チカチカと瞬く17インチのCRTディスプレイ、大量のエナジードリンク、そしてピザの箱の間で絡み合うケーブル類に支配された地下室…。1990年代に海外で青春時代を過ごしたゲーマーなら誰もがこのような “LANパーティ” を覚えているはずだが、ゲーミングの神様のおかげで、このようなワイルドなネットワーク対戦 会は形を変えて現代にも引き継がれている。
最近は “LANパーティ” の代わりに、本格的な “ブートキャンプ” が台頭してきている。ハイエンドなテクノロジーと次世代機、睡眠用のスペースや設備が必要となるブートキャンプは、競技生活を送っているeスポーツアスリートたちが次のトーナメントの準備をするためのものとしてこれまで認識されてきた。
しかし、実際は、ストリーマーやカジュアルプレイヤーが気心の知れた仲間たちと数日間過ごし、自分たちの好きなゲームのスキルアップに励むのにも適している。そこで今回は、“ブートキャンプ” を知らない人についてヨーロッパを例に挙げながら簡単に解説していこう。
01
ブートキャンプに適しているタイトル
たとえば、RBライプツィヒのeスポーツ部門RBLZ Gamingに所属する『FIFA』シリーズプロプレイヤーのUmut “RBLZ Umut” Gültekinや彼のチームメイト、Richard “RBLZ Gaucho10” Hormesのインスタグラムをフォローしている人なら、RBLZ GamingがVBL Club Championship(ドイツ・ブンデスリーガのゲーミングセクションが主催する『FIFA』クラブ選手権)などの大規模なオフライントーナメントのためにブートキャンプを定期的に開催していることを知っているだろう。
基本的に、ゲーミングのブートキャンプは、『リーグ・オブ・レジェンド』や『CS:GO』などを含む人気eスポーツタイトルやストラテジータイトルに向いているが、ヨーロッパでは本格的なドライビングが楽しめるレーシングシミュレーターを導入している施設もよく見られる。
02
ブートキャンプの1日
もちろん、深夜までプレイするのもOKだが、そこまで強く推奨しない。ベターな体験がしたいなら、コーチに帯同してもらおう。RBLZの『FIFA』プレイヤーたちを長年コーチングしてきたDaniel “Fehrminator” Fehrは次のようにコメントしている。
「ブートキャンプでは毎日決められたスケジュールを決められた時間でこなしていくべきです。コーチがついているなら、コーチが “とりあえずここまでにして、ランチのあと再開しよう” などとトレーニングの時間を区切るべきですね。また、ゲームそのもののトレーニングに加え、フィットネストレーニングの枠も用意すべきでしょう」
03
ブートキャンプの期間
ブートキャンプに対応しているゲーミング施設の多くは複数のセットアップと部屋を用意している(風呂やシャワー付きの施設もある)。言い換えれば、24時間体制でトレーニングができる環境というわけだ。また、5日間続けたり、週末だけ、またはもっと短期間にしたりと期間も調整できる。
期間は、トーナメントレベルのプレイに慣れるために、多くのコーチたちが3日〜5日を勧めている。プレイヤーたちがより早くシナジー効果を生み出せるようになればなるほど、トーナメントで活躍できるチャンスが増える。
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ブートキャンプに必要な人数
ブートキャンプに必要な人数はプレイするタイトルによって変わってくる。たとえば、『FIFA 22』なら1v1または2v2で最大4人までプレイできる。一方、『VALORANT / ヴァロラント』のようなシューターなら最少でも5人が必要になる。
Fehrminatorは次のように説明している。「チームの人数が足りないなら、他のプレイヤーに参加を頼んでみましょう。人数を埋めることがトーナメントでは必要になってきます。重要なことはチーム全員の “ケミストリー” を高く維持することです」
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施設と値段
海外ではゲーミングカフェやeスポーツ施設よりさらに踏み込んだブートキャンプ対応施設が増えてきており、たとえば、ドイツでは、ベルリン、ケルン、ミュンヘンなどの主要都市に数多く存在している。
これらの施設の値段は1日1人あたり50〜90ユーロ(約7,000〜13,000円)で、トップカテゴリーにはキッチンやストリーミング用ブース、壁掛け大型ディスプレイなどが用意されている。ちなみにケルンに位置するXperion Cologneはヨーロッパ最大と言われており、トーナメントも定期的に開催されている。
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