スラックライン
【ドローン禁止区域の解決策】360度カメラと特殊自撮り棒で撮影したスラックライン動画!
日本人アスリートたちが活躍したスラックラインイベント【Red Bull Walk The Line】をユニークなテクノロジーで撮影した動画とフィルマーのインタビューをチェック!
ビデオグラファーのスティーブン・ドノバンは、自分の夢を叶えるために私たちが想像できるありとあらゆる仕事をこなしてきた。イエローストーン国立公園とグレイシャー国立公園で3年間働いた経験を持つドノバンは、現地を訪れる冒険家たちに積極的に話かけ、カヤックで滝下りをしたり、スタントをしたりする彼らを撮影していた。
このような努力が、彼をフリースタイルクリフダイバー兼3Dフィルマーへと導き、さらには《FPoleV》と呼ばれるユニークなテクノロジーの開発に繋がった。現在、彼はこのテクノロジーを駆使して、様々なアクションスポーツの360度動画の撮影に取り組んでいる。
超ロングサイズの自撮り棒《FPoleV》に360度カメラを装着して撮影したあと、フレーム単位で動画を編集すれば、まるでアクション映画から抜き出したような、対象を超至近距離からダイナミックに捉える動画が生み出せるのだ。
このようなテクノロジーを駆使しているドノバンは、2021年10月16日にテネシー州ナッシュビル中心部の歴史的なストリート、ロウワーブロードウェイを訪れ、約9mの高さに張られたスラックラインで実力を競い合うフリースタイル・スラックラインイベント【Red Bull Walk The Line】で撮影を担当した。
レッドブル・アスリートの木下晴稀など、インターナショナルスラックライナーたちがバックフリップ、360バレルロール、スプリットなどのトリックを次々と繰り出す中、ドノバンは以前から交流のあるトップスラックライナーたちを至近距離から撮影し続けた。ハーネスを装着して高さ9mのプラットホームに上がったドノバンは、《FPoleV》を上下左右に動かしながら撮影していた。
では、今回の360度撮影は上手くいったのだろうか? また、《FPoleV》を開発した理由は何だったのだろうか? そもそも彼が動画撮影を始めたきっかけは何だったのだろうか?
360度カメラを活用した撮影がアクションスポーツ動画の未来になると感じているドノバンに詳しく語ってもらった。
− カメラを初めて手にしたのはいつですか?
真面目に取り組むようになってからは10年というところです。
− スラックラインの撮影で一番難しいのはどの部分でしょうか?
個人的に難しいと思うのは、スラックライナーへの接近ですね。360度撮影はワイドアングルなので、撮影対象にかなり近づく必要があります。ですので、カメラをぶつけないようにするのが難しいです。
私にはクリフダイビングの経験がありますので、空中で《FPoleV》がどのように動いているのか、そしてどこまで近づけるのかは理解できています。突き詰めて言えば、撮影前にアスリートたちとしっかりとコミュニケーションを取っておくことが重要ですね。
− 今回のような観客が密集している都市部での撮影は難しいのでしょうか?
そうですね。私は24フィート(約7.2m)、35フィート(約10.5m)、40フィート(約12m)のポールを所有していますが、ポールがどの位置にあるのかを把握して、人にぶつからないようにする必要があります。
《FPoleV》を開発した理由は、ドローンの使用が禁止されている区域でドローンのような撮影をしたかったからです。また、ポールを使えば、人が密集していても簡単に撮影できます。ドローンの近接撮影のように観客やアスリートを危険に晒す心配がありません。
− 今回の360度撮影のために特別な訓練を受けたのでしょうか? それとも自分でテクニックを編み出したのでしょうか?
360度カメラを自撮り棒の先端に装着するというアイデアは私のオリジナルではありません。私のテクノロジーの特長はポールの長さです。18フィート(約5.4m)のポールから始めて、徐々に伸ばしていきました。
360度カメラによる撮影は数年前から行われています。GoPro Maxはまさにパーフェクトなギアでしたね。フレームもジンバルも必要ありません。当時はまだ360度カメラの情報をインターネットで見つけるのは簡単ではなかったのですが、GoProと良い関係が築けていたので助かりました。自分のオリジナリティを見つけるまでは随分と時間がかかりましたが、見つけることができたので自分のマーケットを持てています。
常に360度で考えることが自分のオリジナリティだと思っています。ポールの端に自分を置き、アングルや撮影後の編集プロセスまでイメージするのです。スラックラインでは下から撮影するようにしています。こうすることでスラックライナーたちを目立たせることができるからです。彼らよりも上の位置から撮影すると、観客や建物の中に埋もれてしまいます。あとはポールを動かし続けてダイナミックなシーンにするようにしています。
− アクションスポーツフォトグラファーを目指している人たちにアドバイスはありますか?
私はクリフダイビングからこの世界に入りました。才能溢れるアスリートたちと一緒に自分を成長させることができました。インターネットを調べるだけではアクションスポーツを撮影する仕事を見つけることはできません。全員がそれぞれ努力をしてこの世界に入っています。クールな仕事をしている人を見つけることが重要ですね。
私は自分の努力が報われたと思っています。今は思い描いていた生活ができています。360度カメラと360度撮影はアクションスポーツの未来です。このスポーツと動画を永遠に変えることになるでしょう。
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