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ダンス

【THE D SoraKi】迷う前に動け ― 行動力で勝ち取った栄光への道

2022年『Red Bull Dance Your Style』世界王者、THE D SoraKi。 華やかな舞台の裏には、見向きもされなかった時期や葛藤があった。 それでも「行動」と「発信」を続けたからこそ、今の彼がある。 その原点と挑戦の理由を尋ねてみた。
Written by Daigo Sakazume
読み終わるまで:8分Published on

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"行動"して掴んだ未来

カッコイイ人に見て欲しかった
──ソラキさんは、誰にも見られてないなと感じていた時期はありますか?
THE D SoraKi「ありましたねぇ〜。小6とか中1になるまでは全然バトルも勝てなくて。4歳くらいからダンスやってて、比較的俺が一番キャリア長いのに周りのやつが先に上に行っちゃって。もうダンス辞めようとか思ってました」
 
──幼少期は苦労したんですね...!
THE D SoraKi「全然そうですよ!車ん中で泣いたりしてましたから (笑)。ダンスで良い思いをしたのはホント最近になってからですかね。
あと中2の頃に遊びを覚えてしまって、バトルは1年くらいやめてました (笑)」
 
──再開したのは何か転機があったんですか?
THE D SoraKi「転機というか、地元の先輩たちから色々遊びを教えてもらってたんですけど、そのあと急にバトル出てみたら『全部優勝』みたいになって。意外とそっから一気に変わったっすね」

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──そんな矢先にコロナ禍でダンスバトルが減り、SNS投稿に力を入れたと聞いたのですが?
THE D SoraKi「そうですね。力を入れてたというか、暇すぎてやることなかったんで (笑)」
 
── SNSでバズれば一気に注目が集まりますもんね!
THE D SoraKi「まぁ何かあればいいなとは思ってましたけど、どっちかって言うとその時は『自分のダンスを誰かカッコイイ人に見て欲しかった』って感じですね。
場所が良くて、たまたま服装も良くて、音楽もそれに合ったダンスも良くて、っていう動画は海外の人とかからも結構反応ありました。でもそれも多分偶然で。自分じゃ何が見てる人に刺さるかなんて分からないので、とにかくやり続けることが大事だと思います」

© Jason Halayko / Red Bull Content Pool

──どのくらいのペースで投稿していたんでしょうか?
THE D SoraKi「多い時は毎日2〜3個投稿してました。色んな場所にチャリ漕いで行って、ケータイ置いてダンスして。映像制作のためにストリートでスケボーしに行くのと同じ感覚ですね。とにかく映像に残すのが大事なんでホントに」
 
──毎日2〜3投稿はかなりすごい量ですね...!!
THE D SoraKi「何人かの知り合いからは『投稿うるさい』とか『もうフォロー外しちゃったわ』とか言われてましたね(笑)」
──それでも自己発信を続けられたのは何かモチベーションがあったんですか?
THE D SoraKi「まぁその時期は暇すぎたのと、発信しなかったら何も無いままじゃないですか。今の時代、バトルで勝っただけじゃ意味ないと思うんで。去年のバトルとか、どこで誰が勝ったとか正直記憶に無いじゃないですか (笑)
今はもうSNSカマしていくしかないと思います。『俺はやってるぜ』ってどんどんアピールしていかないと」

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何もしてない奴は発言権ねぇよ?
THE D SoraKi「まじで誰か見てくれてるので、とにかく発信は続けたほうがいいと思います。それで急にメッセージ来て『Beats by Dre』のモデルやってほしいって言われましたし」
 
──やはりまず行動することが重要だと...!
THE D SoraKi「ですね。とにかく行動したら好きな服も買えるし、好きな女の子も振り向いてくれるし、昨日お金いくら使ったんだろうな、みたいなことも全然できるようになりますから!(笑)」
 
──夢があってめちゃめちゃ自信が湧いてくる言葉です!!
THE D SoraKi「売れなくて悩んでる人はまず行動してみろよって感じです (笑)。ダンサーで例えて言うと、TikTokのダンスはダサいとか言ってる暇があるなら自分で動画撮って出せよって感じですね。
『何もしてない奴は発言権ねぇよ?』って思います。TikTokの人達とか意外とちゃんと考えてやってますからね。形は違えど絶妙にウケるんですよ。そこに対しては、何もやってない奴らはとやかく言う権利はないと思います」
 

 

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02

"仲間"に支えられて前へ

──ちなみに『Red Bull Dance Your Style』の招待ダンサーに選ばれたのは発信の影響もあったのでしょうか?
THE D SoraKi「もともとはPoppin'Cが出場できなくなって、その補欠枠で出場したんです。声をかけてもらえたのはバトルの成績とかも関係してると思いますけど、毎日の発信が運よく目に止まって...って部分もあるとは思います」
 
──その結果見事チャンスを掴み、世界王者ですもんね!
THE D SoraKi「いやぁ、有り難いっすねホント。ただ2022年に『Red Bull Dance Your Style』で優勝してからの1~2年は大変でした(笑)。忙しすぎてもう家にいる時間もなくて。でも飲みたいし遊びたい、でも仕事が次の日の朝5時からだ…とか。それがもう毎日続いてましたね」
 

 

© Mpumelelo Macu/Red Bull Content Pool

──“世界王者になったからこその苦労”ですね
THE D SoraKi「そうですね。気づいたら躁うつになっちゃってて。川の中でチャリ漕いでたりとか、気づいたら深夜に神社にいたりとか (笑)。全然記憶ないんですけど忙しくて頭おかしくなっちゃってましたね。仕事バックれちゃったりとかもあって」
 
──かなり追い詰められたと...。
THE D SoraKi「だから、1月から3月まで全部仕事休んでリフレッシュしました (笑)。友達が『今から遊びに行くぞ!!』って家に誘いに来てくれたり。そういうのにはかなり助けられましたね。
そのおかげで今があるって思ってます」

© Jason Halayko / Red Bull Content Pool

──昔も今も、ソラキさんのダンス人生において、仲間の存在は本当に大きいんですね
THE D SoraKi「そうですね。落ち込んでたり、なんか上手くいかない状況が続いてる人は一回地元をhookしてほしいですね。地元の人たちと繋がった方がいいと思います。やっぱ地元が一番大事なんで。個人的に地元を捨ててる人が一番ダメだと思ってるんで」
03

発信を"継続"する理由

──ちなみに、有名になった今でも発信を続けるのは何故でしょうか?
THE D SoraKi「正直、頻度自体は少なくなってしまってるんですけど、映像に残すってことが俺にとっての歴史だし、ずっとやっていかなきゃいけないことだと思ってて。
SNSが自分の自己表現の場の一つって感じですかね。現場でカマすのも大事だし、映像もそうだし、全てやらないと『俺はダンサーとして毎日やってるぜ』って言えないと思うから」

© Marina Oya / Red Bull Content Pool

──まだまだ"挑戦の途中"だということですね!
THE D SoraKi「そうですね。『ダンスで食っていける』とか『これで人生安泰だ』とか今まで思ったことないんで。ずっと遊びの延長でやってますからね。まじ超テキトーです (笑)
『いつか食えなくなったらバイトしよう』とか、まだ全然思ってるんで。そうならないように毎月頑張ろう!って感じですね。バトルも発信も。マジでいつ金なくなるんだろう…って思ってます (笑)。『だからやらなきゃダメっしょ』みたいな!」
もうやるしかねぇよ!
──挑戦を続けているのに、中々上手くいかず悩んでいるダンサーにアドバイスをお願いします!
THE D SoraKi「もうやるしかねぇよ!(笑)って感じです。あと、伸び悩んでんだったら一回地元でカマしてみたら?って思います。バズるとか色々考える前に」

© Yuta Tachibana

──まず『原点に立ち帰って』ということですかね?
THE D SoraKi「そうですね。地元のやつがずっと応援してくれるんで『地元のやつを裏切らないように』って頑張れば良いと思います。
あと、自分の経験値とか価値観を磨くために。まじで色んなとこに行った方がいいと思います。展示会でも、写真展でも、バーとかクラブとかでも、何でも良いんで。色んな所に行って、繋がり続ければ、そこで出会った人たちが応援してくれるんで」
 
── ありがとうございます!では最後に、未来のダンス界を担う若手ダンサーにメッセージをお願いします!!
THE D SoraKi「僕もまだ20代で若手ダンサーなんですけどね (笑)」
 
── そうでした (笑) では、未来ある後輩たちにメッセージをお願いします!
THE D SoraKi「え〜っと...、『中学頑張りすぎちゃうと高校でダンス熱冷めるぞ』ですかね(笑)。いい感じに遊んでおかないと、高校で部活入ってダンスやめるぞって。
ダンスは続けながらも、あくまで"楽しむこと"が大事かな〜と思います!
あ、あとSNSの発信に関しては"モデル"みたいなのを自分の中で見つけるとアツいと思いますよ。真似をするっていうよりも、こういう発信の仕方をしてるんだろうな〜、って参考にすると良いと思います」
 
SNSでの発信も、現場での踊りも、すべてが "自分の歴史" を刻むためのもの。
シンプルに言えば──迷う前にまず動け。ソラキの生き方が、その答えを示している。

© Suguru Saito / Red Bull Content Pool

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THE D SoraKi プロフィール

SNS:

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2003年7月13日生まれ、神奈川県出身。
4歳からダンスを始め、幼少期からストリートでの経験を積み重ねてきたフリースタイルダンサー。ダイナミックかつ繊細なムーブで注目を集め、2022年には『Red Bull Dance Your Style World Final』で優勝し、世界王者のタイトルを獲得。
国内外でのパフォーマンスに加え、SNSを通じた継続的な発信にも力を注ぎ、現場とオンラインの双方で自己表現を磨き続けている。即興性と音楽解釈力を武器に、同世代はもちろん世界のダンサーからも高い評価を受ける存在。

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