スポーツフォトは広い世界だ。スポーツには団体、個人、国内、国外などがあり、更に近年はスカイダイビングなどのアクションスポーツも含まれるからだ。しかし、その中には「奇妙なスポーツ」が存在する。そして、そんなスポーツばかりを追い続けている男がいるのだ。今回はその男、ソル・ニールマンが撮影した写真の数々をインタビューと共に紹介しよう。
奇妙なスポーツに関わり始めたきっかけは?
僕は10年間新聞社の写真部に勤めていたんだけど、2007年にフリーランスに転向した。それで自分を忙しく保つために奇妙なスポーツを撮り始めたんだ。今は3冊目の写真集に取りかかっているところだよ。これまで200ほどのスポーツを撮ってきたんだ。僕はひとつのことを専門にしているんだ。それが僕のセールスポイントなんだよ。
奇妙なスポーツに初めて出会った時の印象は?
最初に撮影したスポーツのひとつが、2005年のローラーゲームだった。何よりも面白いと感じたのは、参加している人たちがきわめて普通の人たちだったことだね。彼らはプロアスリートじゃないんだ。もちろん、真剣勝負だけど、面白おかしいところもある。これは僕が追ってきたスポーツに共通していることだね。
プロほど真剣ではないということでしょうか? もう少し気楽な感じなのでしょうか?
もちろんそうだね。撮影もしやすいよ。よく来てくれたって感謝してくれるんだ。僕はこれまでに2度のオリンピックにフォトグラファーとして参加したけれど、オリンピックは色々アクセス制限がある。でも、僕に言わせれば、ベストショットっていうのは、参加者たちと親密になれないと撮れないのさ。僕が撮影に使うのは35mmレンズ。300mmや400mmレンズじゃない。
それは名言ですね!
それに僕はクールな写真が撮りたいわけでもないしね。正直な写真、ユーモアとクリエイティビティが感じられる写真が撮りたいんだ。スポーツフォトっていうのは、ピークの一瞬を捉えた美しい写真っていうイメージを持たれているけど、僕の場合はなんていうか、美しくない、その瞬間をありのままで捉えた写真が欲しいんだ。僕が注意しているのは、正直かどうかってこと。何かを感じさせてくれる写真だね。そういう写真を見た人も何かを感じてくれればと思っているんだ。
一番印象に残っているスポーツ、もしくはイベントは?
僕は同じスポーツを何回も撮影しない。新鮮さが好きなんだ。2度目以降は「もう知ってる」って感覚になってしまうんだよ。でも、何回も訪れているスポーツがある。それはKaijuってタイトルのライブ・モンスター・レスリングなんだ。ゴジラみたいな着ぐるみを着たレスラーたちが、ミニチュアのビルなどが置かれたリングで、街を破壊しながら戦うんだよ。これは最高に楽しいね。ものすごく愉快だし、良くできているんだよ。
最高の思い出は?
最初の頃に撮影したジョージア州アトランタで開催されていたレッドネック・ゲームズ(Redneck Games:注)だね。いつも友人を誘うんだ。一緒に笑いたいし、色んな人を撮影したいからね。泥だらけで笑い合うのは最高だし、美しい写真が撮れるんだ。
注:レッドネック・ゲームズとは、アトランタがレッドネック(無学な田舎者の白人を指す)と揶揄されたのを逆手に取って地元民によって始められたイベント。ウェットTシャツコンテストや、トイレの便座投げなどが開催される。2012年で終了した。
最も奇妙だと思ったスポーツは?
火を付けたテザーボールはかなり面白いと思うよ。僕が実際にプレイした数少ないスポーツのひとつなんだ。ボールの代わりに、火を付けたトイレットペーパーを使って、それを夜にテニスラケットで打つんだ。面白いよ。
撮影時の最大のチャレンジは?
新鮮な目で見るってことかな。どのスポーツも基本的なところは同じなんだよ。コスチュームを身にまとって、運動して、安ビールを飲んで笑うっていうところはね。もちろん、撮影するのは楽しんだけど、どれも似ているから、それぞれに差をつけて、ユニークな写真にするのが難しい。
僕は証拠を撮りたいんじゃない。強烈なイメージを残したいんだ。それがチャレンジかもね。
ソル・ニールマン
写真だけでは伝わらない部分はありますか?
あるとすれば、撮影をしている時の僕は笑っているってことかな!
最後になにかあればどうぞ。
いつも新しいアイディアを探しているから、面白いスポーツや情報があれば、メールや Twitterで教えてほしい。僕はオープンだし、そうやって沢山のスポーツに出会ってきたんだ。
彼のホームページは こちら>>