A screenshot from forthcoming video game SkateBIRD.
© Glass Bottom Games
ゲーム
『SkateBIRD』:小鳥とスケートボードのキュートなコラボ
スケートボードゲームを嫌いな人はいない。そしてかわいい動物を嫌いな人もいない。この2つを組み合わせたビデオゲームを開発しているデベロッパーに話を聞いた。
Written by Jamie Stevenson
読み終わるまで:10分Published on
人気の高い2つのものを組み合わせたからといって、成功が保証されるわけではない。
たとえば、映画『エイリアンVSプレデター』シリーズは、それぞれの単体シリーズとしての高い人気と、コンセプトの面白さを上回ることができなかった。また、ロックシーン最大のアイコン、ミック・ジャガーデヴィッド・ボウイが組んだ「Dancing in the Streets」も、「Ruby Tuesday」と「Starman」の美しいハイブリッドと呼べるものではない。
しかし、世の中には、なぜ今まで誰も思いつかなかったのかと不思議に思うほど面白いコンビネーションがいくつかある。そのひとつに確実に含まれるのが『SkateBIRD』だ。
いつプレイしても面白いスケートボードゲームと、いつ見てもかわいい小鳥を組み合わせているこの作品を開発しているデベロッパーGlass Bottom Gamesは、どうやら "キュート" のパーフェクトレシピと、他とは違うスケートボードタイトルになる方法を見出しているようだ。
Glass Bottom Gamesの創設者Megan Foxをキャッチして、鳥とスケートボードを組み合わせたこのユニークな作品のインスピレーションの源などについて語ってもらった。
そもそも『SkateBIRD』のアイディアはどこから得たのだろうか? Foxは「わたしが鳥好きなことを知っていたわたしのパートナーが、本物の鳥がスケートボードをしているGIFを見せてくれたんです。それを見て笑顔になった瞬間、頭の中にこの作品のアイディアが生まれました」と話を切り出す。
では、『SkateBIRD』のルックスはどうやって決まったのだろうか? ミニスケートボードに乗った小鳥が小さなテーブルの上に作られたスケートパークの上をライディングする姿が描かれているトレイラーを視聴した多くの人が、『SkateBIRD』のコンセプトの面白さと、レトロ感溢れるヴィジュアルの虜になっている。Foxが話を続ける。
「(当時としては)高解像度のテクスチャを低解像度の3Dモデルと組み合わせていたPS1/PS2時代のグラフィックスタイルを試してみたかったんです。もちろん、『SkateBIRD』はPS2時代よりも高解像度になりますが、自分が覚えている当時の雰囲気に近づけたいと思っています」
「ですので、ライティングや全体のスタイルなどは『トイ・ストーリー』から多くのインスピレーションを得ています。リアルですが今のような3Dではなかったあの頃の雰囲気を再現しようとしています。少し温かみのあるライティングとハッピーなバイブスを盛り込もうとしているんです。“理想化された現実” ですね」
A screenshot from video game SkateBIRD, which is being developed by Glass Bottom Games.
Grinding a stapler in SkateBIRD© Glass Bottom Games
『SkateBIRD』の魅力が “気楽さ” にあるように見える(実際にそうなのだが)理由は、Fox率いる開発チームのハードワークにある。Glass Bottom Gamesは、小鳥をベースにしたスケートボードタイトルに慣れるまで少し時間がかかるプレイヤーがいることに気付いたのだ。
Foxたちがそのために取り組んだ部分の中で最も難しかったのはおそらく物理エンジンだろう。Foxは次のように説明する。
「仲間のデベロッパーのKevin(@der_Kevin)が開発後に放置していたコードベースのひとつを使いました。物理エンジンだけでかなりのスケートボード感を出せるコードベースです」
「キーフレームアニメーションではなく、全てが物理エンジンで表現されます。たとえば、キックフリップのメイクでは、タイムラインにフォースとトルクを入れ込んであるので、地面の角度など、その環境・状況全てにリアルタイムに反応するようになっています」
「Kevinはそのコードベースを気持ちの良いライディングが楽しめるようなレベルまで仕上げていたのですが、トリックメイクが不安定で、グラインドもほぼできないという理由から放置していました。トリックメイクやグラインドが楽しめないのに、クールなスケートボードヴィジュアルを生み出すのは不可能に近いからです」
「そこでわたしが、 “人間じゃなくてちょっとふざけた鳥を乗せたら問題ないんじゃない?” と持ちかけると、彼はこのアイディアを気に入ってくれました。それで、わたしが相当な時間と手間をかけて細かい調整を施し、小鳥にバランスを取る動きやクラッシュでのアクション、スタンスやキックの足の動きを覚えさせていきました。トリックのフォースシステムを小鳥用に全て書き換える必要がありました」
その努力は見事に実を結んだと言って良いだろう。小鳥が小さなスケートボードでライディングを楽しむという、この “全てが小さいゲーム” のトレーラーは、万単位の視聴回数を稼いでいる。このような視聴回数は予想外だったとしているFoxは「小鳥が努力している姿を多くの人が気に入ってくれていることを嬉しく思いますね」と感想を述べている。

『SkateBIRD』の中身

『SkateBIRD』の実際のコンテンツに関しては、トレーラーからはほんの一部しか理解することができない。小鳥が鉛筆の上をグラインドしたり、パンチの上を飛び越えたりしている姿が確認できるだけだ。しかし、Foxは、このゲームにはトレーラー以上のコンテンツが盛り込まれることを約束している。
「収録ステージ数についてはまだ思案中ですが、どのステージも “大きな友達” の生活が垣間見えるものになっています。ライディングを通じてその “大きな友達” の生活を助けるというのが、このゲームの大きな目標です」
「トレーラーで確認できるステージは、 “大きな友達” が住んでいるアパートですが、彼は忙しくてそこに殆ど帰ってくることがないという設定です。次のステージは、彼が働いている建築事務所になるでしょう。また、プレイを続けていくと、他の建物(彼のデート相手の家など)を訪れることになります。ルーフトップパーティのステージを用意する可能性もありますね」
「小鳥は “大きな友達” と一緒に “大きな友達” の生活を元に戻そうとしていきます。その中で、自分たちが失ってしまった物、愛している物に気付いていきます」
A screenshot from SkateBIRD, the forthcoming video game developed by Glass Bottom Games.
Getting some air© Glass Bottom Games
小さな主人公が大きな問題に取り組んでいくという設定は、『Fe』や『Unravel』のような近年リリースされた他のインディータイトルに似ているが、『SkateBIRD』は、素晴らしいスケートボードタイトルにしたいというデベロッパーの熱意によって、オリジナリティ溢れる作品になりつつある。Foxが説明する。
「インスピレーションと操作性に関しては、『Tony Hawk’s Pro Skater 3』と『Tony Hawk’s Underground 2』を主なレファレンスにしています。わたしは優秀なスケートボードシミュレーションシステムによって実現されていた、スムーズなライディングが気に入っています。シンプルなボタン操作を維持しつつ、ビッグエアやコンボもメイクできる、あのレベルのスムーズなライディングを実現しようとしています」

小鳥に芸を仕込む

小鳥のトリックメイクに関しては、Foxの話を聞く限り、親指をかなり使うことを覚悟しておく必要がありそうだ。
「フリップ、グラブ(くちばしを使います)、グラインド、ストール、ボディフリップ系トリックは全て収録する予定です。マニュアルはすでに実装されています。また、バートでのスコアシステムも実装しようとしています」
これらのトリックは、小鳥が元々備えている能力 - 飛行能力 - を使いながらメイクしていく。Foxが続ける。
「羽根を使うことでビッグエアをメイクできますし、エア・オーリー - ダブルジャンプ - をメイクすることもできます。羽根を使えばコンボを別の形で繋げることができます。ラインとラインをマニュアルで繋ぐ必要はありません」
Glass Bottom Gamesのスケートボード、そしてスケートボードゲームへの情熱は、『SkateBIRD』内に明確に表現されている。Foxは自分を「とんでもなく下手なスケーター」と評価しているが、スケートパークライディングの魅力を捉えるためにアドバイザーが力を貸している。また、スケートボードゲームはここ最近ほとんど動きがないジャンルと言えるが、Foxは、このジャンルの人気が復活しつつあると熱っぽく語る。
「わたしが『SkateBIRD』を開発している中、先ほど紹介したKevinは『SKTBRD』を開発しています。また、『SESSION』もリリースされますし、SteamではBMXタイトルもリリースされています。ストリート系の時代が来ていますし、『Tony Hawk’s』シリーズや『SKATE』シリーズの復活を望んでいるファンが沢山います。AAAタイトルを手がける大手デベロッパーはマーケットが小さすぎるという理由でこれらの開発から手を引いていますが、わたしに言わせれば、マーケットはかなり大きいですね」
彼女のスケートボードゲームへの情熱は、『SkateBIRD』のモードにも表現されている。まだ確定はしていないが、マルチプレイヤーモードが実装される可能性があるのだ。Foxは「オンラインモードを追加するなら、フレンドと一緒にライディングを楽しむだけのシンプルなものになるでしょう。『SKATE』シリーズのようなパーティライドやスコアチャレンジ程度になると思います」と説明している。
A screenshot from SkateBIRD.
Stick the landing© Glass Bottom Games
プレイヤーが様々なチャレンジに挑むことになる『SkateBIRD』の各モードは全て正しい形で用意されるはずだが、『SkateBIRD』では、小鳥のカスタマイズが心ゆくまで楽しめるモードも実装される。「Create a Bird」モードでは、プレイヤーのイメージ通りの小鳥がデザインできるようになる。Foxは次のように説明する。
「小鳥の体に様々なパターンを載せることができます。帽子などのアイテムも大量に用意しています。あらゆるペット用の鳥と野生の鳥に似た小鳥をデザインできるようにするのが最終目標です。ですが、スケートボードをやりこんでいるという設定なので、どの鳥も尻尾は短くなります。また、飛べないという設定なので、羽も小さくなりますね。もちろん、スケートボードに乗っている時は “空高く” 飛べますよ!」
Foxは、『SkateBIRD』を2019年内Steamでのリリースする予定だとしているが、そこからさらに翼を広げる可能性もある。将来的には『SkateBIRD』をNintendo Switchでリリースしたいと考えているFoxは、次のコメントで締め括っている。
「やりたいことは色々ありますが、小さなデベロッパーですので、ひとつずつ進めていくつもりです」
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