Gaming
『スマブラDX』を差し置いて『スマブラ for Wii U』がEVO 2017のメインステージのラスト2に採用されることが発表された時、多くのファンはこのゲームのプロプレイヤーが最高のプレイを披露してくれることに期待した。そして、EVO 2017の数日前に『スマブラ for Wii U』のファイナルが米国のケーブルTV局Disney XDで中継されることが発表されると、その期待はさらに高まった。プロプレイヤーたちは、数百万とは言わずとも数万人が自分たちのプレイを見ること、そしてベストを尽くす必要があることを理解していた。
もちろん、全力を尽くしても結果が出ないこともある。EVO 2017でも『スマブラ for Wii U』を代表するビッグプレイヤー数人が早々に敗退した。MkLeoは65位でフィニッシュし、Allyも49位で敗退した。ANTiも25位と振るわず、Mr.Rも17位だった。日本のスタープレイヤー、Abadangoでさえもトップ8入りを逃した。
よって、このゲームで多少苦しんでいたSaleem “Salem” Akiel Youngは、EVO 2017でトップ8入りを決めると、これを「人生を変える千載一遇のチャンス」と捉えた。世界最大の格闘ゲームトーナメントのメインステージで優勝できれば、その瞬間に『スマブラ for Wii U』最強の称号を手にすることができる。
そして彼は優勝した。『スマブラ for Wii U』史上最も素晴らしい対戦となったファイナルは、ほとんど全てのラウンドがギリギリのパーセンテージのラストストックバトルにもつれこんだが、Salemはこの激戦を制してEVO 2017の王者となった。彼は下馬評を完全に覆して、『スマブラ』シリーズのほぼ全プレイヤーの夢を現実にした。Salemがどうやってこの栄光を得たのか、どうやって王者になったのかを知るべく、本人をキャッチして話を聞くことにした。
君は『スマブラX』でそれなりの成功を収めていたけれど、『スマブラ for Wii U』への移行は苦労しなかったの?
Salem:最初はスムーズではなかったね。当時はまだWii Uを持っていなかったし、『スマブラ for 3DS』は操作がちょっと変わっていたからね。でも、この作品で新しく用意されたキャラ作りはすごく面白いと思ったし、気に入っていた。幸運なことに、招待制トーナメント、Sky William’s Smash Wii Uに出場することができたんだけど、ここでの体験がのちの大きな助けになった。このトーナメントには『X』のトッププレイヤーのほぼ全員が招待されていたから、僕も彼らと一緒に練習したんだ。そのあと、メタについてより深く理解していった。修正パッチが配信されたから、メタを全てフォローするのは大変だったけど、上手く対応して問題なく移行できた。
ベヨネッタをメインに据えている理由は?
それにはちょっとした話があるんだ。僕が彼女をメインに据えたのは、僕の兄貴が『ベヨネッタ』をプレイしていたことがきっかけだ。その頃に兄貴に一度プレイさせてもらって、僕もこのゲームが大好きになったんだ。当時の僕はまだ小さかったし、流血が多いグラフィックスはちょっと怖かったけどね。『ベヨネッタ2』はかなりあとになるまでプレイしなかったけれど、ベヨネッタ本人のインパクトがとても強かったから、「スマブラ投稿拳」で彼女に投票した。彼女が選ばれるとは思っていなかったけれど、参戦が決定したから驚いたよ。彼女のトレーラーは目に穴が開くほど何回も見たし、彼女のことがさらに好きになった。彼女のデザインはパーフェクトだね。僕が投票したキャラクターが選ばれたのは本当に驚きだったし、忘れられない思い出になった。そのあとで、『ベヨネッタ1&2』の同梱版Wii Uを買って、両方クリアしたんだ。ベヨネッタは本当に大好きなんだ! 彼女のキャラクターは僕自身と言ってもいい。だから彼女をメインに据えるのは自然なことなんだ。
EVO 2017で優勝できると思ってた? 警戒していたプレイヤーはいたの?
勝てるとは思っていなかったけれど、警戒していたプレイヤーもいなかった。誰とでも戦えるように準備していたよ。
数万人が見守る中、巨大なステージでトップ8を戦った時はどんな気持ちだったの?
実は特に影響を受けなかったんだ。照明には多少影響されたけどね。ステージはとても明るくて全てがまぶしかった。次に上がる時はサングラスを持って行くのを忘れないようにしないとね!
ウィナーズでトップ8に残った君の初戦はLarry Lurrだったね。ここで彼に敗れてルーザーズに落ちたわけだけど、敗因は?
いつもとは違う奇妙なプレイをしてしまったんだ。徐々にLarry Lurrのスタイルに慣れていったけど、反撃のタイミングとか、細かいミスを重ねてしまった。
Larry Lurrとルーザーズファイナルで再戦した時は自分のプレイを変えたの?
もちろん修正したし、あの時はしっかり準備できていた。ルーザーズだったから、ミスができないこと、ベストを尽くす必要があることは分かっていた。ルーザーズファイナルだったし、その意識はひときわ強かったね。
グランドファイナルが始まる直前、ZeRoが隣に座った時は何を考えていたの?
ここまで来たし、あとはなるようになるだけだと思っていた。ZeRoとはEVO 2017でどうにか対戦したいと思っていた。ZeRoはトーナメントで対戦するのが一番楽しみなプレイヤーだからさ。
グランドファイナルの対戦中は何を考えていたの? 大接戦だったけど、自分が勝てると思っていたのかな?
色々な感情が沸き起こっていたね。それまでに対戦した全員のことを思い出していた。CaptainZackのジャージを着ていたTweekを倒した時はとても悲しい気持ちになった。彼とハグした時は泣きそうになったよ。でも、ルーザーズに落ちた時は怒りが沸いてきたし、そこからグランドファイナルまで残ってZeRoと対戦できるのが決まった時はハッピーだった。こういう色々な感情や思いが沸き起こっていた。だから、グランドファイナルは冷静にプレイしていたというよりも、エモーショナルにプレイしていたんだ。
かつてのZeRoみたいに好調を維持できればいいね
優勝した瞬間はどんな気持ちだった?
心臓が止まるかと思ったよ! 全力を尽くした。優勝するために最後の一滴まで絞り出したよ。さっき話した色々な感情も自分の中に残っていたけれど、その全てが素晴らしく感じられた。夢みたいだったけど、現実だった。あの瞬間の全てが最高だったよ。
EVO 2017の翌週にはDreamHack Atlanta 2017でも優勝したよね。EVOとはどこが違ったの?
かなり違っていたね! ウィナーズでまたTweekと対戦したんだ。彼は僕と対戦する時はかなり強いんだよね。グランドファイナルはVoidとの対戦だった。彼はベヨネッタキラーとして知られているから、対戦するのがタフな相手だった。危うく3-0で負けるところだったけど、盛り返して優勝できた。DreamHackも絶対に勝ちたいと思っていたトーナメントだったんだ。
メジャートーナメントで2連勝したわけだけど、君も数年前のZeRoのような一時代を築くことになるのかな?
それはないよ! もちろんそうなれば嬉しいけど、僕はまだまださ。僕は世界最強を目指しているし、そうなるまでにはまだ練習を積む必要があるね。
Twitterアカウント@RedBullGamingJPをフォローして、ビデオゲームとeSportsの最新情報をゲットしよう!


