スノーボード
スノーボード:スロープスタイルトリックを理解しよう!
スノーボード観戦がグッと楽しくなるトリック解説! パート1はスロープスタイル!
3月3日・4日(日本時間3月4日午前・5日午前)に Burton US Openのファイナルがコロラド州ベイルで開催されるが、世界最高のスロープスタイル&ハーフパイプ・スノーボードコンテストとなるこの大会を見てみようと思っている初心者やファンの中には、Red Bull TVのライブストリーミングや他のメディアのコメンテーターが発する専門用語がいまいち理解できないという人もいるだろう。正直に言えば、初心者でなくても理解できない人もいる。しかし、トリックはある特定のルールに沿ってメイクされているのだ。そこで今回はスロープスタイルのトリックを解説していこう。
スロープスタイル(及びハーフパイプ)のトリックは以下の3つの要素で構成されている。
1:スタンス(レギュラー / スイッチ)及び回転方向(フロントサイド / バックサイド)
2:グラブ
3:回転数・回転軸(水平・垂直・両方)
そして、便宜上、この3要素の特定の組み合わせにはユニークなトリック名が与えられており、通常は、その組み合わせを初メイクしたライダーの名前が冠されている。たとえば、ハーフパイプでバックサイド・540にミュートグラブを加えたトリックは、レジェンドプロスケーターのマイク・マックギルが初メイクしたため、“マック” ツイストと呼ばれている。
各トリックの細かい説明は割愛させてもらうが、Burton US Openでメイクされるはずのスロープスタイルのクラシックトリックを4種類紹介しておくので、観戦時の参考にしてもらいたい。
ジェイミー・アンダーソン
トリック:ギャップ・トゥ・フロントサイド・ボードスライド
フロントサイド・ボードスライドはクラシックトリックのひとつだ。上のGIFのジェイミー・アンダーソンは、「レールに対して90°を保っている」、「レールを十分に使用している」・「レールから綺麗に飛び出している」の3点が得点の対象になっている。また、「レールから距離を稼いで着地している」(ギャップ)も得点の対象になっている。
シリエ・ノレンダルトリック:バックサイド・ブラント・270
ブラントもスケートボード発祥のトリックで、スケートボードでは、ボードではなくウィールを使い、やや傾いた姿勢でレールや縁石をスライドするトリックを指す。スノーボードにはウィールが存在しないが、このような姿勢を取っている場合はブラントに数えられる。上のGIFでは、シリエ・ノレンダルがボードのテールを使ってスライドし、270°の回転を加えてレギュラースタンスで着地している。彼女はこのトリックを得意としているので、Burton US Openでもメイクされるはずだ。
ステール・サンドベックトリック:キャブ・1260・ステールフィッシュ(フラットスピン)
これはやや複雑なトリックだ。通常、トリックは回転方向(フロントサイド・バックサイド:フロントサイドは視界が開いている方向、バックサイドは視界が閉じている方向))、ライダーのテイクオフポジション(レギュラーまたはスイッチスタンス)で説明できるが、ひとつだけ例外がある。ライダーがスイッチスタンスからフロントサイド方向に回転した場合は、スイッチ・フロントサイドではなく、キャブと呼ばれる。上のGIFでは、グーフィー(右足が前にくるポジション)のステール・サンドベックが、左足を前に(スイッチ)でジャンプして、フロントサイド方向に回転しているので、キャブとなる。その上で、ステールフィッシュグラブをしながら3回転半をしているので、キャブ・1260・ステールフィッシュとなるそして、サンドベックは常にボードの上に位置しながら回転しているので、フラットスピンとなり、更に片脚を伸ばしているので、スタイルも加点される。
マーク・マクモリストリック:バックサイド・1440・トリプルコーク(ミュートグラブ)
トリプルコークは現在のスノーボードでは頻繁に聞かれるトリックメイだ。コークはコークスクリューの略であり、垂直方向の回転と水平方向の回転を組み合わせた回転となる。上のGIFのマーク・マクモリスはレギュラースタンス(左足が前)で飛び出し、同スタンスで着地するまでに水平4回転に垂直3回転を加えながらミュートグラブ(前側の手でボードのつま先側のエッジをグラブする)をしている。このトリックをメイクする時は自然にこのグラブになるため、このグラブはデフォルトとして扱われている。2012年のX Gamesで、非常に高難度なこのトリックを大会レベルでの初メイクしたのがマクモリスだ。
ハーフパイプのトリック解説はこちら。