現代人の生活は忙しいので「本格的なトレーニングを始める余裕なんてあるわけない」と思い込んでいるランナーは少なくない。しかし、実際は60分もあれば十分に可能で、しかも、2020年は自分で時間をコントロールできるチャンスが増えている。
というわけで、今回は英国人ウルトラランナーのトム・エヴァンスをキャッチして、本人が取り組んでいる60分程度のショートトレーニングセッションの中からベスト6を選んで紹介してもらうことにした。
セッションについて
トム・エヴァンスが選んだトレーニングセッションはすべて約60分で終えられるので、朝食前や昼休み、仕事後の夕方や夜など、好きな時間に組み込むことができる。心肺機能を高めるためのハードセッションと持久力を維持するためのイージーセッションを組み合わせている彼は次のように説明している。
「自分のフィットネスレベルによりますが、2~3週間続ければ変化が見られるようになるはずです。ハードセッションは週2回を限度にしてください。僕のトレーニングの比率も常にイージー80%・ハード20%です」
「あとは1週間に最低1日は走らない日を作ってリカバリーに充ててください。リカバリー中に身体が順応していきます。トレーニングセッション中に順応することはありません。ですので、パフォーマンスを高めたいのなら、身体を休ませる時間を確保してください。あとは怪我を避けながら、ランニングをできる限り楽しんでください」
1:10km / 5kmランペース インターバル
レベル:ハード
「僕は、今回紹介しているすべてのトレーニングセッションをジョグ10分から始めます。ウォームアップしながら体調をチェックするんです。このセッションではウォームアップのあと、10kmランペース6分、ジョグ3分、10kmランペース4分、ジョグ2分、5kmランペース2分、ジョグ1分、5kmランペース1分、ジョグ30秒で走ります」
「これを2セットこなしたあと、最後にジョグ10分でウォームダウンしてください。これで合計59分です」
10kmランペースと5kmランペースは、それぞれの自己ベストから算出できるが、自己ベストを記録していない人は、それぞれの距離を走ったらどのくらいの時間がかかりそうなのかを簡単に予測する程度で問題ない。
「10kmと5kmのペースが分からない人は、ウェブサイト “Jack Daniels’ VDOT” を利用してみましょう。最上段で距離を選択したあと、自己ベストか希望する時間を【Time】に入力して、【Calculate】をクリックすれば、1マイル・1kmのペースタイムや800m・400mのペースタイムが表示されます。これをベースにして自分のペースを決めていきましょう」
2:ヒルクライム
レベル:ハード
「このセッションもジョグ10分からスタートします。そのあとは、ヒルクライム2分 x 10本です。登ったあとの下りはジョグです。基本的に負荷はハードにかけていきますが、僕は2分過ぎたあとも “まだ30秒走れる” と思えるペースを設定しています。ですので、全力ではありません。10本終わったら、ジョグ10分で終わってください」
トムは2分登れる坂が理想だとしている。「2分が無理だったら、1分 x 20本など、全体量を変えずにアレンジしましょう。傾斜は環境によって変わってきますが、途中で歩かなければならないような急坂は避けるべきです」
3:プログレッシブ テンポラン
レベル:ハード
「ジョグ10分から始めたあと、マラソンペース、つまり、低~中速で20分走ります。そのあとはイージーペースで5分走り、テンポラン10分に切り替えます。マラソンペースより少し速いペースです。飛ばす必要はありません。次にイージーペースで5分走ったあと、最初よりも少しペースアップしたテンポラン5分です。そしてイージーペースで5分走ります」
This session helps build your aerobic base and boost your aerobic capacity
© Drew Reynolds for Wings for Life World Run
「これで合計60分です。このトレーニングセッションは心肺機能を高めつつ、肺活量も増やしてくれます」
「このセッションでは、ペースはあまり気にしないで大丈夫です。負荷にフォーカスしてください。レベル1を最低とする10段階で表現するなら、最初の20分はレベル5、次のテンポラン10分はレベル6、最後のテンポラン5分はレベル7です」
4:イージーラン
レベル:イージー
「イージーペースのランニングは軽視されがちですが、このセッションではイージーペースを強く意識してください。先ほど紹介した10段階評価ならレベル2~3です。ポッドキャストの話の内容を理解できるレベル、または一緒に走っている友人やグループと会話が楽しめるレベルです」
「僕は脚を痛めないように、オフロード(可能なら)をイージーペースで走るセッションを1週間に最低1回はこなしています」
5:トラック
レベル:ハード
これもシンプルなセッションだが陸上トラックを使う点が他とは異なる。
「このセッションではかなりプッシュするので、ウォームアップとストレッチは少し念入りにしてください。アップが終わったら400mを10~12本こなします。インターバルはジョグ60秒です」
「400mは徐々にペースアップしていきます。最終的には “あと2~3周続けられる” 程度のペースまで上げます」
6:タイムトライアル
レベル:ハード
「これは自分のレベルを確認するのに最適なセッションです。5kmか10kmの自己ベストを狙いますが、時間から目標を設定してもOKです。たとえば、45分でどこまで走れるか試してみましょう。10分のウォームアップとウォームダウンを忘れずに」
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