Canadian Mark McMorris smiling: He is one of the mist iconic snowboarders in the world
© Emily Tidwell / Red Bull Content Pool
スノーボード

スノーボード名鑑:不朽の影響力を持つレジェンドライダー ベスト10

スノーボードを現在形に進化させたあと、今もインスピレーションを与え続けているレジェンドライダー10名を紹介!
Written by Mike Berard and Jason Horton
読み終わるまで:8分Updated on
ひとつ整理しておこう。スノーボードシーンは多様なため、世界で “最も” 影響力が大きいスノーボーダーを選ぶことはできない。突き詰めて言えば、スノーボードとは、スキルを問わないライダーひとりひとりの個性であり、そこにこのスポーツの良さがあるのだ。
しかし、様々な時代に、様々な形で、スポーツ / サブカルチャーとしてのスノーボードの方向性に影響を与えたライダーが存在する。そこで今回は、スノーボードを今の形にしたライダー10名順不同(これしか方法がない!)で紹介しよう。
01

テリエ・ハーコンセン

ほぼ全員が史上最高のスノーボーダーと評価するこのストイックなノルウェー人のレガシーは、スポーツの域を超えている。今日まで、テリエ・ハーコンセンスノーボードシーンの牽引者・代弁者であり続けている。
ライダーとしての彼は、スノーボードが最も急速な進化を遂げた時期にトリックと地形の進化を追求し、コンペティターとしての彼は、90年代を通じてフリースタイルコンテストを制圧した。そして、ビデオスターとしての彼は、テクニカルなフリースタイルムーブを手つかずの自然が待つバックカントリーに持ち込んだ第一人者だった。
また、世界最大のスポーツイベントをボイコットし、国際スキー・スノーボード連盟(FIS)に対して正々堂々と抵抗したハーコンセンは、スノーボードシーンにおける最も激烈な理想主義者のひとりでもある。
オーストリア・カプルーンでビッグエアをメイクするテリエ・ハーコンセン

オーストリア・カプルーンでビッグエアをメイクするテリエ・ハーコンセン

© Lorenz Holder/Red Bull Content Pool

02

トラヴィス・ライス

批評家たちから世界最高のオールラウンド・スノーボーダーと称賛されるトラヴィス・ライスは、現代スノーボードシーンにおける正真正銘のスーパースターだ。
ジャクソンホールの急峻なスロープで育ったライスは、スピード、ビッグマウンテンに適した感覚、最先端のトリックを融合させることで早くから成功を収めた。彼と同レベルの自信を持って険しい地形をライディングできる者はほとんどいない。
40代を迎えた今も限界をプッシュし続けるトラヴィス・ライス

40代を迎えた今も限界をプッシュし続けるトラヴィス・ライス

© Tim Zimmerman/Natural Selection Tour/Red Bull Content Pool

『That’s It, That’s All』、『The Art of Flight -アート・オブ・フライト-』『The Fourth Phase』をはじめとするライスの映像作品の数々は、スノーボードの枠を越え、数えきれないほどの多くの人がスノーボードを始めるきっかけとなった。
バックカントリーの真の達人である彼は、2012年にコンテスト【Red Bull Supernatural】を立ち上げ、自然地形でのコンペティティブ・フリーライディングを追求している。
『The Fourth Phase』撮影中の数年間はコンペから離れていたライスだったが、2023年に最高峰ビッグマウンテンコンペ【Natural Selection Tour】で優勝し、堂々たる形でコンテストシーンへ復帰した。史上最高のスノーボーダーのひとりであり、今もなお現役最高のスノーボーダーのひとりだ。
03

ジェイミー・リン

スノーボードの魅力のひとつは、「スタイルがすべて」というその基本的美学にある。スタイルというものの不可思議さは、それを数値化することが極めて困難であるという点だ(だからこそ、スノーボードコンペのジャッジがスタイルを評価する際は問題に直面することになる)。しかし、スタイルを備えているライダーは一目瞭然で分かるものだ。
スタイルマスターにしてアイコニックなグラフィックアーティストのジェイミー・リン

スタイルマスターにしてアイコニックなグラフィックアーティストのジェイミー・リン

© E-Stone

かつて、スノーボーダーたちが先進的なトリックをクリーンなスタイルに組み合わせるのに苦心していた時代に、ジェイミー・リンはその優れたルックス、アートフルなバイブス、ノーグローブ、そしてバターのように滑らかなスタイルでスノーボードシーンに登場した。
非の打ち所がないスタイリッシュなメソッドで知られるリンは、このメソッドを可能にしたばかりか、さらに多くのことを成し遂げ、今もライダーたちが目標に掲げるスタイルのベンチマークを確立した。
04

トム・シムズ

ジェイク・バートンとトム・シムズのライバル関係は、スノーボードのフォークロア(民間伝承)の奥深くまで織り込まれた物語だ。この2人のパイオニアは、どちらも今回のリストに掲載されるべき正当な資格がある。彼らは、ニッチなホビーだったスノーボードをメインストリームスポーツへと変貌させた
真のライバル関係 — トム・シムズ(写真右)とジェイク・バートン

真のライバル関係 — トム・シムズ(写真右)とジェイク・バートン

© Bud Fawcett

この2人のアイコンの中でも、私たちが注目すべきはスノーボードをフリースタイルへ進化させた西海岸のサーファー / スケーターのシムズだ。シムズはスノーボードが産声を上げて間もない1983年に史上初のハーフパイプコンテストを企画。また、1985年に製作された映画『007』シリーズでスタントも演じた。
スノーボードシーンでの彼の影響は主にその黎明期におけるものだが、シムズこそ「山の上で横向きに立ったとき、どのような可能性が生まれるか」を世界に示した張本人なのだ。
05

クレイグ・ケリー

テリエ・ハーコンセンと並び、クレイグ・ケリーは歴代最高のスノーボーダーとして広く知られている。スノーボードがポピュラーなスポーツとして世に出た時代、ケリーはこのスポーツ初のスーパースターとして頭角を表し、複数のカテゴリーで幾度となくワールドチャンピオンに輝くとともに、無数の雑誌の表紙を飾った。
コンテストシーンを席巻した数年間を経て、ケリーは高収入のスポンサー契約から離れ、バックカントリー・フリーライディングに専念し、その過程でプロキャリアの新たな選択肢を生み出した。世界最高のフリースキーヤーたちさえも、ケリーを影響源として仰ぎ見ている。
スノーボードシーン初のスーパースター、クレイグ・ケリー

スノーボードシーン初のスーパースター、クレイグ・ケリー

© Bud Fawcett

一部の人にとって、ケリーのビデオパートは彼のスノーボードへの最大の貢献であり、絹のように滑らかなビッグマウンテンでの妙技は、今見ても絶品だ。しかし、他の人にとって、彼のレガシーは山への愛のために生きた彼の人生そのものに尽きる。
ケリーが歩んだ人生のすべてを学ぶには、エリック・ブレームの名著『The Darkest White: A Mountain Legend and the Avalanche That Took Him』を読んでもらいたい。
06

スコット・スティーブンス

スノーボードが誇れることはいくつもあるが、その中で特に誇れるのが「楽しさ」「進歩」だ。まず、楽しくなければ、スノーボードをやる意味がない。そして進歩がなければ、停滞と退屈が待っており、最終的には楽しくなくなってしまう。
イノベーティブなライディングが特徴のスコット・スティーブンス

イノベーティブなライディングが特徴のスコット・スティーブンス

© E-Stone

過去10年において、スコット・スティーブンスとクリエイティブで時としてふざけている彼のライディングは、他の誰よりもスノーボードのビッグマウンテンの先のある可能性を示してきた。アドリブでのワンフッター、スケートボードにインスパイアされたスタイル、そしてサマーソルトのような変化球を組み合わせることで、スティーブンスは不可能に挑み続けてきた。
誰でもクリエイティブに進歩できる。そしてスティーブンスはこのことをスノーボードで示してきた。この努力によって、彼は現在最も大きな影響力を持つスノーボーダーのひとりに数えられている。
07

アンナ・ガッサー

大きな影響力を持つスノーボーダーのリストは、誰よりも多くのメダルと世界初を記録してきた女性ライダーを含めなければ完成しない。オーストリア出身のアンナ・ガッサーがそのライダーだ。
スノーボード歴わずか3年で女子初のキャブ・ダブルコーク800をメイクした彼女は、女子初のキャブ・トリプル・アンダーフリップもメイクしており、さらにはX-Games 2回を含むありとあらゆるスロープスタイルとビッグエアのメジャーイベントで優勝してきた。
アンナ・ガッサーはすべてを手にしてきた女子ライダー

アンナ・ガッサーはすべてを手にしてきた女子ライダー

© Aaron Blatt/Red Bull Content Pool

現時点でガッサーよりも多くの栄光を手にしてきた女子ライダーはいない。その活躍によって女子コンテストシーンのレベルアップに貢献してきた彼女は、後進のライダーたちにインスピレーションを与え続けている。
08

ショーン・ホワイト

好きか嫌いかがはっきり別れるショーン・ホワイトは、スノーボードシーンを完全に変えたライダーで、現役時代はほとんど無敵に近い存在だった。
オリンピック出場5回オリンピックハーフパイプ優勝3回X Gamesゴールド歴代最多獲得記録と書けば、その偉大さが理解できるだろう。もはやアスリートではなくセレブになってしまった印象もあるが、その大きな影響力と高いスキルは否定できない。
ショーン・ホワイト:フロントサイド・ダブルコーク1080

ショーン・ホワイト:フロントサイド・ダブルコーク1080

© Adam Moran/Red Bull Content Pool

09

セバスティアン・トゥータン

カナダ人セバスティアン・トゥータンは、スノーボード史上最もスタイリッシュでテクニカルなライダーのひとりだ。ケベック出身のトゥータンは、オリンピック金メダリストであり、X Gamesでも多くの表彰台フィニッシュを記録している。
しかし、何よりも重要なのは、トゥータンの素晴らしいスタイルだ。おそらく他の誰よりもテクニックに優れており、マッドなスタイルながらフロウを感じさせる彼はライディングをスムーズに見せる達人で、誰もが彼のようなライディングができると思ってしまう。しかし、実際は誰もできない。彼は唯一無二なのだ。
セバスティアン・トゥータン

セバスティアン・トゥータン

© Joseph Roby/Red Bull Content Pool

10

マーク・マクモリス

もうひとりのカナダ人ライダーがマーク・マクモリスだ。彼の出身は地球上で最も平坦な地域として知られるサスカチュワンだが、彼はスキルを磨き続け、パークで無敵の王となった。
オリンピック銅メダル3個バックサイド・トリプルコーク1440世界初メイクX Games記録となる獲得メダル総数22個を誇る彼は、優れたスタイルと精度でこれらを手に入れてきた。しかし、何よりも嬉しいのは、彼が礼儀正しく謙虚な人物ということだ。実にカナダ人らしいライダーだ!
マーク・マクモリス

マーク・マクモリス

© Scott Serfas/Red Bull Content Pool

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