Gaming
ビデオゲームの開発はトリッキーだ。
トリッキーなんてもんじゃないと言いたい人もいるかもしれないが、素晴らしいアイディアを持っているのに、そのアイディアをプレゼンした相手が頷いてくれないというのはややこしい状況だ。
もちろん、数多くのインディーデベロッパーたちは素晴らしいビデオゲームを次々と開発しているが、上のような状況になることも良くあるのだ。
しかし、素晴らしいビデオゲームを開発する方法は他にもある。
今から10年ほど前に誕生したKickstarterだ。ここでインターネットの全住民に自分のアイディアをプレゼンして必要最低限の資金を得られれば製品化できる。
今から10年前は、Kickstarterに代表されるクラウドファンディングはまだ珍しかった。また、当時目標額を達成したビデオゲームの中にはまだリリースされていないものがあり、いくつかの不運によって流れてしまったものもある。しかし、それでも、製品版のクオリティの高さから大ヒットになった作品がいくつかある。
今回紹介する9タイトルは、アイディアを信じてくれたファンたちのおかげでこの世に存在するKickstarter産ビデオゲームのベスト・オブ・ベストだ。
1:『Broken Age』
Kickstarter産最初期作品群の中で最も高い評価を得た作品のひとつとして知られる『Broken Age』は、Double Fineが開発した美しいポイント&クリックアドベンチャーだ。
イライジャ・ウッド(時系列的には『ロード・オブ・ザ・リング』で世界的名声獲得したあとからUbisoftと『Transference™』を共同開発するまでの間)、ジェニファー・ヘイル(『メトロイドプライム』シリーズのサムス・アラン / 『オーバーウォッチ』のアッシュ)、ジャック・ブラック(『スクール・オブ・ロック』 / 『Brutal Legend』)などを含むオールスターキャストを擁していることもあり、このゲームはKickstarterプロジェクトとして大成功を収め、87,142人のバッカーから350万ドル(約3億8,400万円)を集めた。また、その人気の高さからドキュメンタリーも制作された。
2:『ショベルナイト』
2013年はもはや遙か昔に思えるが、Yacht Club Gamesが14,749人のバッカーから31万1,502ドル(約3,419万円)を集めてこの年に開発したゲームは、2019年まで定期的にアップデートされ続ける大ヒットシリーズとなった。
レトロスタイルのプラットフォーマーのオリジネイターのひとつに数えられる『ショベルナイト』は、他のゲーム(後述の『Yooka-Laylee』など)にも多数ゲスト出演しており、任天堂以外のキャラクターとしてamiibo化されるというレアな栄誉も受けている。
尚、2019年も最新・最終DLCの『King of Cards』と『Showdown』のリリースに合わせて3体が新たにamiibo化される予定だ。現時点では『スマブラ for Special』のアシストフィギュアだが、正規ファイター化も考えられなくもない。
3:『FTL』
Subset Gamesが開発した2作目『Into the Breach』が圧倒的な高評価を得ているので、彼らの処女作『FLT / Faster Than Light』がKickstarterプロジェクトだったことをついつい忘れてしまう。
約1万人のバッカーから約20万ドル(約2,195万円)を集めて現実となった『FTL』は、それだけの価値があった作品と言わざるを得ない秀作だ。
『FTL』はローグライク・宇宙船シミュレーションゲームで、船内に発生する火事の消火活動を含むマルチタスクをこなしながら、未知の世界の探検調査を行っていく。今思うと、20万ドルでこのようなゲームが手に入ったのは儲けものだった。
4:『The Banner Saga / バナーサーガ』
Stoic Gamesが開発したこの3部作はすでに歴史の一部になってしまっているかもしれないが、重厚なストーリーと美しいアートワークが特徴のターン制ストラテジー3部作は非常にハイクオリティだったため、才気溢れる彼らの次の一手をゲーム業界全体が心待ちにしている。
他の多くのKickstarter産ビデオゲームと同じくPC版から始まったこのトリロジーは、Xbox、PS4、さらにはNintendo Switchまで移植されたが、すべては2014年に20,042人のバッカーから72万3,886ドル(約7,943万円)を集めた第1作から始まった。尚、iOSにも移植されている(1&2のみ)。
5:『ウェイストランド2』
ここ最近、inXile Entertainmentというデベロッパー名がどうにも思い出せないという人がいても仕方がないのかもしれない。なぜなら、2019年にMicrosoftが高額でこのデベロッパーを買収したからだ。
Xbox Oneを率いるMicrosoftが自分たちのためのゲームを開発してもらうべくinXileを傘下に加えたのは何の不思議もない。inXileはファンの間で愛され続けてきた『ウェイストランド』シリーズを抱えているからだ。
このシリーズの第1作は、Interplay Entertainmentの創業者で、『Bard’s Tale』の生みの親としても知られるBrian Fargoが1988年にリリースしたカルトヒットで、それから約25年後にその続編がKickstarterプロジェクトとして発表されると、61,290人のバッカーから300万ドル(約3億2,923万円)を集めた。アッパレとしか言いようがない。
6:『ディヴィニティ:オリジナル・シン』
Larian Studiosが手がけるRPG『ディヴィニティ:オリジナル・シン』は大成功を収めたため、2作目もKickstarterプロジェクトとして開発された。
2014年にリリースされた第1作はメディアで高評価を得たばかりか、PCに特化したゲームデザインだったにも関わらず、家庭用ゲーム機版も売れに売れた。この結果、Microsoftが興味を持ち、バンダイナムコをパブリッシャーに据えて2作目をXbox Game Previewで開発した。
結局、このシリーズは2本合計で60,000人のバッカーから300万ドル(約3億2,923万円)を集めたが、残念ながら『2』は日本語化されていない。
7:『Yooka-Laylee』
過去のビデオゲームへのオマージュとなっているビデオゲームは数多く存在するが、『Yooka-Laylee』ほど堂々とそれを謳っているゲームは多くなく、また彼らの喧伝は正しい。
なぜなら、開発を担当したPlaytonic Gamesは、続編の開発を熱望するファンが絶えない『バンジョー&カズーイ』シリーズを手がけたRareの元スタッフで構成されているからだ。
Kickstarterプロジェクトとして約209万ポンド(約2億9,836万円)を集めた彼らは期待通りの作品を作り上げた。『Yooka-Laylee』は『バンジョー&カズーイ』の精神的後継作で、ファンから愛されたオリジナルのふざけたセリフ回しまで丁寧に引き継がれている。先回りして言っておくが、もちろんNintendo Switchにも移植された。
8:『Hyper Light Drifter - ハイパーライトドリフター』
今回のリストの中で最も知名度が低い作品かもしれない『Hyper Light Drifter - ハイパーライトドリフター』は、開発したHeart Machineのディレクターが解説するところの「往年の『ゼルダの伝説』シリーズと『ディアブロ』を組み合わせたアクションRPG」だ。
Kickstarterプロジェクトとして立ち上がった時は、まだそのディレクターひとり(Alex Preston)だけのアイディアだったが、64万5,158ドル(約7,080万円)を集めたことで正式な開発チームが編成された。
最終的に超ハイクオリティなインディータイトルに仕上がったこの作品は2018年にはNintendo Switchへ移植されたが、元々はPC・PS4・Xbox Oneでリリースされた。
流麗なアクションとエキサイティングな戦闘、そして美しいヴィジュアルは、我々がこのゲームを「まだトライしていないなら絶対にトライすべき」と評価している理由の一部に過ぎない。
9:『SUPERHOT』
今回のリストの他のタイトルと比較すると『SUPERHOT』が集めた金額250,798ドル(約2,752万円)という金額(バッカーは11,626人)は少なく思えるかもしれないが、内容はその名の通りスーパーホットだ。
シューティングとパズルを組み合わせているこのゲームは当時他になかったオリジナリティを備えており、今もこのゲームに似たものは存在しない。
自分が動いている間だけ時が進むというユニークな設定が用意されているこのゲームは、Microsoftがすぐにバックアップを申し出てE3で紹介し、ハイプをさらに高めた。
『SUPERHOT』は2016年にPCとXbox OneでリリースされたあとPS4にも移植されたが、何よりもエキサイティングなのは、新しいステージが追加され、斬新なコンセプトがネクストレベルへ引き上げられたVRバージョンだった。尚、現在はテーブルカードゲームも存在する。
しつこくて申し訳ないが、まさにスーパーホットな成功を収めた1本と言えるだろう。
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