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しかし、そのヴィジュアルの下には、その時代よりもさらに前、同シリーズを世界的に有名にした最初期の最大の特徴だった「探索要素」が強く押し出された、謎に満ちたゲーミングエクスペリエンスが隠されている。
このゲームをたったひとりで開発しているAndrew Shouldiceは、ヴィジュアルが『ゼルダの伝説』シリーズに似ているのは意図的だと認めているが、同時に『Tunic』は特定のゲームではなく自分の過去に大きな影響を受けたゲームだとしている。
Shouldiceは次のように話を始める。
「この『Tunic』の核は、完全には理解できない不思議な場所を探索することにあります。僕には子供の頃に近所の人が持っていたビデオゲームの説明書をパラパラとめくっていた記憶があります」
「当時の僕は幼すぎてその内容が理解できませんでしたし、プレイもできませんでしたが、その記憶は非常に鮮明に残っています。そして僕は何か分からないものを眺めながら、そこに隠されているかもしれない秘密をあれこれと想像していたのです」
「作家風に気取って言えば、開発理由はこんなところです」
開発初期の『Tunic』には『Secret Legend』というタイトルが付けられていたが、これは実に相応しかった。なぜなら、Shouldiceの上記の発言と一致するからだ。
このゲームは、現実と想像の両方における隠された秘密をテーマにしている。
彼に言わせれば、AAAタイトルの「隠された秘密」、つまり「隠し要素」の大半は秘密ではなくただのコレクティブルだ。たとえば、昨年リリースされた『God of War』のオーディンの鴉はプレイヤーに見つけてもらうことを前提に用意されており、ゲーム側がその存在を教えてくれる上に、進捗も管理してくれる。
Shouldiceはこのような隠し要素よりも「リスキーな隠し要素」に興味を持っている。例として挙げられるのは、インディーパズルゲーム『Braid』のリリース後何週間も存在が明らかにならなかった8つの星や、ポップカルチャーシーンでヒットした『Undertale』のW.D. Gasterなどが挙げられる。
Shouldiceは、このような「隠し要素」はプレイヤーがそれまで考えつかなかった新しいアプローチを考えさせたり、彼らがそれまで知らなかった新しいシステムを紹介したりする時に最大の効果を発揮すると考えており、『Tunic』ではこの考えが、ゲーム内に落ちている不思議なノートとして表現されている。
これらのノートは、Shouldiceが言うところの「トリッピーな記号」で書かれており、プレイヤーはもちろん、主人公のキュートなキツネも理解できない。
プレイヤーの多くが、スタートからしばらくするとコントローラーの絵が描かれているページを見つけることになるのだが、その絵を参考にしながらボタンを色々と押していくと、敵との戦闘で非常に重要になってくる操作「左トリガーで敵をロックオン」に気が付く。
Shouldiceは「このページはプレイヤーへのプレゼントのようなものですが、こういうプレイを楽しんでもらいたいと思っています。僕の子供の頃の体験と同じように、そのようなページを見て色々と想像してもらいたいんです」と語っている。
Shouldiceが『ゼルダの伝説』シリーズを愛しているのは間違いない。
また、Shouldiceは、自分が目指しているゲームデザインの好例として、初期『ゼルダの伝説』シリーズに似ているパズルゲーム『StarTropics』を挙げている。
このゲームの最初のダンジョンでは、ボス戦の前にある特定のエリアに進むと、その先にある非常に貴重な回復アイテムが含まれている隠し部屋をアンロックできる。
そしてこの隠し部屋をさらに探ると、もうひとつの隠し部屋が現れ、同じアイテムを手に入れることができる。そして、その2番目の隠し部屋をさらに探すと3番目の隠し部屋への通路が現れるのだが、3番目の隠し部屋に進んだ瞬間、トラップで死んでしまう。
Shouldiceが説明する。
「これは “本当の隠し要素” と感じられるもののひとつです。プレイヤーは、このように連続で隠し部屋を見つけていった先に即死トラップが待っているとは思いません。『Tunic』に同じようなものが含まれているかどうかについては言えませんが、似たような感覚を与えたいと思っています」
また、Shouldiceは『Tunic』について、何よりもまずパーソナルな気付きの旅だと強調する。
このゲームでは、隠し要素が「美しい世界の中に隠されているもの」ではなく、「ゲームそのものに感謝することになる気付き」として機能する。
そしてその隠し要素は、戦闘の選択肢を増やす新しいガジェット、スタート時点では知らなかったシステム、ゲームを完全に異なるアプローチで進められるショートカットなどに姿を変えて収録されている。
さらに、Shouldiceはインディーパズルアクション『Fez』の名前を挙げて、このゲームはマスターピースであり、自分の目指しているゲームが実際にどう機能させれば良いのかについて教えてくれる素晴らしい前例のひとつだと語っている。
しかし、Shouldiceは『Tunic』については、プレイヤーが自力で解明する必要がある架空の言語など、ゲームに対する理解を一度完全にリセットしなければならない大きな仕掛けがいくつか用意されていた『Fez』とは異なり、このゲームでは複雑なゲーミングエクスペリエンスへと繋がっていく小さな仕掛けを大量に用意することにフォーカスしているとし、次のように説明する。
「たとえば、『ダークソウル』シリーズを初めてプレイした人は、ステータスの 《強靱度》が何を意味しているのか分からないでしょう」
「ゲーム内でこれについて説明されることはありません。ですが、《強靱度》はキャラクタービルド、このゲームの特徴のひとつである “ステ振り” において非常に重要です。また、このシリーズでは優れたルートや武器をすべて理解することもありません」
「この『Tunic』ではこのような形でプレイヤーがプレイを通じて知識を蓄えていくようにしたいと思っています。先日、友人たちと一緒にテストプレイをしたのですが、彼らはいきなり高レベルになってから進むべきエリアへ進み、敵に何回も倒されたあと、最終的にギブアップしてしまいました」
「その様子を見た私は彼らに “自分が何をしているのか理解できているなら、つまり、このゲームを理解できたあとは、さっきみたいな敵を問題なく倒せるようになるよ” と説明しました。『Tunic』はそういうゲームなのです」
『Tunic』の正式なリリース日についてShouldiceは硬く口を閉ざしているが、すでに目標をいくつもクリアしているので、世間の多くが考えているよりも完成に近づいていると説明している。
また同時に、Shouldiceはここ3年は「あと1年で完成だ」と思い続けていたが、ここ最近はそう思わなくなっているともコメントしている。
リリース日についてはゲームと同じく謎に包まれているが、このゲームをプレイしたいというプレイヤーの数が増えているのは確実なようだ。
『Tunic』のコミュニティマネージャーを担当しているHarris Fosterは、このゲームに収録されている謎を明かすことなく世間に興味を持ち続けてもらうことが、このゲームのマーケティングで一番難しいところだとした上で、次のようにコメントしている。
「ゲームショウにデモを出展すると、プレイした皆さんが何か考えながらその場を去っているのが分かるんですよ。“Yを使ってXができたなら、Yを使ってZもできるんじゃないか?” なんて言っているんです」
「このゲームのファンはすでにこういう考え方をするようになっています。そしてこのような思考こそがこのゲームの目指しているところです。完成した暁には皆さんに満足してもらえると思います」
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