フィットネス
ブレイキン:トップブレイカーたちが明かすフィットネス強化方法
ブレイキンはただのダンスではなく、ストレングス、持久力、メンタルも問われる。ワールドクラスのB-BoyとB-Girlたちがトップレベルで戦うために取り組んでいるトレーニング / 練習 / ワークアウトを教えてくれた。
ブレイキンは音楽性、スタイル、フレイバーが重要視されるクリエイティブなダンスフォームだが、同時に体幹、スタミナ、技巧が問われるハイパフォーマンス競技でもある。パワームーブ、フレーズ、フットワークなどを矢継ぎ早に披露できるブレイカーたちは、トップレベルのアスリートたちなのだ。
今回は、トップブレイカー6人にフィジカルレベルを強化・維持する方法を教えてもらった。
01
Victor:高強度体幹ワークアウトにフォーカス
【Red Bull BC One】のワールドチャンピオンに2回輝き、パリ2024でも銅メダルを獲得したB-Boy Victorは、端から見ているとブレイキンが簡単に思えてしまうほど流れるようにスムーズなスタイルを持ち味にしている。
Victorは最多で週4日をトレーニングに割いており、様々なエクササイズを取り入れている。
ケトルベル・ルーマニアン・デッドリフトやダンベルプレスなどのアイソメトリック系でパワームーブ用のストレングスを鍛えている他、ノルディック・ハムストリング・カール、ウエイトありのプルアップ、ハンギングワイパーなどにも取り組んでいるこのベテランブレイカーは、このような高強度体幹トレーニングの必要性について、「常に身体をひねったり、曲げたりするブレイキンは体幹がすべてだと思っています」と語っている。
尚、リカバリーとしては、アイスバスとサウナを組み合わせながら、プロテインが多く含まれている食事を摂ることを心掛けている。
18分
B-Boy Victor:ブレイキン・ザ・ループ
オリンピック初代銅メダリストとなった米国人ブレイカーVictor Montalvoの頂点を目指す道のりを追う。
02
Ami:有酸素系は通常の練習でカバー
【Red Bull BC One World Final】史上初のB-GirlチャンピオンになったB-Girl Amiは同イベントを2回制している若きレジェンドブレイカーで、パリ2024では金メダルを獲得した。
トラディショナルでクラシックなスタイルを備えているAmiは、軽やかで俊敏なムーブとフロウが持ち味だが、シンプルなフィットネストレーニングでこの持ち味を補強している。
週5〜6日をトレーニングに割いているAmiは、ストレッチや自重系にフォーカスしており、有酸素系トレーニングについては、「スタミナはブレイキンの練習でカバーできるので特に鍛えていません」と説明している。
また、AmiはVictorと同じく体幹にも取り組んでおり、プランク、プランクプッシュアップ、クランチ、プッシュアップの姿勢でのレッグレイズ / ニーレイズなどで、怪我の予防とストレングスの強化を同時に進めている。
Amiのフィットネスに対するアプローチは、「トレーニングは自分のブレイキンをできる限り理想に近づけるためにあるべき」というマインドセットに根ざしており、本人は「ブレイキンでは、シルエットとフォームを強く意識しています」と語っている。
03
Phil Wizard:アスリートのように鍛える
「アーティストのように考え、アスリートのように鍛える」― これがカナダ人ブレイカーPhil Wizardの座右の銘だ。パリ2024で金メダルを獲得したPhilは、スムーズだがダイナミックなスタイルを備えており、スピードとエナジーを常に変化させながら、複雑なフリーズを次々とメイクしていく。
週5〜6日をトレーニングに割いているPhilは、ブレイカーとしての寿命を延ばすために毎朝のストレッチで関節を調整している。ストレッチを終えたあとは、キャリステニクスに取り組みつつ、フリーズの練習で全身を調整している。
また、Philは筋力の強化・調整のために2017年からパーソナルトレーナーを雇っており、ジムに定期的に通ってケトルベルやウエイト系で爆発力を鍛えつつ、フィットネスバイクでスタミナを強化している。
Philは世界最強ブレイカーのひとりだが、今でも自己疑念に悩まされるときがあることを明かしており、「ネガティブな自分との戦いは続いています。そういう自分がいなくなるときがあれば、出てくるときもあるのです」と語っている。
しかし、Philはそのような自分をコントロールする方法を見出している。そのひとつが、念入りな準備だ。本人は「トレーニングを重ね、しっかりと準備ができていれば、自信も深まっていきます」と説明している。
もうひとつの方法は、ソーシャルメディアから距離を取り、他人と自分を比較しないことだ。Philは「ソーシャルメディアは不安を煽ります。インスタグラムで他の人のトレーニングを見てしまえば、たとえ良いトレーニングができていても、“もっとトレーニングをしなければ” と思ってしまうのです」と続ける。
このようなPhilに意外な一面があるとすれば、それは彼が大の甘党ということだろう。Philは厳しいトレーニングを積んでいる一方で、ペストリーやアイスクリームなど、甘い物を常に食べている。
04
Vanessa:オリジナルメニューを考案
ポルトガル出身のB-Girl Vanessaは、自分のフィジカルレベルを高める必要があると気付いたあと、独自のブレイキン専用ストレングス / コンディショニングワークアウトを考案した。
ブレイキンのムーブにストレングスとスタミナを強化するエクササイズを組み合わせている彼女は、「いつもはパフォーマンス強化のために週2〜3回ワークアウトを取り入れています。ウエイトリフティングは取り入れていません。自重系とスクワットジャンプが中心です」と語っている。
トレーニングでの疲労を速やかに取り除くために、栄養士にアドバイスを求めたことがあるVanessaは「食事とサプリメントからエナジーを得る方法を学びました。これが大きな助けになりました」と語っている。また、彼女は言い訳をしないでプッシュし続けるために、メンタルの強化にも取り組んでいる。
フィットネストレーニングを始めたことで、Vanessaは自分のブレイキンが大きく向上したことを実感しており、実際、現在の彼女はポルトガルを代表するブレイカーのひとりとして評価されている。【Red Bull BC One】ポルトガルサイファーを3回制している彼女は、【Red Bull BC One World Final】に出場した他、パリ2024のポルトガル代表に選出された。
05
Shigekix:毎日練習
B-Boy Shigekixはダイナミックで爆発力のあるスタイルを備えており、【Red Bull BC One World Final】でワールドチャンピオンに輝いた実績を持つ。
彼のワークアウトへのアプローチは、ムーブのメイクにほとんど失敗したことがないという実績に繋がっている。コンマ数秒でムーブのスピードを調整し、超高難度フレーズへと繋げられるShigekixは、1日2回・計6時間のトレーニングを365日続けている。
Shigekixのフィットネス、スピード、パワーはハードトレーニングの賜物だ。ローイングマシンで緩急を組み合わせながら最長2kmを消化している彼は、フィットネスバイク、シットアップやプッシュアップありのハンドスタンドウォールクライムなども取り入れている。
Shigekixのトレーニングの成果をチェック!
5分
Shigekix vs Kid Karam – round of 8
B-Boys Shigekix and Kid Karam face off in a one-on-one battle for a chance to make it to the semi-finals.
Shigekixは、トレーニングを積むことで自分のブレイキンに対する自信が深まるとしている。また、彼はトレーニングの内容やスケジュールが厳しいと感じるときもあるが、「最強のブレイカーになる」という目標によってモチベーションを維持していると続けている。
06
Madmax:怪我の予防を意識
B-Girl Madmaxは、ストレングスとコンディションを強化すべく2018年に水泳を始めると、すぐにフィジカルとメンタルの両方でブレイキンに効果があることに気付いた。彼女は「トレーニングの目標をクリアできるようになると、他のどんな目標でもクリアできるという自信が得られるようになります」と説明している。
トレーニングを始めたことで、【Red Bull BC One E-Battle 2020】優勝、【Red Bull BC One World Final 2020】準優勝、【Red Bull BC One】ベルギーサイファー優勝などいくつものタイトルを手にしてきたMadmaxは、プル / プッシュ系メニューが中心のトレーニングメニューを週4〜5回消化している。
プルアップ、プッシュアップ、ウエイトトレーニングでストレングスを強化している彼女は、スキップやランニングでスタミナ、ヨガで柔軟性の強化にも取り組んでおり、さらには可動性の強化にも取り組んでいる。
怪我の予防も、Madmaxがワークアウトに取り組んでいる大きな理由のひとつだ。「特定の怪我を防ぐために特定の筋肉を鍛えています。たとえば、ブレイキンでは膝に負荷がかかるので、その周辺の筋肉を鍛えています」
4分
Madmax vs Jilou – semi-final 1
B-Girls Madmax and Jilou compete for their spot in the final of the Red Bull BC One World Final 2020.
また、Madmaxは食事については栄養士の協力を得ており、トレーニング前に炭水化物、トレーニング後にプロテインを摂取するように注意している。
「アスリートのようにトレーニングしつつ、アーティストのようにダンスする必要がありますね」とMadmaxは語っている。
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