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サイファーの基本
ブレイキンの大会が開催されるようになる前から、B-BoyとB-Girlがアリーナやステージで1on1のラウンドバトルをするようになる前から、そしてダンサーたちがジャッジによってパフォーマンスを採点されるようになる前から、サイファーは存在していた。サイファーの中で、ダンサーたちは音楽に合わせながら自由に自分たちの実力を披露し合ってきた。
サイファーについて知識がない人のために説明すると、サイファーとはB-BoyとB-Girlが形成する “円” のことで、ひとりずつその円の中央に出て行ってダンスを披露する。他のダンスバトルとは異なり、サイファーは制限が少ないのが特徴だ。
たとえば、サイファーには決められたステージやアリーナは存在しない。パーティ、クラブ、屋外、駅前、ビーチ、家の中など、サイファーはどこでもできる。サイファーは場所を選ばないのだ。サイファーはダンサーたちが自主的に形成するものであり、必要なのは適当なスペースだけだ。
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サイファーのサイズ
サイファーは構成人数も決まっていない。3人でも、20~30人でも楽しめる。
ダンスバトルの予選フォーマットとして採用されている場合は別だが、サイファーにはタイムリミットも存在しないに等しい。タイムリミットと言えるのは、ダンサーたちがサイファーをするのに選んだスペースの利用時間だけだ。
大会でメインフロアが使用されていない空き時間にサイファーが行われる時もあれば、クラブが閉店するまでサイファーが延々と続く時もある。
また、サイファーはひとつの円だけで行われるものでもない。円を何個作るのかはダンサーたちの自由だ。その数は使用スペースの広さによって決まる場合が多い。
また、音楽はダンスに必要不可欠なものだが、DJはサイファーに必要不可欠なものではない。サイファーでは、手拍子をビートに使う時もあれば、ライブバンドに合わせる時もある。また、フロアでリズミカルに鳴るスニーカーの音に合わせて踊る時もある。
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サイファーが重要な理由
サイファーが重要な理由はいくつもある。
まず、大会とは異なり、サイファーには予選が存在せず、誰でも自由に参加できる。サイファーはビギナー、ベテラン、トップダンサーを含む全ダンサーのために存在する。どのダンサーもサイファーに飛び込んだあとは、時間の許す限り何回でも踊れる。
また、サイファーは年齢と性別も関係ない。あらかじめ決められていない限り、サイファーにはB-Girl、キッズ、クルー、2on2などのカテゴリーは存在しない。
ダンサーにとって、サイファーは自分を試すのにパーフェクトな場所でもある。負けるかもしれないという恐怖心に煽られることなく、新しいムーブを試したり、スタミナの限界に挑んだりしながら、練習してきた全てを出し切ることができる。
大会では新しい挑戦に失敗すれば敗退する可能性があるが、サイファーでは失敗しても問題ない。サイファーが “バトル” として行われない限り、そこから敗者は生まれない。また、サイファーにはジャッジもいない。ダンサーは自分が練習してきたことを好きなだけ試せるのだ。
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サイファーではバトルもできる
サイファーはライバルと雌雄を決したいというダンサーにも向いている。なぜなら、相手を指名してバトルするのもサイファーの一部だからだ。
しかし、相手はライバル以外でも構わない。ダンススタイルを学びたいダンサーや以前から尊敬しているダンサーなど、実際の大会では中々バトルするチャンスがないトップレベルのB-BoyやB-Girlを指名してバトルを楽しむことができる。サイファーでは “いつでもどこでも誰とでも” バトルができるのだ。
また、バトルフォーマットも1on1に限定されない。2on2、3on3、クルーバトル、1on7など、好きなフォーマットでバトルできる。サイファーのバトルに人数のルールは存在しない。
さらにサイファーでは、トップロックでもフリーズでもパワームーブでも、ビートに合わせて好きなダンスから始めることができる。サイファーの中でどういう自己表現をするのかは自分次第だ。
これまで、サイファーはダンサーが自分の存在を世の中に示すきっかけとして機能してきた。近年は世界各国で大規模な大会が開催されるようになっているが、以前は、サイファーがトップダンサーへの第1歩、自分のスタイルとムーブがいかにフレッシュでクールなのかをシーンに示す場所だった。
ここ最近は、大会で優勝すれば一気に有名になれる可能性があるが、サイファーでの圧倒的なパフォーマンスでシーンに名を知られているB-BoyやB-Girlは今も存在する。また、大会から引退しても、サイファーでは現役を続けているというダンサーも多い。
また、サイファーはクルーが新メンバーを見つける場所でもある。ひとり(または複数)のダンサーがクルー全員との複数ラウンドを経たあと、クルーに相応しい実力を持っていると判断されれば、そのダンサーは晴れてクルーメンバーとして迎え入れられる。
サイファーはB-BoyとB-Girlのキャリアの重要な一部で、ブレイキンの自由さが本当の意味で表現される場所だ。B-BoyとB-Girlは、賞金や出場権、名声のために大会に参加する一方、ダンス、バトル、意見交換、自己発見、自己鍛錬、自己表現のためにサイファーを形成する。
あらゆるダンサーがひとつにまとまり、ダンスへの愛を共有する場所、それがサイファーだ。サイファーはブレイキンに命が吹き込まれた場所であり、大会の一部であろうとなかろうと、音楽があろうとなかろうと、ステージがあろうとなかろうと、ダンサーたちは今後もサイファーを形成し続けるだろう。サイファーはダンサーが自由に踊れる貴重な場所だ。
“B-BoyとB-Girlがいるところにサイファーあり” なのだ。
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