIS VILE によるフロントサイド・テールスライド。あえて言葉にするなら、王道をおさえつつ自分なりに工夫したものも同時にやる。といったところでしょうか。
と、なんかオヤジっぽい説教臭いコラムになってきましたが……。
写真04

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© Nobuo Iseki

写真04 :
オヤジといえば、スケート写真界においてこの御仁を忘れてはなりません。現在のスケートマガジンのスタイルを作った人、それが J Grant Brittain(グラント・ブリテン)。といっても僕が撮った彼のポートレートはないので雑誌から名前だけ拝借…。アメリカのスケートマガジン TransWorld Skateboardingの創設者のひとりで元編集長。現在はLA発信の The Skateboard Magの創設者のひとりにしてフォトディレクター。そして何よりスケート・フォトグラファーとしての活動は30年を超える、生きる伝説と言っていいスケート・フォトグラファーです。
写真05

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© Nobuo Iseki

写真05 :
日本人として、グラント氏とも親交のあったカメラマンの西岡昌典氏(またの名をデビル西氏)が日本のスケーターまたはスケート写真のルーツでもあります。80年代を席巻したスケーター、クリスチャン・ホソイとの親交も厚く、あらゆるものをフィッシュアイで捉え、なおかつノーファインダーで(ファインダーを覗かないで)カメラをライダーの数センチまで寄せて撮る、そんな迫力の手法でよく知られています。残念ながら2014年に他界されましたが、日本でスケート写真を撮っているフォトグラファーは今だに彼の影響下にあると言っても過言ではないと思います。
まとめ :
2000年代初頭までのスケート写真はフラッシュなどを駆使してバキッとライティングするスタイルが主流だったのに対し、2010年頃以降から徐々にレイドバックな雰囲気で自然光のみで撮るというスタイルが見直されてきました。そしてそれも、今や定着して表現の幅はさらに多様化しています。また、iPhoneなどのデバイス側の進化により高速シャッターで撮れるようになったことや編集機能が充実したことで、作品制作が手軽になりSNSなどへの投稿もより身近なものになっています。特にInstagramは動画のアップも簡単なのでスケーターに向いたメディアと言えますね。こんなふうにひとことで「スケート写真」と言えども、ルーツやトレンドを探りそれらを考察することができるほど非常に深い世界なのです。と、あれこれ書き散らかしてしまいましたが、今後もスケートと写真の魅力をできる限りわかりやすくお伝えしていきたいと思いますので、また次回をお楽しみに。
◆Profile
井関信雄/Nobuo Iseki
写真家。高知県出身。1976年生まれ。2000年よりフォトグラファーとしてのキャリアをスタート。幅広い世代のスケーターからの信頼も厚く、写真という側面からシーンを牽引する、日本を代表するスケートボードフォトグラファー。 自身が発行するZINE『 Pancake Portfolio』もリアルなシーンから人気を集める井関信雄氏のホームページは こちら>>

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