トレーニングに時間を費やすシヤ・コリシ
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【スーパーラグビー】ケープタウン・ストーマーズに学ぶ2020年のチームマネージメント

© Craig Kolesky/Red Bull Content Pool
ロックダウンで半年間トレーニングができなくなった南アフリカのトップラグビーチームはどのように試練を乗り越えたのだろうか? ヘッドコーチのジョン・ドブソンとキャプテンのシヤ・コリシが振り返る。
Written by Ola Madden公開日:
スーパーラグビーに所属する南アフリカのプロラグビーチーム、ケープタウン・ストーマーズは現在グラウンドに戻っているが、たった半年前の彼らは自宅で菓子を焼いたり、アフリカーンス語でラップしたりして競争心を維持していた。
南アフリカが厳格なロックダウンに突入した2020年3月、同チームのヘッドコーチを務めるジョン・ドブソンは、チームをひとつにまとめ、チームスピリットと試合への意欲を生み出す方法を模索していた。
「南アフリカで厳格なロックダウンが初めて施行された時、私たちは3週間でトレーニングを再開できるだろうと考えた。チームはエナジーに溢れていたので4グループに分け、自宅にいながらチーム同士で競い合えるようにした。お菓子を作ったり、歌を歌ったり、ゲームをしたり… 楽しい思い出だ」
「3週間でプレーを再開できると思っていた」と振り返るドブソンヘッドコーチ
「3週間でプレーを再開できると思っていた」と振り返るドブソンヘッドコーチ
チームは、ラグビーのスキルに関するZoom会議も毎日行っていたが、上記のようなバーチャルアクティビティも積極的に楽しんだ。このようなアクティビティは、彼らが恋しく感じていた “チーム内でのジョークの言い合い” を楽しむ時間を提供した。
菓子作り対決について、ドブソンは笑いながら次のように振り返っている。「優勝したのは南アフリカ代表にも選ばれている選手だ。彼はアップルクランブルを作ったんだが、あれは美味かったが怪しかったね。オーブンに入れる前と出来上がりの形がかなり違っていたんだ(笑)」
また、選手たちはラップをしたり、アカペラを歌ったりして音楽の才能も競い合った。ドブソンが続ける。「コーチ陣と選手全員がZoomで繋がっていたが、Zoom以外でも繋がってもらうというのがこのようなアクティビティの目的だった。ロックダウン中の私たちにとって、これが何よりも重要だった」
しかし、当初の3週間という予想は大きく外れ、彼らがグラウンドに戻れたのは半年後だった。チームのバーチャルアクティビティは、延長されたロックダウン中のチームの心身の健康状態を確認する助けとして活躍した。
ロックダウンは難しかった。自分が仕事をしていないように思えてしまったからだ。選手やスタッフのストレスが溜まっていくのが手に取るように分かった
ジョン・ドブソン
「その後、ロックダウンがしばらく解除されないことが明らかになったので、選手とスタッフには友人や家族にフォーカスしろと伝えた。」
「不満を感じているグループがいるのではないか、チームが崩壊してしまうのではないかと恐怖を感じるようになった。そして、これが最大の学びになった」
「組織が大きなストレスに晒されている状況は、耕されていない畑に種を蒔くのと同じだ。それで、全員を通常のトレーニングスケジュールから解放する方がベターだと判断した」
この判断がチームを助けたのだ。
シヤ・コリシ
シヤ・コリシ
ストーマーズと南アフリカ代表でキャプテンを務めるフランカーのシヤ・コリシは次のように振り返る。「ロックダウン中は自宅のジムでフィットネスを維持していた。自宅にきちんとした設備が整っているからラッキーだったね。妻、子供、兄弟と一緒にトレーニングできたのは良かった」
コリシは急遽増えた家族との時間を楽しんだが、チームメイトに会えないことは残念に思っていた。
チームの練習再開時期が明らかになったあとは、バーチャルアクティビティに積極的に参加した。チャリティ活動もチーム全員の心身の助けになった。コリシは次のように振り返っている。
「チームでタウンシップ(低所得者層が住む地域)や郊外へ向かい、食料を配布したんだ。その大半は皆さんから寄付していただいた食料だった。お陰様でタウンシップや郊外で暮らす人たちの心身の健康状態はかなり回復した。寄付金もかなり集まったので、現金も支給することができた。素晴らしい活動ができたよ」
チームでタウンシップ(低所得者層が住む地域)や郊外へ向かい、皆さんから寄付していただいた食料を配布した。お陰様でタウンシップや郊外で暮らす人たちの健康状態はかなり回復した
シヤ・コリシ
ラグビーチームは複数の年齢層で構成される時が多く、代表経験を持つベテラン選手から未成年の選手までが含まれている。ロックダウン中は、チームの結束を強める取り組みが選手間の年齢と経験の違いを埋めるのに役立った。ドブソンが説明する。
「普段からそういう取り組みをしているが、ロックダウン中はチームスピリットを維持するのがひときわ難しくなったので、選手間のギャップを埋めることに注力した」
「社会階級、人種、年齢、キャップ数の違いを乗り越えたチーム作りを目指し、毎週金曜日に全員で集まってバーチャル “ビール&セレモニー” を開催して、表彰と会話を楽しんでもらった。お互いを良く知ってもらうためにね」
もちろん、このような取り組みは簡単ではなく、今も継続しているとドブソンは付け足している。
ストーマーズは世界最大級のラグビークラブで、南半球最大級の人気を誇る。彼らは1試合平均45,000人をスタジアムに集めていたが、現在は誰もいないスタジアムでプレーしている。ドブソンが説明する。
「今、私たちは誰もいないスタジアムへ向かっている。エナジーはまったく感じられない。これが大きな違いとして私たちにのしかかってくるので、何とか乗り越えて自分たちにモチベーションを与える必要がある。意識を切り替えなければならない」
また、彼らは普段とは異なる季節、南アフリカの “夏” にプレーしなければならない。しかし、これはより大きなチャンスと機会を彼らにもたらすことにもなる。ドブソンが続ける。
「南アフリカは以前よりもノーマルへ戻りつつある。チームはビーチでのトレーニングもできるようになった。進め方や組み合わせ方など、幅を広げたトレーニングを考えられるようになっている」
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Siya Kolisi

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