A screenshot of Luke and Jamie battling in Street Fighter 6
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『ストリートファイター6』:プロプレイヤーとファンの評価
『ストリートファイターV』の時代が終わり新時代へ突入した。シリーズ最新作は格闘ゲームシーンの玉座を取り返せるのだろうか? ベテランファンとプロプレイヤーたちに印象と感想を訊ねた。
Written by Rui Yang Xu and Akshon Esports
読み終わるまで:8分Published on
イベント満載だった『ストリートファイターV』の6年間が終わり、『ストリートファイター6』の時代が始まった。
『ストリートファイターV』のライフスパンの間に格闘ゲームシーンは新時代へ突入し、『GUILTY GEAR -STRIVE-』のような新作がプレイヤーたちの注目を集めていく中、『ストリートファイター』シリーズはスポットライトから少し外れていった。
そのため、新たな高みを目指す『ストリートファイター』シリーズの新作へ向けた注目度は高く、シリーズのファンたちはその新機能、そして格闘ゲームシーンに及ぼす影響に期待していた。
Gachikun prepares for battle once again© Stephanie Lindgren / Red Bull Content Pool
『ストリートファイター6』は新しいゲームなので、みんなが同じスタートラインに立つことになります
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第一印象

『ストリートファイター6』からは、カプコンが『ストリートファイターV』のローンチで犯した自分たちのミスから大きな学びを得ていたことが明確に理解できる。この最新作は開発発表時から特に大きな問題はなく、ほぼ心配ないように思えた。
Sonyの『State of Play』で発表された最初のゲームプレイ動画が『ストリートファイター』シリーズ最新作におけるあらゆる恐怖と心配を払拭したが、実は、最初のティーザー動画は情報が不十分で、コミュニティの多くがあまり良い印象を持たなかった。
しかし、幸運なことに、Michael “Rooflemonger” Townsendのような『ストリートファイター』シリーズ往年のファンたちはティーザーの情報量が少なかったからといって最新作について心配することはなかった。
「“特別すごくはない” というのが私の素直な印象でしたが、“これはまずい” とも思いませんでした。ゲームプレイは何も明らかにされておらず、キャラクターだけでしたが、キャラクターが美しく表現されていたのでひとまず良かったと思いました」
「そのあと、『State of Play』で公開された動画は【BATTLE HUB】【WORLD TOUR】、そして実際のゲームプレイなどが確認できました。これを視聴して、全体的にポジティブな印象を持つようになりました」
最初のティーザー動画ではやや躓いたが、カプコンは『ストリートファイター6』に全力を傾け、この作品が格闘ゲームを次世代へ前進させる可能性があることを示していった。
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間口の広さ

『ストリートファイター6』最大の改良点のひとつは、間違いなくカジュアルプレイヤーのゲーミングエクスペリエンスだろう。
『ストリートファイターV』が基本的な機能だけでリリースされた一方、『ストリートファイター6』は最初から機能が充実しており、たとえば、【WORLD TOUR】ではこれまでになかった新しいストーリーが楽しめるようになっている。
「【WORLD TOUR】は『ストリートファイター』シリーズとしては斬新な機能で、プレイヤーが自由に想像力を働かせることができます」とRooflemongerが説明する。
「無理矢理比較するなら、『Mortal Kombat Deception』の【Konquest】モードですかね。このモードでプレイヤーが操作する “シュジンコウ” は他のキャラクターから技を学びながら世界を旅します。【WORLD TOUR】も同じように他のキャラクターから技を学べるようになっています」
【WORLD TOUR】に留まらず、カプコンはこの作品をプレイヤーが望むだけシリアスにプレイできるように仕上げつつ、優秀な簡易入力バラエティに富んだミニゲームで色々と楽しめるように工夫している。
「私は今作を気に入っています。『鉄拳3』に収録されていた “鉄拳ボール” もよくプレイしましたし、『ストリートファイターIV』でも飛び道具を使った遊びをしていました。どちらかが飛び道具を出したあと、どちらかが失敗するまでそれを跳ね返し続けるのです。これらを想起させるゲームが実装されているのは嬉しい限りですね」とRooflemongerは続ける。
「EVOのメインイベントのクオリティかと言われると、もちろん答えはノーですが、私のようなコンペティティブなプレイヤーでも楽しめるものであることに違いはありません。私はただ楽しむだけのこういうゲームも好きです」
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実験要素

もちろん、格闘ゲームをテーマにしたあらゆる会話はコンペティティブな対戦モードについての議論抜きに完結しない。
格闘ゲームコミュニティにおける『ストリートファイター6』の対戦における最大のトピックは【ドライブシステム】だ。【ドライブシステム】のすべての機能について、カナダ人トッププレイヤーのひとり、Alexander “Mortsy” Mortonは次のように語っている。
「【ドライブシステム】は非常に興味深いシステムになっています。これから色々と試していくことになります」
また、Mortsyは、【ドライブシステム】は複雑なので、一般的な使用方法は確立されるはずだが、パーフェクトな使用方法が見つけられることはないだろうと予想している。
トーナメントなどでプロプレイヤーがどのように使用するのかを確認するのが楽しみだが、格闘ゲームコミュニティはロールバックネットコード《Capcom Pro Tour》の継続にも期待している。
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王の帰還

私たちが最も気にしていることは、『ストリートファイター6』が格闘ゲームシーンの玉座を奪取して、再び格闘ゲームの王になれるのかということだ。Rooflemongerはそうなると予想している。
「私は『ストリートファイター6』によって『ストリートファイター』シリーズが格闘ゲームシーンのトップに立ち返ることに確信を持っています。疑問点はひとつもありません」
『ストリートファイターV』のリリース時とその後の対応のミスは、一部のコミュニティメンバーの間に懐疑心を残すことになったが、『ストリートファイター6』でカプコンが示しているのは、彼らがそれらのミスから学び、大きく成長したということだ。
『ストリートファイター6』で『ストリートファイター』シリーズが格闘ゲームシーンのトップに立ち返ると確信しています。疑問点はひとつもありません
Michael “Rooflemonger” Townsend
『ストリートファイター6』は全体的に素晴らしいクオリティを誇っており、格闘ゲームの進化に対する期待を大きく上回っている。Rooflemongerはリリースのタイミングも良かったと評価している。
「『GUILTY GEAR -STRIVE-』を除いた多くの格闘ゲームはリリースから少し時間が経ってしまっています。『鉄拳7』はもう古いゲームですし、『Mortal Kombat 11』はサポートが打ち切られてしまい、イベントらしいイベントが開催されていません」
これらのシリーズの新作も開発が進んでいるが、先にリリースされた『ストリートファイター6』が大きなアドバンテージを得ることは明らかだ。
「『ストリートファイター6』にはライバルたちよりもかなり前にリリースされたので大きなアドバンテージを得るでしょう。『鉄拳8』もリリースされる予定ですが、実際のリリースはしばらく先ですし、『Project L』も時間がかかるでしょう」
「ですので、『ストリートファイター6』はゲームの内容だけではなく、リリースのタイミングでもアドバンテージが得ることになります。他の格闘ゲームは古いか、リリースまでまだ時間がかかる新作です」
実際、『ストリートファイター6』はすでに格闘ゲームコミュニティの中で好意的に受け止められており、リリースから1週間ですでに全世界の販売本数が100万本を突破した。大きなアドバンテージを得ているのは明らかだ。
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プロの感想

リリースに先駆けて公開された『Red Bull Levels』の中で、ガチくんボンちゃんウメハラが『ストリートファイター6』をプレイした印象を語っている。
ガチくんは次のように語っている。
「『ストリートファイター6』は格闘ゲーム最新作です。『ストリートファイター』シリーズは日本に限らず世界でも人気が出ています。最近はプロプレイヤーたちを相手に勝つのが難しくなっていましたが、『ストリートファイター6』は新しいゲームなので、みんなが同じスタートラインに立つことになります。全員にチャンスがあると思います」
ボンちゃんも同じ感想だが、彼は今作の簡易入力が新規プレイヤーたちの大きな助けになると感じている。
「初心者にとって、最初に当たる壁が技の入力だと思うのですが、新しい入力モードはこの問題を解決してくれています。ある程度の対戦をすぐに楽しめるという意味でとても良い試みだと思います」
ウメハラは『ストリートファイター6』の【ドライブインパクト】のような新システムがゲームを一新しているため、自分を含むベテランプレイヤーたちも新鮮な気持ちで取り組めるようになると考えている。
「僕のようなベテランプレイヤーでも、かなり練習しないといけないなという印象です。また派手な対戦になるので、若くて新しいプレイヤーたちも楽しめると思います」
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Red Bull Kumite 2023開催!

『ストリートファイター6』がリリースされた今、コンペティティブシーンもにわかに活気づいている。Capcom Cup 2023が賞金総額200万円を用意して開催される他、【Red Bull Kumite 2023】も7月に開催される。
今回は南アフリカ・プレトリアにトッププレイヤー16人(うち1人は現地最終予選優勝者)が集結して2日間に渡り熱き戦いを繰り広げる予定で、日本予選も開催される。
詳細はこちらから確認できる。
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