スケートボード
世界の猛者が本気で挑む史上最強のチャレンジコース - Red Bull Roller Coaster
スケートカルチャーを斜め45度の視点で切り取る(マジメな)コラム。今回は、6月29日・30日にドイツ・ミュンヘンで開催されるビッグイベント“Red Bull Roller Coaster”をストリート目線で語る。
来年はいよいよ2020ということで、テレビでも度々スケートボードが取り上げられている。スポーツニュースで『〇〇選手が高難度とされるハンドレールでのスミス・グラインドを見事成功』なんてナレーションを耳にすると、トリック名に埋め込まれた、スケートレジェンドの名前をまさか茶の間で聞くことができるなんて! と、なんとも感慨深いものがある。
スミス・グラインドは、80年代のプロスケーター、マイク・スミス(Mike Smith)さんが開発者とされるトリックなのだが、すっかり、ワールドメジャースポーツになった今や、トリック名がコールされるたびに肖像権が発生し、マイク・スミスさんに数パーセントの印税が発生しているのではないか? などと妄想したりもするが、それは絶対にないだろう。
で、先日とあるパークでスケートを嗜んでいると、向こうのほうでキックフリップを練習しているキッズから衝撃的な一言が。『あかん、今のプリモや』。
…プリモだと?
プリモ・デジデリオ(Primo Desiderio)は、1980年代に活躍したフリースタイルスケートの伝説的人物。プリモさんの十八番トリックはプリモ・スライド。ボードの横面をスライドさせながら地面を進む、なんともテクニカルなトリックなわけだけど、キックフリップで、ボードが回転しきらず、誤って板の側面に乗ってしまう偶発現象を『プリモ』、『プリモる』、『プリモった』と言ったもんなのだが、かれこれ、40年の時を経た今でもそんな呼び方が存在していることに驚愕。
10代そこそこのキッズがどういう経緯でプリモと呼ぶようになったかは知らないが、スケートボードにハマることでそんなワードが受け継がれるのはとてもクールなことで、そういうワードの背景にスケートボードの魅力が詰まっていたりもする。
《プリモ・デシデリオの映像はこちらでチェック!》
- 0:16 〜 0:18がプリモスライド。本映像はソロパフォーマンスだが、奥さんとのデュエットもステキだ。
今後ますます多くの人々がスケートボードのコンテストに接する機会がありそうだから、トリック名の由来などを是非とも解説してもらいたい。『ハーフキャブ~』のキャブとは?『マックツイスト』のマックは~で。『リーンエアー』のリーンは後ろから読むと…。ちなみに『サラダ・グラインド』のネーミング由来は、なかなかトンチが利いていたりもする。
それはさておき、コンテストといえば、Red Bullが企画する一風変わったスケートコンテストRed Bull Roller Coasterが今年もドイツ・ミュンヘンで開催される。
スケートコンテストは、パーク内に設置されたセクションやトランジションを使い、制限時間のなかでトリックの難易度を競い合うのが一般的だけど、このコンテストは、丘の上からスタートし、スネーク状のダウンヒルコース上に待ち構えるレッジ、レール、ギャップ、ステア、ボウル、ウォールなどなど、あらゆる障害物を自分のスキルとセンスを爆発させながら待ったなしの一発勝負でクリアしていくスリルが最大の魅力。
まさにスケートボードで挑むローラーコースター(日本で言う、ジェットコースターね)ということだ。
5分
Red Bull Roller Coaster highlights
Watch the gnarliest lines and sickest tricks from Red Bull Roller Coaster 2018, a unique skateboard event.
昨年の模様をチェックしていただくとお分かりのように、セクションからセクションを傾斜でつないでいるから、間合いととるのもままならず容赦がない。
特に、終盤の水越えギャップでみせる360オーリーといったキメ技から間髪入れずに繋がれるビッグクォーターでの妙技は圧巻! 出場ライダーたちの底知れぬパワーとスキルが濃縮されたランを楽しむことができる。
マジですんげぇメイク率!
昨年の覇者、ジェイク・イラルディのノーミスランはもちろんのこと、いつもマイティーなペドロ・バロスのこってりスケーティング、カレン・ケープルスのイケメンすぎるフロントサイドフリップ、 2017 THRASHER MAGAZINE Skater of the Yearを獲得したジェイミー・フォイなどなど、世界トップコンペティターたちが本気で挑むチャレンジコースは観どころ満点!
ゲストコメンテーターとしてクリス・パストラス(あだ名で言うとデューンね)、ジャッジ代表としてパット・ダフィー(フッテージのサントラはプライマスね)が登場したり、アーリー90‘sを生きたお父さんスケーターたちも納得の人選で脇を固めているのもサスガ。
そして来る6月29日と30日にミュンヘンで開催される本大会の決勝(30日)は、Red Bull TVのストリーミングでチェックできる。前回をさらにパワーアップさせたコースターセクションで繰り広げられる、ハイパフォーマンスをリアルタイムでチェックしていただきたい。
◆Information
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