Art from Travis Strikes Again: Now More Heroes, the forthcoming game by cult games designer Suda51.
© Grasshopper Manufacture
ゲーム
須田剛一が語る『Travis Strikes Back: No More Heroes』
Nintendo Switch独占で2018年内のリリースが予定されているカルトシリーズの最新作について生みの親が語った。
Written by Aron Garst
読み終わるまで:6分Published on
海外ではSuda51として知られる須田剛一は、美しいヴィジュアルスタイルと直感的なゲームプレイを誇る『killer7』や『NO MORE HEROES』シリーズなどの作品群によってカルト的な人気を得ているゲームデザイナーだ。
よって、彼が最新作『Travis Strikes Back: No More Heroes』を発表した時に落胆したファンが多かったのは理解できる。
須田は次のように話を切り出す。
「ファンの皆さんが『NO MORE HEROES 3』を求めているのは理解していますし、僕たちもその開発に興味があります。ですが、Wii U用タイトルを開発してみないかという話を頂いたんです」
「それが今作を開発するきっかけとなりました。のちにNintendo Switchにプラットフォームが移行しましたが、今もその開発をしているんですよ」
『Travis Strikes Back: No More Heroes』はアクションアドベンチャータイトルで、主人公トラヴィス・タッチダウンが怪しいビデオゲーム機 “Death Drive MK-II” の中に吸い込まれてしまい、その中に存在する複数の異なる世界(ビデオゲーム)を旅していくというのが大まかなストーリーだが、それぞれの世界は、須田が影響を受けたビデオゲームをベースにしたものになっている。
「収録タイトルはいちから開発しました。トレーラーで確認できるアクションはひと続きになっていますが、それぞれが異なるゲームプレイになるように様々な調整を施しました」
『Travis Strikes Back: No More Heroes』にどのような種類のゲームプレイが収録されるのかについてはまだ不明な部分もあるが、須田はそれぞれが子供の頃に大好きだったビデオゲームがベースになっているとしている。
また、今作には、インディーデベロッパーとのコラボレーションとして『Hyper Light Drifter』や『Hotline Miami』のようなモダンタイトルがTシャツのプリントとして登場する。
須田は次のように説明する。
「優秀なインディーデベロッパーともっと絡んでいければと思っていますが、自分たちのゲームをパーフェクトに仕上げようとしている時に、他のデベロッパーと一緒に仕事をすることはできません。今作では、こちら側で全てをコントロールしたかったんです」
大きなインスピレーションとなった『ゼロヨンチャンプ』
大きなインスピレーションとなった『ゼロヨンチャンプ』© Media Rings

過去からの影響

これまで確認できているゲームプレイの大半は、トップダウンビューでのハック&スラッシュだが、他にはどのようなゲームプレイが用意されているのだろうか?
最新トレーラーでは『Killer Marathon』(アクション)、『Golden Dragon GP』(レーシング)、『Life is Destroy』(パズル)のタイトル画面が紹介されていた。
「具体的な内容についてはまだお話できません。まだ色々な問題を解決したり、システムのバランス調整を行ったりしている段階ですので。僕たちが言えるのは、収録されるタイトルは『ガントレット』、『スマッシュ T.V.』、『ゼロヨンチャンプ』などから影響を受けているということです」
須田は、今作のゲーミングエクスペリエンスは、上記のクラシックタイトルに彼らしいスタイルを加えたモダンなものになることを約束している。尚、須田は今作のレーシングゲームについてもう少し踏み込んで説明している。
今作のレーシングゲームは、1991年神長豊が開発した『ゼロヨンチャンプ』シリーズから影響を受けてはいるが、そのヴィジュアルスタイルは大きく異なっている。
『ゼロヨンチャンプ』は、スーパーファミコン、PC、PlayStationなど様々なプラットフォームで11年間に渡り8タイトルが展開された長寿シリーズで、その名の通り、“ゼロヨン” の世界を舞台にしたレーシングゲームだが、そこにRPG要素リアルなゲームプレイ、そしてアニメ風ストーリーを組み合わせている。
2005年に海外ファンが『Zero4 Extreme』というフラッシュゲームを開発したが、正規版は全て日本のみでリリースされたこのシリーズは、国産スポーツカーが全て実名で収録されており、豊富なカスタマイズオプションも備わっている。
須田はこのクラシックシリーズのどの部分を『Travis Strikes Back: No More Heroes』に持ち込んでいるのかについては口を閉ざしているが、“ボス戦” が最後に控えていることだけは確かだ。
今作に収録されている様々なレトロ風タイトルは、須田が子供の頃にプレイしたタイトルがベースになっているが、須田は、今作でコラボレーションをしているインディーデベロッパーたちからも影響を受けている。
「様々なゲームショーで顔を合わせているインディーデベロッパーの皆さんから開発について多くを学んでいます」
「今作の中に僕たちが用意したゲームの中にもインディー的なスタイルが持ち込まれているはずです。小規模なタイトルを複数用意したので、そのスタイルがひときわ強く出ていると思います」
『Travis Strikes Back: No More Heroes』
『Travis Strikes Back: No More Heroes』© Grasshopper Manufacture

Suda51スタイル

『NO MORE HEROES』と『NO MORE HEROES 2』のゲームプレイは素晴らしく、また、バラエティに富んだキャラクターデザインとひねりが加えられているナラティブには、そのゲームプレイを上回る魅力を持つユニークなスタイルが持ち込まれていた。
このスタイルが、『Travis Strikes Back: No More Heroes』をエキサイティングなタイトルにしている理由のひとつだ。
大きなストーリーの中に、それぞれユニークなスタイルを持つ7タイトルを盛り込んでいる須田は次のように語る。
「開発はチャレンジングですよ。時間をかけて、ゲーム内の特定のシステムが上手く機能しているかをチェックしつつ、それが他の部分に悪影響を与えていないかチェックしています。諦めたアイディアも多いですね」
京都で開催されたBitsummitからサンフランシスコで開催されたGame Developers Conferenceまで、『Travis Strikes Back: No More Heroes』のゲームプレイデモは世界各地のゲームイベントで披露されているが、このゲームの真のポテンシャルはまだ確認できていない。
「まだまだやるべきことは沢山ありますね。デモをプレイした人たちからフィードバックを大量に得ているので、それらをベースに調整を加えているところです」
『Travis Strikes Back: No More Heroes』のリリース日はまだ確定していないが、2018年内のリリースが予定されている。須田は最後にこう結んでいる。
「リリース後に楽しんでもらいたいので、リリース前に全ての情報を公開する予定はありません。リリースのタイミングで面白い部分が色々と明らかになると思います」
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