Stephanie Lindgren
ゲーム

【インゲームフォトグラフィとは?】eスポーツフォトグラファーが語るバーチャル撮影の特徴と魅力

© Michal Konkol
ビデオゲームのフォトモードを使用した撮影が世界的な広がりを見せている。現実世界のビッグイベントを担当してきたプロフォトグラファーがその面白さや違いについて話してくれた。
Written by Jason Fanelli公開日:
ゲーミング業界のテクノロジーの進化に伴い、プレイヤーが任意のタイミングでゲームプレイ画像を撮影できるフォトモードが実装されるようになってからしばらく経つが、近年はお気に入りのステージやマシンを撮影したインゲームフォトグラフィ(バーチャルフォトグラフィ)の人気がさらに高っており、毎日のようにSNSで画像がシェアされている。
そこで今回は、現実世界と仮想世界の両方で活躍するeスポーツフォトグラファーのステファニー・リンドグレン(Stephanie Lindgren)をキャッチして、バーチャル撮影の魅力や違いなどについて教えてもらうことにした。
− 写真を始めた理由を教えてください。
昔から何かを作るのが好きなタイプでした。油彩やアクリルなど絵を描くのが好きでしたし、学校では美術の授業を選択していました。ですので、最初は写真を撮影している同級生たちを疑問に思っていました。分からなかったのです。なぜ写真がアートの枠組みに入るのかが理解できませんでした。「写真撮影なんて誰でもできる」と思っていたのです。
それで、自分をクリエイティブな人間だと信じていた私は(今も信じていますが)、自分でシャッターを押してみようと思ったのです。アートに含まれるまた別のもので自分に何ができるのかを確かめてみようと思ったのです。
そして、ある程度クオリティの高いカメラを手に入れて、興味がある対象を撮影するようになりました。当時は南フロリダに住んでいたので、自然やビーチを撮影していたのですが、やがて写真に魅了されていきました。写真を疑問に思っていた私は、素晴らしい写真を撮影する人たちを尊敬するようになったのです。
Luka "Perkz" Perković by Stephanie Lindgren
Luka "Perkz" Perković by Stephanie Lindgren
− eスポーツシーンに関わるようになったきっかけを教えてください。
高校卒業前に写真に出会った私はスウェーデンに戻ってからDreamHack Stockholm 2014に関わるチャンスを得ました。ソーシャルメディアのボランティアが主な仕事内容でしたので、人気アカウントにしようと思ったのですが、良いコンテンツがなければそれは不可能です。当時、フォトグラファーチームが別で用意されていたのですが、私にはアカウントに必要なコンテンツについて具体的なアイディアがありました。それで自分で撮影するようになったのです。
DreamHack Stockholmが終わってから数ヶ月後、私はDreamHack Winterに向かい、今度はフォトグラファーチームのボランティアメンバーとして参加しました。そこから色々増えていった感じです。DreamHackでは会場の様子や私の美的センスに合うと思える対象を撮影していましたが、徐々に『ハースストーン』『CS:GO』『ストリートファイター』などのトーナメントの様子を撮影するようになりました。
− お気に入りのeスポーツイベントはありますか? 最高の写真が撮影できたトーナメントがあれば教えてください。
格闘ゲームのトーナメントはいつも最高ですね。フランスとスペインの格闘ゲームコミュニティは特に大きな盛り上がりを見せてくれます。彼らは熱狂的なんです。
『CS:GO』では、コペンハーゲンで開催されているBlast Pro Seriesなどで撮影していますが、Astralisにとってホームゲームになるので、大きな盛り上がりを見せます。ですが、残念なことにヨーロッパの “カウンターストライクの聖地” 、ESL Cologne(ドイツ・ケルン)は未経験です。いずれ参加したいですね。
Tachikawa at Dragon Ball FighterZ World Tour LCQ.
Tachikawa pumps his fist to the skies
− ライブイベントが再開されるようになったらまずどのイベントに参加したいですか?
まずは格闘ゲームのトーナメントに参加できれば良いなと思っています。すべてが元に戻ったあとに是非撮影したいですね。格闘ゲームそのものだけではなく、トーナメントも好きなんです。具体的に言えば、Combo BreakerCEOに参加したいです。あとはまだ訪れたことがないのですが、East Coast Throwdownにも参加したいと思っています。
格闘ゲームの他では、『Dota 2』のシーズンファイナル、The Internationalを撮影したいですね。私の長年の夢のひとつで、実は、昨年は地元スウェーデンで開催される予定でした。そのニュースを聞いた時は泣いて喜びましたが、開催中止になってしまい、今度は悲しくて泣いてしまいました。
− インゲームフォトグラフィについて話をしたいと思います。バーチャル撮影とこれを取り巻くシーンについてどのような印象を持っていますか?
私は敬意を持ってオープンに受け容れています。普通の写真とは異なるからです。正直に言えば、このようなシーンが登場することは予想していませんでしたし、本当に美しい写真が撮影できるほどテクノロジーが進化していたことを知りませんでした。
しばらく前からインゲームフォトに関するDiscordグループに参加しているのですが、ビギナーも入りやすく、とても雰囲気が良いコミュニティです。疑問や質問にも丁寧に答えてくれますし、ハウツーのガイドも用意してくれています。参加して良かったなという印象です。
Worlds 2019でコスプレするRomain Bigeard by Stephanie Lindgren
Worlds 2019でコスプレするRomain Bigeard by Stephanie Lindgren
− Discordグループに参加した経緯は? 何かきっかけがあったのでしょうか?
『サイバーパンク2077』でインゲームフォトを始めようと思っていたんです。サイバーパンクの世界観が大好きなので。それで、すでにインゲームフォトコミュニティに参加していた友人が数人いたので、興味があるという話を彼らにすると、彼らから手ほどきを受けることになりました。
− インゲームフォトの世界に飛び込んで何か得たものはありましたか? 現実世界の写真に活かせる部分はあるのでしょうか?
具体的なテクニックや学習は挙げられないですが、インスピレーションを得たのは確かですし、撮影欲を解消してくれました。何しろ今はライブイベントがほとんど開催されていませんからね。
インゲームフォトを鑑賞して「ワオ!」と思った時や、伝えようとしているメッセージに感動した時が何回かありましたので、ライブイベントの撮影に戻ったあとは、そのようなインゲームフォトを思い出しながらベターな撮影を試みるタイミングがあると思います。
− では逆に、現実世界の撮影でインゲームフォトに活かせる部分はありますか?
あると思います。現実世界の写真を鑑賞する時は「何を考えながら撮影したのだろう?」と考えるのですが、インゲームフォトは、一瞬を逃すわけにはいかない現実世界とは異なり、じっくり時間をかけて撮影に臨めるので、鑑賞する時は「どれだけ深く考えて撮影したのだろう?」、「どれだけ時間をかけたのだろう?」、「ライティングやアングルはどこまで考えたのだろう?」など考えています。
インゲームフォトではあらゆる選択肢が考えられますが、現実世界の撮影は現場で一瞬を捉える必要があります。現実世界ではアングルやライティングが不足する時もありますが、インゲームフォトではそのような心配はありません。フレキシブルに対応できるため、より多くのアイディアと時間を撮影に注ぐことができます。
インゲームフォトの方が撮影者の自由度が高く、撮影について考える時間的余裕がありますね。イメージを膨らませるツールやアピールしたいポイントを強調するツールも揃っています。
現実世界のeスポーツイベントではワンチャンスしかありません。トロフィーを掲げる瞬間や感動的な勝利の瞬間は1回だけです。また、ライティングもその時の運次第なので難しいです。残念ながら、現実世界のイベントでは常に満足できるライティングが得られるわけではなく、状況を受け容れるしかない時があります。インゲームフォトでは、ヒントやテクニック、ツールが揃っているので、撮影者がよりコントロールできます。
『リーグ・オブ・レジェンド』の観客 by Stephanie Lindgren
『リーグ・オブ・レジェンド』の観客 by Stephanie Lindgren
− 優れたインゲームフォトの定義はありますか? どのようなインゲームフォトを見たいですか?
心が動かされるインゲームフォトが見たいですね。特定の感情を得たいわけではないですが、思わず「これは素晴らしい!」と言ってしまうようなインゲームフォトが見たいです。怒りでも悲しみでも、美しい瞬間でも、際立っていてユニークな作品が優れたインゲームフォトだと思います。また、丁寧に時間をかけて撮影されたインゲームフォトも見てみたいですね。
− 他のゲームよりもインゲームフォトが魅力的なゲームはありますか?
リブート版『ゴッド・オブ・ウォー』はスペシャルなゲームだと思います。クレイトスの表情が本当に豊かですからね。基本的には怒りの表情をしていますが、アトレウスとの関係においては、非常に感情豊かな表情を見せてくれます。
あとは『Ghost of Tsushima』も素晴らしいですね。ゲームプレイも良いですが、風景がとても美しく描かれているので、多くの人がこの作品をきっかけにインゲームフォトを始めています。『Horizon Zero Dawn』も美しい世界が楽しめる作品ですね。
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