サッカー日本代表、南野拓実(FCレッドブル・ザルツブルク)。
© Teruhisa Inoue
サッカー

南野拓実が海外で挑戦し続ける理由|インタビュー

海外シーズン6年目を迎えたサッカー日本代表・南野拓実。所属チームFCレッドブル・ザルツブルクでの“勝負のシーズン”と意気込む、その胸の内を語る。
Written by Yoshikazu Sudo
読み終わるまで:8分最終更新日:
サッカーを始めた時から、その視線の先にしっかりと捉えていた未来……。
彼はその未来を今まさにつかもうとしている。
「チャンピオンズリーグ(欧州CL)に出る。プロのサッカー選手になることを意識し始めたJrユースの頃から描いていた、ひとつの目標なので。やっぱり想いは強いですね」
サッカー日本代表、南野拓実(FCレッドブル・ザルツブルク)。
サッカー日本代表、南野拓実(FCレッドブル・ザルツブルク)。
セレッソ大阪の下部組織から順当にトップチーム(J1)へ昇格を果たした南野は、そのまま開幕スタメンに抜擢されると、同シーズンはリーグ戦29試合に出場(5得点)。まだあどけなさが残る表情とは裏腹に、センス溢れるボールタッチとスピードに乗ったドリブルから貪欲にゴールへと向かう。そのプレースタイルは、高卒ルーキーながらすでに相手チームの脅威となっていた。
彼の名は瞬く間にJリーグ全体に知れ渡り、日本のサッカーファンの期待もひとしお。端正なルックスも相俟って、メディアはこぞって注目の“イケメンJリーガー”という常套句で、南野拓実を飾り立てた(かく言う筆者も本取材への真摯な対応を目の当たりにしてその気持ちは十分理解できた……)。

◆日本(Jリーグ)での経験を糧に欧州で勝負するという強い意志

そのまま日本でプレーを続ければその注目度からして、“ある程度”の満足感は得られたのかもしれない。ただ当の本人は意に介さず? 2シーズンで、オーストリアの1部リーグ、FC Red Bull SalzburgFCレッドブル・ザルツブルク)に完全移籍する道を選択した()。
移籍当時の取材記事はこちら >> 南野拓実選手、いざ新天地へ|インタビュー
「サッカー選手である以上、やっぱり(チャンピオンズリーグは)誰もが目指す舞台だと思います。幸運にもそのチャンスが今の僕にはある。試合に出て、そこで自分は何を示せるのか。今シーズンにかける気持ちはこれまで以上に強いものがありますね」
冒頭から一貫しているが、“出たい”ではなく“出る”という南野の言葉に確固たる自信が滲む。
言わずもがなだが、リーガ・エスパニョーラ(スペイン)やプレミアリーグ(イングランド)、ブンデスリーガ(ドイツ)、セリエA(イタリア)はサッカー4大リーグと言われ、“それ以外”の欧州リーグの上位クラブともなれば、上記ビッグクラブでの成功を目指し、屈強かつ血気盛んな選手らが鼻息荒く自己主張する世界。そこで南野は移籍まもなく2年連続2ケタ得点を叩き出し、チームの国内リーグ6連覇にも大きく貢献。その高い適応能力と結果こそが、その自信の確かな裏付けとなっている。
「日本でプレーしていた時と比べてゴールへの姿勢は確実に変わった部分。最後の最後で顔を出せるかとか。そこまでの過程も当然ながら大切なんですけど、最後の(ペナルティ)ボックス内で仕事ができる選手じゃないと、こっちでは評価されない。細かい話になっちゃいますが、どういうポジショニングを取って、どうターンしてゴールに向かって行けるか。つねに点を取ることを意識して。極端な話、このチームでは“得点がすべて”くらいの気持ちでプレーしていますね。特に今は」
話す内容とともに目つきの鋭さが増していく。
サッカー日本代表、南野拓実(FCレッドブル・ザルツブルク)。
サッカー日本代表、南野拓実(FCレッドブル・ザルツブルク)。
その張り詰めかけた空気を察して……か、どうかは定かではないが、ひとりの陽気な男性が取材中などお構いなしに南野とハイファイブ! ひと言、ふた言交わして去っていく。
「アノ人、監督です(笑)」
まずは筆者の勉強不足を謝罪すべきだが、チームとの関係も良好と見て取れる。
「最初は大変でしたけどね、言葉も全く準備していなかったし。こっちに来てから、ドイツ語勉強し始めたんですよ(笑)。週3回、家庭教師をつけてたんですけど、その先生がドイツ語と英語しかしゃべれなくて。ドイツ語の勉強中にわからないところを質問すると英語で説明されて、最初はその英語すら理解できなくて、もうわけがわからない感じ。
サッカー日本代表、南野拓実(FCレッドブル・ザルツブルク)。
サッカー日本代表、南野拓実(FCレッドブル・ザルツブルク)。
あと、サッカー選手としてピッチに立つ以前に、家を探さなきゃいけないとか、ひとりで銀行に行かなきゃいけないとか。私生活でもサッカーでもわからないことだらけ。ただそれらは“自分の想定の範囲外のこと”ではなくて、起きて当たり前のこと。海外でやってるんだから、どんなことが自分に起きても全て受け入れる覚悟でいますね」

◆南野拓実の苦悩の2年間、そして越えるべき壁と若手の台頭

持ち前の適応能力で、ともあれ順風満帆に見える海外での挑戦だが、大きな挫折などはなかったのだろうか。
「日本代表に2年間くらい呼ばれなかった時期は、苦しかったといえば苦しかったです……」
確かに、南野といえば2015年の招集以来、日本代表から遠ざかっていた時期がある。その間もU-23には選出されていたものの、自分自身満足のいく結果が得られなかったと、その時の苦悩を振り返る。
「得点こそ取れてはいましたが、まだまだ所属チームでも“絶対的な選手”ではなかった。日本代表がすべてというわけではありませんが、同世代の選手が呼ばれている中で。もどかしさというものは実際ありました」
サッカー日本代表、南野拓実(FCレッドブル・ザルツブルク)。
サッカー日本代表、南野拓実(FCレッドブル・ザルツブルク)。
そんな彼も新世代の日本代表では、堂安律(フローニンゲン)や中島翔哉(ポルト)らとともに、“三銃士”と呼ばれる攻撃陣を形成。南野はその中央(主にトップ下)で、文字通り中心選手として活躍をしている。
「トップ下が一番やりやすいポジションではあります……。だけど、2シャドーもできるし、ワントップや2トップの位置でも、4-4-2のサイドハーフだってプレーできる。攻撃的なポジションはどこでもやれる自信はあるし、どこからでもゴールに向かっていける。それが自分の強みだと思っています。ポジションに固執するのではなく、どのポジションであろうとチームの勝利ためにできるプレーをする。僕にとってはそれがとても大切なことなんです」
古巣(セレッソ大阪)の先輩にして、日本人史上最高アタッカーのひとりである香川真司の後継者としても期待される。一方で、久保建英(Rマドリード)を筆頭にアンダー世代の活躍もすでに目覚ましいものがある。越えるべき壁と若手の台頭。やっと掴みかけた日本代表での定位置を確固たるものにするにはあまりにも過酷、この状況についてはどのように捉えているのであろう。
「うーん……、“かかってこい!”とか“のぞむところ!”みたいな、強気なコメントが欲しそうですね?(笑)。いや、純粋にビッグクラブに所属できる選手は本当にすごいと思います。そんな選手たちが日本代表では切磋琢磨して、ポジション争いをして、チーム全体が強くなっていくのはすごくいいことですよね。もちろん自分の中で色々考えることはありますけど、それは口に出してどうこう説明するものでもないかな。僕はプロのサッカー選手なので“ピッチの上で示す”、それが一番重要だと思っています」
サッカー日本代表、南野拓実(FCレッドブル・ザルツブルク)。
サッカー日本代表、南野拓実(FCレッドブル・ザルツブルク)。
その言葉通り、南野拓実は今シーズンの開幕から2戦連続でゴールを挙げるなど、リーグ7連覇を目指すチームを勝利に導いている。
そして今秋、いよいよチャンピオンズリーグの初戦を迎える。そんな待望の舞台で、きっと彼は自分の価値を存分に示してくれるだろう。
これからの未来を描くためにも……。
サッカー日本代表、南野拓実(FCレッドブル・ザルツブルク)。
サッカー日本代表、南野拓実(FCレッドブル・ザルツブルク)。
(2019年12月13日 追記)

◆王者リバプール FC相手に、1ゴール1アシストと大躍動

チャンピオンズリーグでFCレッドブル・ザルツブルクは、タレント揃いの前回王者Liverpool FC(リバプールFC)と同じグループEで奮闘。そんな中、南野拓実も計6試合で2ゴール3アシストを記録し、同敵将のクロップ監督や鉄壁のDFフィルジル・ファン・ダイクをもってしても「危険な存在」として、注目を集めた。
最終的にFCレッドブル・ザルツブルクは惜しくもグループリーグ3位で決勝トーナメント進出を逃すも、南野拓実はシーズン序盤の本インタビューを体現するように、今後もその存在価値を示し続けてくれるだろう。
(2019年12月20日 追記)

◆新天地でのさらなる挑戦、その意気込みを語る

チャンピオンズリーグでの活躍が認められ、2020年からプレミアリーグの名門クラブへの移籍が実現した南野拓実。丸5年間を過ごし、慣れ親しんだFCレッドブル・ザルツブルクでの思い出やファンへのメッセージ、新天地での意気込みを下記インタビュー動画にて語る。

5分

南野拓実インタビュー動画

チャンピオンズリーグでの活躍が認められ、2020年からプレミアリーグの名門クラブへの移籍が実現した南野拓実。丸5年間を過ごし、慣れ親しんだFCレッドブル・ザルツブルクでの思い出やファンへのメッセージ、新天地での意気込みを下記インタビュー動画にて語る。

(了)

◆南野拓実、好発進の2019-20シーズンをミニフォトギャラリーでプレイバック!

◆Information
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