日本列島自慢
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サーフィン

【Surf For Life #08】日本列島自慢

サーファー 間屋口 香がサーフシーンのリアルを綴る。サーファーならずとも、そしてサーフィン初心者でも胸にグッとくる、ハートウォーミングな連載コラム『Surf For Life』。
Written by Kaori Mayaguchi
公開日:
今年の台風15号はウネリ台風となり、サーファーの気持ちを無視することなく私たちを喜ばせてくれた。
アップカミングも早く、バックスウェルも長かった。日本の最西端の島から始まり、北は北海道まで日本人サーファー達は同じスウェルを堪能したことだろう。
15号の報告としてすでにニュースとなったいくつかのエリアを見てみよう。
  • 四国では若手パイプライナー達も集い地元プロサーファー達やローカル達とファンバレルをスコア。
  • 愛知県では地元プロサーファー達がグッドウェーブを楽しんだ様子。
  • 静岡県御前崎周辺では高速ブレイクを切り刻んだ樋口賢プロ達。
  • 東北仙台で松岡ケイトプロ達がスコアした極上ビッグウェーブは伝説に残りそうだ。
そして表には出ていないたくさんのエリアでサーファー達の記憶に残るリーフブレイクや河口、ビーチブレイクでのセッションがあっただろう。
今年の台風5号と15号を見事にあて、オーストラリアから来日していた一人のグレートサーファーと話すことができた。
「普段は日本は波が小さいから、台風がヒットした時にソリッドな波が来てもその時にスポットを見つけるのが難しい。マップで地形の出方を見ながら探したよ」
と、言っていた。
5年前にジョンジョンとデーン・レイノルズが日本の河口をスコアしてから、外国人サーファーからの注目が集まってきているが、その後完璧にスコアしているワールドクラスのサーファーはいない。
他国と比べると山と海との距離が近い日本では、川の流れから形成される地形で極上の波が現れる。降雨量に左右されるため、どれだけいいウネリがきても波がブレイクしない可能性もある。そこの地形がどのような状態なのかというローカル達とのやり取りも重要だろう。
割と速い台風の動きと自分のスケジュールを合わせることは、ツアーをフォローしているプロサーファーらにとっては容易ではないだろう。
そんないつ訪れるか分からないThe Dayを根気よくまっているのが私たち日本人サーファーとなる。住んでいる場所に海がないサーファー達でも、各々が心の中で狙っている場所がある。
以前いい思いをしたポイントがあれば、またそこのポイントへ足が向かってしまうだろう。
島国日本は、れっきとした誇れるサーフィン国。
多種多様なコーストラインがあり、ボトム形状も様々である。日本に住んでいてサーフィンをしないなんて、という考えはいささかもオーバーではないだろう。
この国は国土面積は狭いが細長く、海に囲まれている。なんと国の海岸線の長さ順リストでは世界で6番目にあたるらしい。(ちなみに1位はカナダ、2位ノルウェー、3位インドネシア、4位ロシア、5位フィリピン、7位オーストラリア)
海外サーファーからすると日本のパシフィックサイド(太平洋側)のクオリティーの高さが徐々に噂になっているが、あまり知られていない瀬戸内海でもサーフィンはできるし、日本海、東シナ海にもソリッドな波がブレイクする。
以前、フリーダイビングが目的で沖縄からフェリーで向かった島がある。一周するのに1時間もかからない島が幾つか密集している諸島だった。
世間一般にもそこまで知られていない島なのだが、聞いた所によると台風の進路次第で極上波がブレイクするのだとか。
たまたまその島の近くを台風が通過する時に居合わせた私は、船でその諸島周辺をパトロールに連れて行ってもらった。
驚く事に、普段は静かな潜りスポットの上にパーフェクトな筋がいくつも規則正しくラインナップしていた。そんな場所が至る所に出現していたのだ。
いつかまたあの諸島の波に会いに行きたい。
台風が接近すれば船が出航しないため、本当にそこの波を乗りたいのであれば早入りして根気よくウネリの到達を待つしかなさそうだ。
日本にはそんな隠されたブレイクがまだまだ残っている。案外いつも車で通っている地元でもまだ手付かずのブレイクがあるのだろう。
一つの場所を愛し続け、通い続けるのも素敵だ。
もしくは日本各地に出現する波を追いかけ続けるのも悪くない。むしろ私たち日本人にしかできないことかもしれない。
波乗りは飽きない。
例え永遠の命が人に与えられたとしても、波乗りに飽きがくることは無いだろう。
◆Author Profile
間屋口 香(まやぐち・かおり)
プロサーファー。10代で全日本タイトルを獲得し、20代は世界レベルで活動。ASP WQS6などの世界大会で好成績を残す。現在はコンペティションシーンからは引退し、地元である徳島県をベースに「サーフィンの楽しさを伝える」活動に従事する。
◆Information
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