Teiga
© Todd Owyoung
eスポーツ

『ストリートファイターV』:ニューヨーク出身格ゲープレイヤーが語るローカルコミュニティの重要性

ニューヨークで長年活動する格闘ゲームプレイヤーTeigaが地元のシーンとコミュニティから得た経験や学びについて語った。
Written by Brandon Brathwaite
読み終わるまで:7分Published on
Kameron “Teiga” Charlesはトリニダード・トバゴ生まれ、ニューヨーク・ブリックリン在住の格闘ゲームプレイヤーだ。Teigaのオフライントーナメントデビューのストーリーからは、彼が格闘ゲームにコミットしていないと見なすのはとても難しいだろう。
Teigaは高校卒業後すぐにニューヨークのトッププレイヤーたちがひしめくトーナメントNext Levelに初めて顔を出し、『ストリートファイター』シリーズで腕試しをしたのだ。本人の話では、Next Levelに出場したのは自分がオンラインのトッププレイヤーであることを知っていた友人たちに頼まれたからだったようだ。
「Next Levelでオフラインデビューをするまで僕はオンライン専門でした。Next Levelの初戦を0-2で落として、“何だよ!” と思いましたね」
そして、オフラインプレイヤーとしての経験が不足していたTeigaは続く2戦目を不戦敗で落としてトーナメントから敗退した。
「初戦のウィナーズでSpab Rogに敗れたのですが、当時の僕はトーナメントがダブルエリミネーション方式を採用していることを知りませんでした。ですので、初戦を落としたあと帰ってしまったのです。2戦目でルーファス使いのGlitchと対戦する予定だったのですが、不戦敗になってしまいました」

Red Bull Subway Showdown 2022:ファイナル

Next Levelデビュー後、Teigaは別のことに注力していたが、どういうわけか、彼はニューヨークの格闘ゲームシーンに本気でコミットしているプレイヤーたちと再び顔を合わせることになった。
「2014年に『Marvel』シリーズをプレイするまで、トーナメントからは離れていました。笑える話なんですが、僕の学校で開催されたスクールトーナメントにCoach Steveがやってきて、優勝したんです」
「彼の姿を見て、対戦の情熱に再び火がつきました」
現在【Red Bull Subway Showdown】でキャプテンを務めるCoach SteveShineは、Teigaがニューヨークの格闘ゲームコミュニティ(FGC)について急速に学ぶための貴重な情報源となった。シーンで活動する経験豊かなメンバーとして、2人はTeigaに厳しい愛のレッスンを与えた。
「2人は僕にとってプライベートな先生のような存在でした。言葉では教えてくれませんでした。対戦で懲らしめることで教えてくれたのです。トーナメントキャリアの序盤に得た経験の多くは、間違いなく彼らから得たものです」
言葉では教えてくれませんでした。対戦で懲らしめることで教えてくれたのです
ニューヨークのシーン、特に『ストリートファイターIV』時代は、Teigaにスキルを磨く機会を数多く授けた。「当時、Glitchはクイーンズに住んでいました。確かスプリングフィールド・ガーデンズだったと思います。Sanford Kellyも住んでいましたし、みんな住んでいました。全員が集まってトレーニングをしていたんです」
Teigaがそのトレーニング用の場所へ向かうためには交通機関で2時間が必要だったが、DieminionやSanford Kellyをはじめとする当時のトッププレイヤーたちと一緒にプレイできたため、長時間かけて移動する価値はあった。
当時はトーナメントの数も十分だった。Teigaが振り返る。
「『ストリートファイターIV』時代の終盤は、ニューヨークのどの地区でもトーナメントが開催されていました。僕はハーレムのトーナメントによく参加していましたし、ブロンクスのトーナメントにも通っていました。ミッドタウンクイーンズブルックリンにも行っていましたね。週末に開催されていたほとんどすべてのトーナメントに顔を出していたと思います」
最終的にTeigaはシーンの中で自分のポジションを確立させていき、自分に手ほどきをしてくれたプレイヤーたちから勝利を奪えるようになっていった。しかし、TeigaにとってNext Levelは自分の格闘ゲームキャリアを育ててくれた本拠地以上の意味を持っていた。Next LevelのオーガナイザーHenry Cenから優先順位についての貴重な学びを得られる場所でもあったのだ。
大学での勉強が忙しくなり、トーナメントに参加するのが難しくなってくると、TeigaはCenから学業に集中するようにアドバイスされた。
「周りからは “出てきなよ” とプレッシャーをかけられていたのですが、Henryは “学業に専念して、ちゃんと卒業するんだ。ゲームはいつでもできる” と言われたんです。全員が顔を出している場所を仕切っている人物からそれを言われたのですから、自分が何をすべきかは明らかでした」
このような関係が示しているのは、ただ一緒にプレイすることを超越して醸成されていったニューヨークのシーンにおける仲間意識は本物だということだ。自分とはまったく異なる世代のCenから授けられた知恵は、Teigaのような人物、特に自らリーダーシップを取って今のシーンを率いている人物には極めて貴重だった。
TeigaがニューヨークのFGCの本質を見事に表していると信じている人物がひとりいる。彼の名前はSpooky。イベントの中継を中心に長年に渡りシーンを支えてきた重鎮だ。Teigaが語る。
「Spookyとの関係から僕が言えるのは、彼がシーンで最も優しい人物のひとりだということです。Spookyはいつもその瞬間を楽しんでいます。ストレスを感じていないんです。僕たちは対戦しますし、お互い闘志に満ちているときもありますが、結局、僕たちはお互いにコミュニティのメンバーなんです。Spookyはこのコミュニティを支える柱の1本です」
Chinatown Fair(※チャイナタウン・フェア:ニューヨークのアーケード。格闘ゲームの対戦ハブとして盛況を誇った)時代からコミュニティを支えてきた人たちをTeigaは誰よりも尊敬している。Teigaは当時を凄いと感じているが、同時に今とは完全に違う時代だったことを明確に理解している。
Teigaが実際にChinatown Fairで対戦したことはないが、彼が格闘ゲームに対して興味を持ち始めたのはこのアーケードだった。
「2010年にChinatown Fairを訪れました。アーケードシーンがどんなものなのか興味があったからです。年齢が若かったこともあったと思いますが、当時のアーケードはとにかく大きく見えました。Chinatown Fairにはカリスマ性があり、刺激的エナジーに満ちていました。大人になった今訪れると、“ワオ、当時はもっと大きいと思っていたのに!” と思いますね」
ローカルトーナメントは過去に積み上げてきた努力が今も役立っていることを教えてくれます
高校を卒業してすぐにニューヨーク最強プレイヤーたちの巣窟へ向かった新人時代はとうの昔に過ぎ去った。昨年の【Red Bull Subway Showdown 2021】と同じように、今年もTeigaはブルックリン代表として【Red Bull Subway Showdown 2022】に挑んだ。
今の彼はニューヨーク最強クラスのプレイヤーたちと互角に渡り合える実力が自分に備わっていることを理解しているが、このようなローカルトーナメントは自分を客観的に見る機会になる。
「【Red Bull Subway Showdown】のようなトーナメントは、僕が過去に積み上げてきた努力が今も役立っていることを教えてくれます」
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