El Capitan, on the left, looms over Yosemite
© De Agostini/Getty Images
クライミング

世界最難度クライミングスポットベスト7

世界最難度のクライミングスポットを紹介する。
Written by Brendan Leonard
読み終わるまで:6分公開日:
Rock hard

Chris Sharma goes up and under

© Boone Speed

クライミングの世界の発展の仕方は非常にユニークだ。まず優秀なクライマーが限界を引き出すようなルートに挑み、難易度の申請をすると、同等の世界レベルのクライマーが2番手として挑み、その難易度の確認作業を行う。ちなみにこの一連の作業が完了するまでに何年もかかる時がある。最難度のスポットがどこかという判断は主観が入るため難しい。何故なら本当の意味で比較することは不可能だからからだ。しかし、その話題になった時、以下に挙げるスポットは必ずリストアップされるだろう。
トラッドクライミング
ロケーション:Dumbarton Rock(スコットランド)
ルート:Rhapsody(E11 7a/8c+)
クライマー:Dave MacLeod
2006年、 スコットランド人クライマー、Dave MacLeodは足掛け2年、計70日以上をルート攻略に費やした後、ついに地元の岩山で、世界初のE11グレードのトラッドルートRhapsodyを制覇した。8c+の非常に難しいこのルートをボルトなしのナチュラルプロテクションで挑み、しかも最後の20メートルはギアなしで攻略した。
成功までに何度も落下したMacLeodは攻略後に、「とにかく危険だった。20メートルのフォールで、レッジのビレイがずれる時もあった。スイングも強烈だった。足首を捻挫し、背中や足は切り傷とアザだらけで、ふくらはぎの筋肉も痛めたよ」と振り返っている。
David Lama climbing the headwall of Cerro Torre during the first free ascent of Cerro Torre's Southeast ridge during the third expedition in Patagonia, Argentin

セロ・トーレでクライミングするデビッド・ラマ

© Lincoln Else/Red Bull Content Pool

アルパインクライミング
ロケーション:Cerro Torre(パタゴニア)
ルート:Compressor Route
クライマー:David Lama
3年以上に渡って挑み続けたDavid は2012年、ついにパタゴニアのCerro Torreの最難度ルート、Compressor Routeのフリークライミングを世界初成功させた。22歳のDavidは3128メートルの高さを誇るこの山の東壁を、パートナーPeter Ortnerとナチュラルプロテクションだけで制覇し、「僕の人生で一番の冒険だったね」とコメントを残している。クライミング時の映像は こちらから確認できる。
Rock hard

Just hanging out

© Boone Speed

スポーツクライミングロケーション:Oliana(スペイン)
ルート:La Dura Dura(9b+)
クライマー:Adam Ondra、Chris Sharma
2012年、2013年のハードスポーツクライミングにおいてLa Dura Duraは大きな話題となっており、スポーツクライミングシーン最強と言われるこの2人のクライマーが挑んだ姿も映像としてまとめられた。
Chris Sharma heading up La Dura Dura

Chris Sharma heading up La Dura Dura

© Boone Speed

Chris Sharmaがビレイヤー、Adam Ondraがクライマーとして挑み、約70回のトライを経て2013年2月に成功させ、グレード9b+を申請した。その6週間後にSharmaがクライマーとして挑み、グレードの確認を行った。
Ice, ice, baby

Tim Emmett on Wolverine at Helmcken Falls

© Courtesy of Tim Emmett

アイスクライミング
ロケーション:Helmcken Falls(カナダ)
ルート:Wolverine(WI11)
クライマー:Klemen Premrl、Tim Emmett
Will GaddがHelmckedn Fallsを見つけた際、彼は今まで見たことがない最高の氷壁だと宣言してTim Emmettと共に攻略すると、これまでの氷壁の最難度を一気に2ランクアップするWI10を申請した。そして2012年2月、WI8やWI9グレードのルートが存在しないこの高難度の氷壁に今度はEmmettがKlemen Premlと再挑戦し、新ルートWolverineの攻略に成功。WI11を申請した。
ボルダリング
ロケーション:Varezze(イタリア)
ルート:Gioia(V16)
Gioiaは2008年にChristian Coreが攻略した際に8c(V15)が申請され、3年後に2度目の攻略が行われるまで、そのグレードが保たれていた。そして2011年、Adam Ondraが11日間かけて攻略し、8c+を申請した。尚、2014年2月にNalle Hukkataivalが3度目の攻略に挑んでいるが、 「確実に他の8c+級よりも難しい。ただその差がグレードひとつ分に値するのかどうかが分からない」と発言するだけに留まっており、グレードの申請は行われていない。
ミックスクライミング
ロケーション:Eptingen(スイス)
ルート:Iron Man(M14+)
Robert JasperによるM14+のIron Manの攻略は、世界最難のミックスクライミングスポットを紹介すると同時に、氷がない状態の40メートルの壁面をドライツーリングで攻略したため、ミックスクライミングとは何かを改めて問うことにもなった。
El Capitan, on the left, looms over Yosemite

El Capitan, on the left, looms over Yosemite

© De Agostini/Getty Images

エイドクライミング
ロケーション:El Capitan(アメリカ・ヨセミテ)
ルート:Nightmare on California Street(A5)
2014年現在、このルートの2度目の攻略は行われていない。このA5グレードは1998年、Warren HollingerとGrant Gardnerによって攻略された。尚、2人はユタ州Fisher Towersを攻略した際にA6とA6+を申請しているが、これはのちにダウングレードされたため、現在エイドクライミング最難度ルートの座は空位となっている。よって、このNightmare on California Streetはその最有力候補のひとつとして考えられている。
Ammon Mcneelyが2011年に29年ぶりにこのルートの付近に位置するA5ルートWings of Steelの再攻略に成功した際、「このルートが最難度ルートなのかも知れないが、攻略時に体験した20回のフォールは比較的安全だった。だが、Nightmare on California Streetでは、危険なフォールを体験し、ムーブも難しかった」と報告している。それ故に誰も2度目の攻略に成功していないのだろう。
Red Bull AdventureのFacebookページは こちら