ニック・ガルシア/クレイルスライド

世界最高のスケートシティ ベスト10!

© Sam McGuire

定番からサプライズまで、地球上に散らばる最高のスケートシティを一挙に紹介!

都市に溢れる多種多様な人工構造物を利用して、あらゆる視点からトリックやアクションを試みるスケートボードは、都市ならでは表現様式と言えるだろう。スケートボードは市内を縦横に覆うスロープや舗道の上で生まれ、スリルを求めてやまない若者たちと膨張を続ける都市との関係は長きに渡り愛されてきたこのスポーツの中核に位置している。

そこで今回は、世界各地を巡ってきた我々の経験を元に、世界に飛び出して新しい何かを発見したいと考えているスケーターたちのためのベストスケートシティを10都市選び抜いた。

当然ながら、このリストにはスケーターにはお馴染みの都市も含まれているが、ちょっとしたひねりを加えるために、素晴らしいスケート体験を提供しうる知られざるメッカというべき都市もいくつか選び出した。

この特集記事が次のスケートトリップの参考になることを祈りたい。また、ベテランスケーターにとっては懐かしい日々を振り返るきっかけになるだろう。コンクリートに覆われたこの惑星が誇る最高のスケートスポットを駆け巡ろう!

バルセロナ − メッカ

ウォーカー・ライアン/オーリー
ウォーカー・ライアン/オーリー

世界で最も有名なスケートシティとして真っ先にその名が挙がるのがバルセロナだ。『Transworld Skateboarding』誌がバルセロナに点在する素晴らしいスポットや驚異的なラインを紹介したことをきっかけに、この都市は1990年代後半ごろから大きな注目を集め始めた。とりわけ、Macba(マクバ:バルセロナ現代美術館)は今でも世界で最も象徴的なスケートスポットのひとつに数えられている。

一年を通して温暖で穏やかな気候と現代的な建築物に恵まれているバルセロナは、ここ10年で最も注目を集めているスケートシティだ。新しいスポットが発見されたり、クラシックなスポットが再評価されたりと、バルセロナは今も成長を続けている。この都市は充実したナイトライフや、イージーでリラックスしたライフスタイルも魅力で、市内のビーチでは人生を謳歌する人々の姿がそこかしこに見られる。スケーターにとってのドリームシティだ。

ベルリン − 夏のベストスポット

ファリード・ウルリッヒ/ウォーリー
ファリード・ウルリッヒ/ウォーリー

ミレニアムの始まりを迎えた頃から、ベルリンはヨーロッパで最も人気の高い観光都市へと変貌した。1989年のベルリンの壁崩壊から東西ドイツ統一を経て大規模な都市改造が行われたベルリンは新たに注目すべきスポットがいくつも生まれ、ドイツ国内で最もコスモポリタン的な性格を持つ都市になった。

90年代以降のベルリンが育んだこうした多様性は、この街に非常にオープンマインドな性格を植え付け、ストリートアーティストやスケーターたち、そして若者たちにとって実に居心地の良い都市になった。

とりわけベルリンの夏は素晴らしく、この世界で最も美しい都市のユニークなスケートスポットを非常にリラックスしたムードの中で巡ることができる。とりわけ、バルセロナのマクバにも匹敵する名スポット、Kulturforum(クルチュールフォーラム:ベルリン文化フォーラム)は見逃せない。

ロサンゼルス − スケートボード発祥の地

メイソン・シルヴァ/バックサイド・スミスグラインド
メイソン・シルヴァ/バックサイド・スミスグラインド

不動のクラシック。通り沿いに密集して立ち並ぶヤシの木は、灼けつくような日射しのもとで輝いている。スケートボード・カルチャーの発祥の地であり、スケート関連企業の多くが拠点を構え、この都市に住むプロスケーターたちも多い。複数の意味において、ロサンゼルスはすべてのスケーターの憧れの地なのだ。

この都市のストリートライドは徐々に厳しい状況へ追いやられているものが、今でも週末になれば学校の校庭はスケーターの秘密基地と化し、子供たちが下校するとスケーターたちが続々とフェンスを乗り越えて集結する。日曜の定番スポットといえばJ-Kwon(J-クウォン)だが、巡回パトロールする警官の姿に目を光らせておく必要がある。

広州 − アジアの黄金郷

ニック・ガルシア/クレイルスライド
ニック・ガルシア/クレイルスライド

手軽なコストでスケートトリップを楽しみたいなら、中国で3番目の大都市、広州がおすすめだ。無秩序に肥大化したこの都市は大理石がふんだんに用いられており、大理石で埋められた広場などが点在する他、大理石で造られたハンドレール(階段の手すり)も存在する。

平滑な大理石の広場でのスケートに飽きても、市内には他にもユニークなスポットが満載なので心配はいらない。なかでも、広州市内にあるリボン状のクォーターパイプは2014年以来数々のスケートビデオに登場しており、シーンで一躍有名になった。広州は物価も安く、空港から地下鉄やタクシーを使った市内へのアクセスも簡単かつ安価だ。

航空運賃はどこからフライトするかにもよるが、他の都市なら貧乏旅行を強いられるような低予算でも、物価の安い広州ならまるで王様のようなツアーを楽しめる。しかも、広州名物の点心料理は絶品。また、少し足を伸ばせば深圳や香港を訪れることも可能だ。広州は間違いなくアジア最高のスケートシティだ。

サンフランシスコ − スケートの歴史が生まれた街

ジャック・カーティン/スイッチ・クルックド・グラインド
ジャック・カーティン/スイッチ・クルックド・グラインド

スケートボードにおける重要な都市をひとつ忘れてはいないだろうか? バルセロナやベルリンの前に、まずはサンフランシスコだ。『Thrasher』誌が創刊された場所であり、スケートボード業界最大のディストリビューターDeluxeが本拠を構えるサンフランシスコは、至る場所にスケートボード・カルチャーが息づいている。

エンバーカデロをはじめとしたサンフランシスコ市内でかつて名を馳せた象徴的なスケートスポットはあまりにも有名になりすぎたために、スケートボードを不可にするための再開発が施されてしまった。しかし、公営のスケートパークである3rd and Armyは不動の人気スケートスポットで、デジタル革命の影響で地価が高騰した今も、サンフランシスコはスケーターたちの理想郷としての面目を保っている。

サンフランシスコ名物の急坂をスケートする行為は今も昔も変わらぬ恐怖をもたらし、往来する路面電車はどんなに大きなオーリーをメイクしてもかわすことは難しい。また、ミッション地区の名物ブリトーは相変わらず食べきれないほどの大きさだ。サンフランシスコ以上にスケートボードの歴史を実感できる街は、世界中のどこにも存在しないだろう。

ブラジリア − スケートのために造られた都市

フェリペ・グスタボ/フリップ・フロントサイド・ノーズスライド
フェリペ・グスタボ/フリップ・フロントサイド・ノーズスライド

ブラジリアはスペシャルな都市だ。ブラジリアは内陸部の荒涼とした未開の大地の中に突如として建設された計画都市で、世界的にその名を知られるブラジル人建築家オスカー・ニーマイヤーが計画に参加。当初からブラジルの連邦首都となるべく建設された。

また、ブラジリアはその超人的なテクニックでスケート界を震撼させたフェリペ・グスタボの出身地であり、彼を育んだブラジリアには南米屈指のスケートスポットがいくつか点在している。ブラジル内陸部に位置するこの都市へのアクセスは依然として便利とは言いがたいが、ブラジリア近郊に住んでいて、コストをかけずに本格的なスケートスポットを求めているなら、この都市を訪れる価値は大いにある。

メルボルン − 名スポット満載

クリス・ジョスリン/バックサイド・フリップ
クリス・ジョスリン/バックサイド・フリップ

大雑把な言い方ではあるが、首都よりも第2の都市の方が面白いことが多い。首都は流行に食いつくのも早いが、その分陳腐化するのも早い。一方、第2の都市(あるいは第3、第4の都市)は暮らしやすく、周囲の目を気にする必要も少ない。結果として自分の好きなことを快適にやり続けることができる。

メルボルンはその好例と言うべき都市だ。たしかに首都シドニーにはボンダイ・ビーチやオペラハウスのような観光名所、それにBowlarama(Vans Bowl-A-Ramaなども開催される有名スケートボウル)がある。しかし、メルブス(メルボルンの略称。地元の人々はこう呼ぶのを好む)こそオーストラリアのスケートシーンにおける中心であり、シドニーよりもメルボルンの方が遥かにクールな街だと言う人は多い。

その理由はいくつも挙げられる。分かりやすくシンプルな都市構造、美味しい料理、活発なアートシーン、オープンな都市設計 ― たった10マイル(約16km)ほどの距離のあいだに20ものスケートパークが点在し、さらには屋外型バーチカルランプも2カ所存在する。サンフランシスコがスケートボードの歴史を誇る都市だとしたら、メルボルンはスケーターが最も住みやすい都市だろう。また、外部の者にも分け隔てなく接してくれる心優しいローカルたちも素晴らしい。

コペンハーゲン − スケーターに優しいエコ都市

トミー・フィン/バックサイド・オーバークルックス
トミー・フィン/バックサイド・オーバークルックス

コペンハーゲンはデンマークの首都だ。自転車に優しい街として知られるこの都市は、世界で最も緑豊かな都市として知られており、2025年までにカーボンニュートラル(編注:自然界の二酸化炭素の増減がない状態、つまり一連の人為的生産活動を行った際に排出される二酸化炭素量と吸収される二酸化炭素量が同量であるという概念)の実現を目指している。90年代のレイドバックしたコンテストの雰囲気を色濃く残したヨーロッパ最良のスケートイベントのひとつ CPH Openなどが開催されているコペンハーゲンは、スケートシーンに大きなインパクトを残した。コペンハーゲン市内のスケートスポットはどこも非常に未来的で、ここに住む人々もきわめて先進的な考えを持っている。

コペンハーゲンを訪れる機会があるならば、自転車をレンタルしてカリスマスケーターとして知られるトム・ペニーが一躍有名にしたクリスティアニア地区の木製ボウルなどを訪ねたり、コンテストを観戦したりするのも良いだろう。

モスクワ − 勝利広場に敷き詰められた大理石

セイナン・コスタ/フロントサイド・テールスライド・イントゥ・バンク
セイナン・コスタ/フロントサイド・テールスライド・イントゥ・バンク

現代のモスクワでは旧ソビエト連邦時代を思わせる公共建造物はほとんど姿を消しつつあるが、そんな中でもグローバリゼーションの波を免れた旧ソ連時代の史跡が残っている。ソビエト連邦時代を思わせる大理石製の荘厳なモニュメントはモスクワ市内にもいくつか見られ、その周辺には最良のスケートスポットも発見できる。

モスクワ名物の不条理な交通渋滞をスケートボードですり抜けていくのは決して安全な行為とは言えないが、そのリスクに対する見返りは皆無というわけではない。リスクを避けるなら、ボードを抱えて地下鉄に乗り、勝利広場(編注:かつてロシア帝国時代に行われた2つの戦争 − 祖国戦争と大祖国戦争 − での勝利を記念して造られた公園広場)の目を見張る豪華絢爛ぶりに驚きながら、そこに敷き詰められた大理石の床を楽しもう。

モスクワのローカルスケーターたちはフレンドリーかつオープンなので、外部の者にも快くモスクワ流ライディングを教えてくれるだろう。

マル・デル・プラタ − 南米のスケートボード発祥の地

マダース・アプス/バックサイド・フリップ
マダース・アプス/バックサイド・フリップ

アルゼンチンにある落ち着いた浜辺の街、マル・デル・プラタは北半球からの避寒のために訪れるには完ぺきな場所で、夏期にはサマータイムが実施される。プロスケーター、ミルトン・マルティネスの生まれ育ったこの街の海沿いにはスムーズな路面を持ったスポットが点在しており、アルゼンチンを訪れるスケーターにとっては定番かつ最良の訪問先となっている。

また、このマル・デル・プラタは南米に初めてスケートボードが伝えられた都市で、その証拠に市内のコンクリートパークではベテラン世代のスケーターたちの姿も見られる。

昼間にスケートを一緒に楽しんだローカルと共にレストランに行き、ステーキを囲んでディナーを楽しむのも良いだろう。夜が深まるごとに、この街は更に活気を増していく。