Mario and Luigi in Super Mario Maker 2.
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ゲーム
『スーパーマリオメーカー2』:改造マリオ人気コースデザイナーが語る新作への期待
自分だけのマリオコースがデザインできる人気シリーズの最新作のリリースを前に、世界的に有名な米国人コースデザイナーがこの作品への期待やコースデザインコミュニティのあり方などについて語った。
Written by Kevin Wong
読み終わるまで:6分Published on
2019年6月28日、『スーパーマリオメーカー2』がNintendo Switchでリリースされる。
『スーパーマリオ』歴代作品のコースを自由にデザインできるシリーズの最新作に相当する今作は、選択肢が増えた他にシステムも向上しているため、このシリーズのコミュニティを代表するコースデザイナーたちは早くプレイしたくてうずうずしている。
任天堂が2000年にリリースした前作『スーパーマリオメーカー』は、典型的な “任天堂” ― シンプル大胆不敵イノベーティブ — だった。
言うまでもなく、その何年も前から『マリオ』シリーズにはROMハッキングコミュニティが存在し、コースデザイナーたちがシリーズのアセットを流用してユニークなサイドスクロールチャレンジを生み出していた。
それを見て、任天堂は『スーパーマリオメーカー』で大胆不敵にもそのようなアセットと公式サポートをプレイヤーたちに提供したのだ。
そこには「どうぞどうぞ。私たちを上回れると思うならどうぞやってごらんなさい」という態度が感じられた。
任天堂よりも小規模なデベロッパーなら優秀なユーザーやファンに自分たちを上回るものを作られてしまうのではないかと心配していただろう。しかし、任天堂はそこに活発なオンラインコミュニティが生まれるポテンシャルを見出していた。
そして6月28日以降、そのコミュニティの規模はさらに大きくなるはずだ。
高い人気を獲得しているユーザー作成コースはどれもオフィシャルコースに匹敵するクオリティ(ただし高難度)だが、海外には日本のサブカルチャーから派生したサブコミュニティが作成している “Kaizo” コース(日本の "改造マリオ" シーンの “改造” から取られた。転じて超高難度コースを指す)が存在する。
"Kaizo" コミュニティが作成するコースはどれも悪魔のように難しく、空中で複数のこうらを投げてこうら同士をぶつけながらその上をロングジャンプで渡り続けていかなければならないセクションなど、フレーム単位の入力が求められるセクションだけで構成されている。
米国・コネティカット州に住む23歳のストリーマー、Alex Tanにとって『スーパーマリオメーカー』は願ったり叶ったりの作品だった。
「子供の頃にスーパーファミコンで『スーパーマリオワールド』をプレイしたのが、僕の “ファースト2Dマリオ” でした」
「僕はビデオゲームを大量にプレイするタイプではありません。『スーパーマリオワールド』が初めてプレイしたビデオゲームでしたが、僕はそれからこのゲームをひたすらプレイし続けました」
ゲーマータグ “PangaeaPanga” で知られるTanは、2007年からLunar Magicと呼ばれるソフトウェアを使って『スーパーマリオワールド』の “Kaizo” コースを作ってきた。
しかし、『スーパーマリオメーカー』がリリースされたことでTanは自分の作品をより多くの人たちに知ってもらえるようになり、すぐに彼の “Kaizo” コースはオンラインコミュニティ内で悪名高いものとして知られるようになった。
Tanにとって、“Kaizo” コースはただ高難度なら良いというわけではない。ひとつに上手くまとめられており、流れるようなプレイが楽しめ、もっとプレイしたいと思えるコースこそが、正式な “Kaizo” コースだ。
「高難度を謳っているだけのコースは反復性が強すぎたり、退屈なトリックが用意されていたりするものが多いんです。僕がデザインしたコースの中で、一番誇りに思っているのは《Skyzo》と《P-Break》ですね」
「《Skyzo》は “Kaizo” コースの入り口と言われています。“Kaizo” コミュニティメンバーの多くが、初めてプレイした高難度ステージのひとつとして《Skyzo》を挙げています。また、彼らはこのコースと出会ったことで “Kaizo” コミュニティに参加しています」
『《P-Break》は、最高難度コースのインスピレーションソースとして扱われています」
「《P-Break》が発表されてから多くの人たちが『スーパーマリオメーカー』でこのコースを超える難度で、しかもプレイしがいのあるコースをデザインしようとしてきましたが、このコースを上回るものは早々には出てこないと思います」
『スーパーマリオメーカー2』にはさらなるクリエイティビティを引き出すオプションが用意されている。
今作では様々な角度の坂、どこまでもついてくる太陽、高さを自由に設定できる水面、たつまき、カスタムスクロールやスネークブロックなどが追加されている。
Tanはこの続編について最初は疑問だった。「『スーパーマリオメーカー』にいくつか機能を追加しただけじゃないのか?」と思っていたのだ。しかし、いくつかのプレビューをチェックしたあと、『スーパーマリオブラザーズ2』はそれ以上の作品だということが明らかになった。
『スーパーマリオメーカー2』ではON/OFFスイッチが登場
『スーパーマリオメーカー2』ではON/OFFスイッチが登場© Nintendo
追加機能のいくつかは、『マリオ』シリーズ標準と言えるもので、オンラインコミュニティのこれまでの作業を大幅に簡略化・合理化してくれるものだ。
“ON/OFFスイッチ” には大きな期待を寄せています。なぜなら、ノーマルブロックと同じ形状でコース内に仕掛けを作れるからです。前作ではPOWブロックとブラックパックンを組み合わせなければ作れなかったようなものが作れます」
昼と夜を切り替えることもできる
昼と夜を切り替えることもできる© Nintendo
『スーパーマリオメーカー2』にはその他にも様々な機能が追加されており、そのポテンシャルは未知数だ。
たとえば、今作では昼と夜を切り替えることができるようになっているのだが、これを利用すれば氷のコースをさらに滑りやすくすることができる。また、重力をひっくり返したり、消したりすることもできる。
こうらを使った連続ジャンプは高難度 “Kaizo” コースには欠かせない
こうらを使った連続ジャンプは高難度 “Kaizo” コースには欠かせない© Nintendo
現在、『スーパーマリオメーカー』コミュニティのベテランメンバーのTanはコミュニティに恩返しをしており、YouTubeで『Kaizo Kindergarten』を展開して初心者たちにコースデザインのテクニックやヒントを教えている。このようなテクニックやヒントを理解していなければ、コースデザインで躓いてしまうからだ。
ヘルシーなオンラインコミュニティは、難しいコースの作成から生まれるわけではありません。コースデザインやコース攻略で躓いているプレイヤーを助けることから生まれます」
「プレイヤーやコースデザイナーがどんな間違いを犯していて、どこを直せば良いのかを説明するなど、小さなことから初めて行きましょう」
「また、このコミュニティではストリーマーが重要な役割を担っています。初心者たちからロールモデルとして扱われることが少なくありません」
「ポジティブなロールモデルとして活動して、ポジティブなコミュニティを作っていきましょう」
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