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スケートボード

【スケートボード】バートとは?

高いスキルと多くの練習が必要になるスケートボードカテゴリーを解説する。
Written by Red Bull Editorial Team
読み終わるまで:7分Published on
スケートボードの “バート / バーチカル” について知っておくべきことがいくつかある。チャレンジングだがそれだけ多くを得られるカテゴリーとして知られる “バート” について詳しく解説していこう。

【バート】とは何か?

簡潔にまとめれば、【バート】とは “バーチカル(垂直)” に近いランプで楽しむスケートボードのことで、バート(Vert)はバーチカル(Vertical)の略だ。このように書くと簡単そうなイメージを持つかもしれないが、実際はかなり難しいカテゴリーで、上手くライディングできるようになるには、かなりの練習とスキルが必要だ。
また、知っている人は多いかもしれないが、【バート】はスイミングプール発祥のカテゴリーで、パイオニアたちはカリフォルニア州の裏庭に置かれているスイミングプールで練習を重ねていた。
当時 “プールライディング” と呼ばれていた【バート】は、1970年代に人気を博した。サーファーたちが海にいなくてもサーフィンの感覚が得られるという理由からプールでスケートボードを楽しむようになったのがきっかけだった。彼らは誰も使っていない近所のスイミングプールを見つけると、そこで練習を重ねていた。そして、スケートパークが作られるようになり、その人気が高まっていくと、このようなライディングの人気がさらに高まっていった。
【バート】ライダーたちは、ランプやプールの底からスタートして徐々にスピードを得ていく。そして、ほぼ垂直になっているランプやプールの端まで到達するとそこでトリックやエアをメイクする。しかし、残念なことに公共のランプが減少傾向にあるため、【バート】ライダーたちは自分たちのスキルを磨く場所を見つけるのに苦労している。また、このような現状を知っているコミュニティは、【バート】を含む一部のカテゴリーのアンダーグラウンド化を危惧している。
しかし、【バート】を楽しんでいるライダーは多く、X Gamesなどの世界的コンテストに含まれている。また、Red Bull TVを含むいくつものスケートボードメディアが【バート】の素晴らしさを伝えている。

13分

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インドア vs. アウトドア

「場所なんて関係ない。スケートボードはどこで楽しんでもスケートボードだ」と思っている人がいるかもしれないが、【バート】はインドアアウトドアで大きく異なり、当然ながら、それぞれに長所・短所がある。では、どちらが優れているのだろうか? 答えは「個人の好み」だ。というわけで、参考までにそれぞれの長所・短所を挙げていこう。
インドア【バート】の長所
  • ランプやレールのクオリティが高い
  • 夜でも安全に楽しめる
  • メンテナンスが行き届いている
インドア【バート】の短所
  • 無料ではない
  • 混んでいる可能性がある
  • 数が少ない
アウトドア【バート】の長所
  • 通常は無料で使える
  • 待ち時間がない
  • 仲間と集まりやすい
アウトドア【バート】の短所
  • 汚れていてデブリもある
  • メンテナンスが行き届いていない可能性がある
  • 夜はライディングが難しい
アウトドアで日光や風を感じながらライディングを楽しみたいライダーがいる一方、クオリティが安定しているインドアを好むライダーもいるが、ライディングの好みを問わず、【バート】は他にはないスリルとチャレンジを提供してくれる。

ストリート vs. バート

【バート】は【ストリート】とどのように違うのだろうか? 簡単にまとめれば、【ストリート】の方が【バート】よりも簡単・気楽に楽しめるカテゴリーだ。
その理由は、先述した通り、【バート】には特殊なランプが必要で、ランプの数が少ないからだ。また、一般的な【バート】用ランプは最低でも3.7m(12フィート)の高さがあるハーフパイプロングクォーターパイプで構成されているので、設置スペースも必要になる。一方、【ストリート】はスケートボードを持って街へ繰り出すだけでOKだ。とはいえ、どちらも練習を重ねてスキルを高める必要がある。
【ストリート】は都市部の様々な地形を活用してトリックメイクとライディングを楽しむカテゴリーで、“様々な地形” には次が含まれる。
  • 公園のベンチ
  • 階段のハンドレール(手すり)
  • 階段・段差
  • 縁石
  • ランプ
  • 噴水
  • 歩道
【バート】と【ストリート】には、トリックをメイクする場所の他にもいくつかの違いがある。そのひとつが、それぞれで理想とされるスケートボードの種類だ。【バート】では大きなウィールと幅の広いデッキが好まれる一方、【ストリート】では小さなウィールと幅の狭いデッキが好まれる。
通常、【ストリート】では、フラットなノーズキックテールを備えているオールドスクールなシェイプのスケートボードか、アシンメトリーなシェイプのスケートボードが好まれている。

【バート】の始め方

公共ランプが減少傾向にあるため、【バート】は死につつあるカテゴリーに見えるかもしれない。しかし、スケートボードコミュニティの一部は、【バート】はあらゆるスケートボードのルーツと言えるカテゴリーなので未来永遠消えることはないと考えている。いずれにせよ、【バート】初心者で、このカテゴリーに取り組んでみたいと思っているなら、定期的に練習できる【バート】用ランプを近所に見つけることが第一歩になる。
尚、【バート】で数々の栄光を手にしてきたトニー・ホークボブ・バーンキストはそれぞれプライベートランプを所有しており、プロライダーと新世代ライダーに練習場所を提供している。
さて、ランプとスケートボードを手に入れたあとはプロテクターを手に入れよう。プロテクターには以下が含まれる。
  • ヘルメット
  • ニーパッド
  • エルボーパッド
  • リストガード
自分に合った正しいプロテクターを手に入れれば、安全にライディングを楽しめるだろう。
プロテクターを手に入れたら、次は “上手くミスする方法” を学ぶべきだ。なぜなら、現実を言えば、誰もが必ずミスをするからだ。膝をついてランプを滑り下りられるようになろう。これができるようになれば、【バート】をもっと楽しめるようになる。
これに慣れたら、次はランプを往復できるようになるまで加速するスキルを身に付けよう。ランプ最上部からのドロップインを学ぶのはこのスキルを身に付けたあとだ。
ランプ最上部からスケートボードを突き出し、ゆっくりと体重を移動させながらランプを滑り下りて、逆サイドへ向かうことをドロップインと呼ぶ。また、ランプ最上部でスケートボードを止める方法も同時に学びたい。これらのスキルを手に入れれば自信が一気に深まるので、気が付けばプロライダーのようなエアをメイクできるようになっているはずだ。

その他のカテゴリー

スケートボードに興味を持っているなら、このスポーツには複数のカテゴリーがあることを知っておくべきだろう。自分のスタイルと能力にピタリと当てはまるカテゴリーを選びたい。【バート】と【ストリート】の他には以下のカテゴリーが存在する。
  • フリースタイル
  • ダウンヒル
  • クルージング
  • パーク
  • オフロード
今から【バート】を始めようと考えている人は、過去の【バート】ライダーたちが心配する必要がなかった問題に直面することになるが、観客の遙か上空での美しいトリックメイクへの愛は、エクストリームスポーツファンの間でこれからもずっと大切にされるはずだ。
(了)
◆Information
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