Slam-Dunks-Header
© EA
ゲーム

スラムダンクが楽しめるバスケットボールゲーム ベスト5

ビデオゲームでダンクシュートを再現するのは簡単ではないが、世の中にはこの難題をクリアしている名作がいくつか存在する。スラムダンクが楽しめる新旧バスケットボールタイトルを集めてみた。
Written by Alexander Chatziioannou
読み終わるまで:9分公開日:
スラムダンク ー 超人的パフォーマンスの頂点か、はたまた往年のバスケットボールを求める心の叫びか…。
2020年現在、NBAでは合計250ポイントの試合が普通になっており、どこからでも難なく決められるシャープシューターたちがシーンを支配しているが、スラムダンクは誰にも抗えないユニークな魅力を維持している。スラムダンクとは人間の優れた運動神経とクリエイティビティの発現であり、ただの2ポイント以上の意味を持っているのだ。
バスケットボールを題材にしたビデオゲームはその特別な魅力にいち早く気づき、技術的に可能になるとすぐにスラムダンクをオフェンスの選択肢のひとつとして採用するようになった。そして、ダンクシュートを得意とするNBA選手たちとのマーケティング契約が次々と結ばれ、彼らの動きを再現するキャラクターアニメーションが開発され、スラムダンクコンテストがゲームモードのひとつとして収録されるようになっていった。
1970年代初頭のアーケードタイトルから最近の『NBA 2K』シリーズまで、バスケットボールゲームはこの強烈なシュートと共に歩んできた。結局のところ、ポイントシュートはスコア的には美味しいかもしれないが、豪快さと美しさにおいてはスラムダンクの足元にも及ばない。

『One On One』

  • 開発:EA
  • リリース:1983年
  • プラットフォーム:Apple II / コモドール64 / アタリなど
バスケットボールゲームに革命を起こした『One On One』

バスケットボールゲームに革命を起こした『One On One』

© AE/Atari

EA初のスポーツシミュレーションゲームが与えたインパクトの大きさを誇張せずに語るのは難しい。
『One On One』異なるスキルを備えたプレイアブルキャラクターを複数用意した世界初のバスケットボールゲームで、しかもそのプレイアブルキャラクターに当時のNBAを代表するスーパースター2人、ジュリアス・アービングラリー・バードを選んでいた。これは非常に優秀なマーケティング戦略で、今も続く各種ライセンススポーツゲームシリーズのテンプレートとなった。
また、“ドクター・J” の愛称で一世を風靡したアービング公認のビデオゲームに相応しく、『One On One』はスラムダンクを正しく描いたアニメーションがフィーチャーされていた世界初のバスケットボールゲームでもあった。
それまでのバスケットボールゲームのヴィジュアルはどれも初歩的で、オフェンスはシュートしかできなかった。しかし、『One On One』ではドリブルスピンが可能で、シュートもレイアップ360°シングルハンドダンク(バックボードを破壊できる)が用意されていた。
このタイトルは、ただのスタートアップに過ぎなかったEAがスポーツゲームの代名詞になるきっかけとなったのだが、このヒットにはアービングも喜んだに違いない。なぜなら、アービングはロイヤリティの他にEA株も報酬として受け取っていたからだ。
【2020年の価値】
操作感は現代のバスケットボールゲームと比べればややぎこちなく、レフェリーもファウルを取り過ぎなきらいがあるが、フレンドとのクイックマッチは今でも楽しい。

『エキサイティングバスケット』

  • 開発:コナミ
  • リリース:1986年
  • プラットフォーム:アーケード / ファミコン / コモドール64など
当時は画期的なカットシーンが収録されている『エキサイティングバスケット』

当時は画期的なカットシーンが収録されている『エキサイティングバスケット』

© Konami

コナミが『スーパーバスケットボール』に続いてリリースした『エキサイティングバスケット』はダンクシュートを中心に据えており、スラムダンクの様々なバリエーションが美麗なカットシーンとして登場する。ゴール下に近づき、最後のひとりを振り切ったあとジャンプボタンを押せば、画面が切り替わり、選手がリバースダンクやウインドミルのような強烈なダンクをするカットシーンが表示される。
『エキサイティングバスケット』がそのようなスムーズで美しい動きの描写をセールスポイントにしていたことを踏まえると、このゲームにスポーツゲーム史に残る扱いにくくて断続的な操作方法が用意されているという事実はかなりの皮肉と言える。
このゲームの操作は、ディフェンスは問題ないのだが、オフェンスは “プレイヤーがボタンを連打している間しか移動できない” ようになっていた。北米で『Double Dribble / ダブルドリブル』というタイトルでリリースされていたのは、ダンクシュートを決めるためにはまず “ドリブル” しなければならないということを伝えようとしていたからなのかもしれない…。
『エキサイティングバスケット』はぎこちない操作方法が悪い意味で評判になった

『エキサイティングバスケット』はぎこちない操作方法が悪い意味で評判になった

© Konami

【2020年の価値】
ダンクシュートのカットシーンは1986年当時は美しかったが、現代のゲーミングファンにとってこのゲームは「非直感的操作方法」の極端な例にしかならないだろう。ただし、米国国歌を再現したBGMは今聴いても愉快だ。

『NBAジャム』

  • 開発:Midway
  • リリース:1993年
  • プラットフォーム:アーケード / スーパーファミコン / メガドライブ / ゲームギア / ゲームボーイなど
今プレイしても十分楽しめる『NBAジャム』

今プレイしても十分楽しめる『NBAジャム』

© Midway

意味不明な英語のひとつ “Boom Shakalaka” は世界的に有名なファンクバンド、Sly & The Family Stoneの名曲「I Want To Take You Higher」の歌詞がオリジナルだ。
しかし、この言葉が一般社会に浸透し、正式なバスケットボール用語となったのは、最も大きな成功を収めたアーケードスポーツゲームのひとつに収録されているTim Kitzrowの実況がきっかけで、その無意味さは荒唐無稽で超人的なバスケットボールアクションゲーム『NBAジャム』とパーフェクトにフィットしていた。
Midwayが開発したこの2on2バスケットボールゲームには多種多様なダンクシュートが収録されているが、そのすべてが物理法則と人体の限界を徹底的に無視している。『NBAジャム』ではトリプルアクセルや高さ5mのサマーソルトなどがボタンひとつで繰り出せ、3連続ゴールを決めればボールが火の玉となり、プレイヤーのステータスが大幅にアップした。
マイケル・ジョーダンは収録されていないが(1990年代にリリースされたほとんどすべてのライセンスバスケットボールゲームがそうだった)、ドミニク・ウィルキンスショーン・ケンプクライド・ドレクスラーなどのキング・オブ・ダンクたちがジョーダン不在の穴を十分に埋めていた。米国内アーケード稼働初年度で10億ドル(約1,000億円)超を売り上げたのがその証拠だ。
【2020年の価値】
『NBAジャム』を退屈に感じる日は未来永劫やってこないだろう。ゲームプレイは非常に面白く、自分が収録されていないことに気付いたシアトル・スーパーソニックスの名ポイントガードでNBAオールスターに9回選ばれたゲイリー・ペイトンがMidwayに連絡を入れて「自腹を切るから僕を収録してくれ」と頼むほどだった。

『NBAストリートV3』

  • 開発:EA
  • リリース:2005年
  • プラットフォーム:PS2 / Xbox / ゲームキューブ
『NBAストリートV3』のトリックスティック機能はバスケットボールゲームの新しいスタンダードになった

『NBAストリートV3』のトリックスティック機能はバスケットボールゲームの新しいスタンダードになった

© EA

『NBAストリートV3』はEAがスラムダンクコンテストの魅力を再現しようとした世界初のバスケットボールゲームではなかったが(この作品の約15年前に『ジョーダン vs バード One On One』をリリースしている)、このゲームには『NBA 2K』シリーズを含む後発バスケットボールゲームの大半で採用されることになる画期的な機能が収録されていた。
“トリックスティック” は、右アナログスティックを操作してドリブルやダンクシュートの種類を切り替えられるという機能で、それまで実現されていなかった滑らかなアクションとリアルタイムのクリエイティビティをプレイヤーたちに与えることになった。
『NBAストリートV3』は『NBAジャム』で確立された大げさなアクションを踏襲していたため、ダンクシュートの滞空時間が長く、プレイヤーは1回のダンクシュート中に5~6種類のムーブを切り替えることができた。また、レブロン・ジェームズコービー・ブライアントなどの人気現役選手だけではなく、マジック・ジョンソンウィルト・チェンバレンなどのNBAレジェンドも収録されていた。
尚、ゲームキューブ版ではあのヒゲの配管工が数人の仲間とカメオ出演しているが、任天堂オールスターでバスケットボールを楽しむためにはあと1年待たなければならなかった…。
『NBAストリートV3』はグラフィックスも美しい

『NBAストリートV3』はグラフィックスも美しい

© EA

【2020年の価値】
スラムダンクコンテストモードはすぐに飽きてしまう(カットシーンもスキップできない)が、3on3はカラフルでストリート感覚に溢れているダイバーシティなモードで、次々とハイライトシーンを演出してくれる。

『マリオバスケ 3on3』

  • 開発:任天堂 / スクウェア・エニックス
  • リリース:2006年
  • プラットフォーム:ニンテンドーDS / Wii U バーチャルコンソール
ドンキーコングのスラムダンクは見ていて飽きない

ドンキーコングのスラムダンクは見ていて飽きない

© Nintendo/Square Enix

チャールズ・バークレーが豪快にダンクを決めるシーンは最高だが、クッパが爆発して小さなキノコ雲を噴き出しながら強烈なダンクを決めるシーンも最高だ。
任天堂は実在するスポーツに独自のルールを加えたユニークなスポーツを生み出し、自分たちが抱える世界的に有名なキャラクターたちがどこかにさらわれたり、救出の旅に出たりすることなく楽しい時間を過ごせるようにできるため、マリオたちがバスケットボールコートに姿を現したのは当然の流れだった。
しかし、『マリオバスケ 3on3』が非常にユニークな理由は、彼らが考案したオルタナティブ・バスケが戦術的にもシステム的にも非常に奥が深いところにある。コートの特定の位置でドリブルすればコインが手に入り、シュートを決めればそれまでに集めたコインがポイントに加算されるようになっているため、極端な話、次のシュートが100ポイントになる可能性もあるのだ。
また、各キャラクターにはスペシャルショットが備わっているのだが、どれも難度が絶妙で、たとえば、ドンキーコングのスペシャルショット “コンガーダンク” は「M字を描くようにコートの5カ所をタッチ」を2回繰り返さなければ発動できない。
興味深いのは、敵キャラクターのほぼ全員が派手なスペシャルショットを備えている一方、ピーチ城の住人たちはキュートなグラフィックスが加えられたノーマルショットを放つだけという仕様だ。ダンクシュートは “ワル” とでも言いたいのだろうか?
タッチペンとダブルスクリーンを最大限活用している『マリオバスケ 3on3』

タッチペンとダブルスクリーンを最大限活用している『マリオバスケ 3on3』

© Nintendo/Square Enix

【2020年の価値】
タッチペンでの操作は驚くほどスムーズなので、プレイ感覚を失うことなく豪快なアクションを次々と繰り出せる。シンプルなトーナメントプレイしか収録されていないので長時間のめり込むことはないが、トライする価値は十分にある。
Twitterアカウント@RedBullGamingJPFacebookページをフォローして、ビデオゲームやeスポーツの最新情報をゲットしよう!