エマ・カーク=オドゥヌビ
© Nyla Sammons
探検

ジェンダーレスを体現する女性アスリート 10人

フィットネスやアドベンチャーの分野で数々の障壁をものともせず活躍している10人の女性アスリートたちを紹介しよう。
Written by Nyla Sammons
読み終わるまで:7分公開日:
写真家ナイラ・サモンズが撮影したポートレートシリーズに登場する女性10人ほど人生から得た教訓について堂々と語れる存在はほとんどいない。
ロンドン東部カナリー・ワーフにあるクロスレール・プレイス・ルーフガーデンで開催された写真展『Tough Women in Sport and Adventure』は、常識を打ち破りながら限界を押し上げ、アドベンチャーやフィットネスの分野で世界記録を樹立してきた10人の女性に敬意を表した。
このシリーズは女性1人につき写真2枚のフォーマット(1枚はスタジオで、もう1枚は屋外)を採用していたが、今回紹介している大西洋単独横断や旧式バイクでのホーチミン・トレイル2,000マイル(約3,218km)走破など、コンフォートゾーンの外側で限界を追求することで得た人生最大の教訓を読めば、彼女たちのポートレートの魅力がさらに増すはずだ。

ピップ・スチュワート

ピップ・スチュワート

ピップ・スチュワート

© Nyla Sammons

ピップ・スチュワートの過去最大のチャレンジは、マレーシアからロンドンまでの26カ国・10,000マイル(約16,000km)13カ月かけて自転車で走破した旅だ。この旅はフィジカル面だけでなくメンタル面でも厳しいエンデュランスチャレンジとなった。
1マイル走るごとに彼女はより強く、よりフィットしていき、さらにはより打たれ強くなっていき、この長い旅路で培われたメンタルの強さが、2018年に記録された世界初の南米エセキボ川カヤッキング制覇に結びついた。
《ピップが語る人生の教訓》
アドベンチャーの世界で何かを成し遂げるのに、トップレベルの体力や筋力、速さなどはそこまで大事じゃない。わたしもそのような資質を備えていない。大事なのはガッツ学ぶ姿勢よ。
新しいスキルを学ぶ時は失敗がつきものだけど、そういう自分を笑い飛ばせないなら、その人は大きく成功しないでしょうね。わたしにとってアドベンチャーとは自分のあらゆる可能性を追求し、成長することなの。

キコ・マシューズ

キコ・マシューズ

キコ・マシューズ

© Nyla Sammons

2018年、キコ・マシューズボートでの大西洋単独横断に成功し、それまでの世界記録を7日も更新した彼女は、かつて本人を脳腫瘍から救ってくれたロンドンのキングス・カレッジ病院のために100,000ポンド(約1,450万円)もの募金を集めた。
従来の大西洋横断記録を7日も更新したキコ・マシューズ

従来の大西洋横断記録を7日も更新したキコ・マシューズ

© Kiko Matthews

《キコが語る人生の教訓》
アドベンチャーは未知のものに対処できるようになる助け、未知のものを受け容れる助けになる。アドベンチャーで遭遇するチャレンジは、日常生活でのメンタルを鍛えるのに役立つの。高さ50フィート(約15m)の波や、49日間続く洋上での孤独を克服できるなら、どんなことだってクリアできるわ。

アントニア・ボリングブローク=ケント

アントニア・ボリングブローク=ケント

アントニア・ボリングブローク=ケント

© Nyla Sammons

アントニア・ボリングブローク=ケントにとって最大のチャレンジは、小さな旧型バイク(愛称 “ピンクパンサー”)に乗り、伝説とされるホーチミン・トレイルの泥と山の中を2,000マイル(約3,218km)に渡って走破する旅だった。
4度も行ったエンジンの組み直しや、ベトナム戦争時代に使用されていたクラスター爆弾のギリギリでの回避などは、アントニアが体験したアドベンチャーのほんの一部でしかない。
《アントニアが語る人生の教訓》
真剣に取り組めばどんなことでも可能ですし、わたしたちは自分で考える以上にはるかにたくさんのことが可能です。ジャングルの中、たったひとりでバイクを修理しているとそれに気付きます。
アドベンチャーとは自分のあらゆる可能性を追求し、成長すること
ピップ・スチュワート

ローラ・ケニントン

ローラ・ケニントン

ローラ・ケニントン

© Nyla Sammons

ローラ・ケニントン最大のチャレンジは、2018年にスコットランドからノルウェーまでの8カ国を3,700マイル(約6,000km)に渡ってサイクリングする旅だった。
彼女はスコットランドを出発し、英国全土を巡ってからフランスへと渡ると、ベルギー・オランダ・ドイツ・スウェーデンを経由してノルウェーでゴールを迎えた。
《ローラが語る「人生の教訓」》
人間の肉体は可能性の宝庫です。わたしたちは、自分たちが思っているよりもはるかに多くのことを成し遂げられます。心の中の批評家の言いなりになってはいけません。その批評家が自分を目標に導くことはないのですから。あとは、自分にご褒美を与えるようにしましょう!

アノーシェ・フセイン

アノーシェ・フセイン

アノーシェ・フセイン

© Nyla Sammons

アノーシェ・フセインは2016年にインドアクライミングを始めると、1年足らずでパラクライミング肢体不自由者部門総合2位になった。
2017年に記録された彼女のクライミングディスタンスは、エベレストの標高(8,848m)に相当する。かつての彼女は8分間の歩行でも息切れと目まいを起こしていた。現在でも、体調の優れない日は歩行が厄介だ。
しかし、彼女はトレーニングを続け、クライミングウォールに向かう。
《アノーシェが語る人生の教訓》
自分に秘められたポテンシャルを解き放ち、不可能を可能にするためのカギを握っているのは自分だけです。上手くいかない時もありますが、そんな時こそ自分を立て直し、トライし続けることが重要です。その忍耐が自分をゴールに導いてくれます。

エマ・カーク=オドゥヌビ

エマ・カーク=オドゥヌビ

エマ・カーク=オドゥヌビ

© Nyla Sammons

エマ・カーク=オドゥヌビはスポーティなライフスタイルを送っている。彼女がこれまでに達成した最大の功績は、1,000ポンド(約14万5千円)を超える募金を集めた24時間連続バーピーだ。7,015回ものバーピーをこなした彼女は史上最年少記録も打ち立てた。
《エマが語る人生の教訓》
スポーツとアドベンチャーは、自分の本当の強さと、意志さえあれば何でもできることを示してくれます。身体が限界を迎えても、気力がその先へとプッシュしてくれます。どんな時も、気力に勝るものはありません
上手くいかない時もありますが、そんな時こそ自分を立て直し、トライし続けることが重要です。
アノーシェ・フセイン

ローラ・ホギンズ

ローラ・ホギンズ

ローラ・ホギンズ

© Nyla Sammons

ローラ・ホギンズ最大の功績は、Strongwoman(編注:重量挙げなどのストレングス系競技で構成されるイベントStrongmanの女子カテゴリー)からわずか16週間でマラソンランナーに転向したことだ。
ストレングス系トレーニングやStrongman用トレーニングにフォーカスしてきた彼女は、ハードワークで自身をエンデュランスランナーへ改造しており、2019年のロンドンマラソンに参加する。
《ローラが語る人生の教訓》
一歩ずつ着実に進むこと。どんなことであれ、タフになってくると、人間は迷うものだわ。やめるべきなのか? ギブアップするのか? それとも目の前にあるタスク — 1レップや1歩、1m — に集中するのか?
小さな一歩が大きな目標に繋がっていく。そししてタフな女性たちはあえてメンタルとフィジカルの両方で不慣れな領域へ踏み出しているの。

アナ・ブラックウェル

アナ・ブラックウェル

アナ・ブラックウェル

© Nyla Sammons

2018年、アナ・ブラックウェルカヤックでのヨーロッパ大陸横断エクスペディションに参加した。女性カヤッカー2名で構成されるチームとして、彼女は11カ国・5首都を巡りながらロンドンから黒海(ルーマニア)までの4,000km超5カ月かけてカバーした。
《アナが語る人生の教訓》
わたしがこれまで学んだ最も大事なことは、他人からの恐怖や疑念に自分の夢や情熱の追求を邪魔させないことの重要性です。

ベス・フレンチ

ベス・フレンチ

ベス・フレンチ

© Nyla Sammons

ウルトラディスタンス・スイマーのベス・フレンチは、英国コーンウォールからイタリア・シチリア島まで大西洋の海流に逆らいながらスイムした世界唯一の人物だ。
《ベスが語る人生の教訓》
筋痛性脳脊髄炎から回復し、アドベンチャーを通じて自分の身体を信頼し愛することを学んだわたしは、他人の声ではなく自分の声を信じる勇気が重要で価値あるものだということを学びました。全員に同じことが言えます。
これまで学んだ最も大事なことは、他人からの恐怖や疑念に自分の夢や情熱の追求を邪魔させないことの重要性です
アナ・ブラックウェル

ルクサーナ・ベイガム

ルクサーナ・ベイガム

ルクサーナ・ベイガム

© Nyla Sammons

ルクサーナ・ベイガムの功績は、筋痛性脳脊髄炎に襲われながら自分の冷静さと意志の強さに全幅の信頼を置き、プロボクシングのワールドタイトルに挑戦し、13年ものハードワークを経て一世一代のファイトに勝利したことだ。
“オール・オア・ナッシング” の戦いが待つリングへ上がる前の彼女は、恐怖や疑いを隅に追いやり、勝つことだけをイメージしていた。
《ルクサーナが語る人生の教訓》
失敗は成功のもと。失敗があってこそ、わたしたちはゴールに近づき、必要な学びを得る。ノックダウンを食らった回数ではなくて、そこから立ち上がった回数が重要なの。