スキーはパーフェクトに近いスポーツだ。
スロープをスピーディに滑り下りたい人も、派手なジャンプをメイクしたい人も、安全確保に必要なギアを揃えてフレッシュパウダーが待つバックカントリーに出掛けたい人も、ツリーランに挑戦したい人も、アフタースキー用のバーでゴーグル焼けを悪化させたい人も楽しめるスキーは、あらゆる人を受け容れてくれる。
しかし、この世にパーフェクトは存在しない。
宝くじを当てた人が厄介な書類を処理しなければならないのと同じで、スキーライフの中にも面倒なこと・嫌いなことが存在するのだ。今回はその代表例をいくつか紹介しよう。
01
スキーブーツでの歩行
人間に膝がなかったらどんな世界になるだろうと不思議に思ったことはないだろうか? スキーリゾートに行けばその答えが分かるかもしれない。
なぜなら、スキーリゾートでは多くのスキーヤーがスキーブーツで階段を下りるのに苦労しているからだ。
スキーブーツで歩くのは、スキー初心者やスキーシーズンを始めたばかりの人にとって、最も不自然に思える行動だ。自分の両脚が長板で固定されているような感覚を得る。
《解決策》
マイブーツを手に入れれば、レンタルブーツよりも快適に歩くことができるだろう。その気になれば、1年を通じて履くことさえできるかもしれない。
スキーリゾートでは、ランチやコーヒーブレイクの時にストラップを必ず緩めて、脚を休ませるようにしよう。
02
平坦なセクションが多いスキーリゾート
スキーは足の快適性に関してはスノーボードより劣っているが、スノーボードに優っている部分もある。そのひとつが、スキーリゾートの平坦なセクションでの利便性だ。
このようなセクションでは、スノーボーダーはボードから下りて、ボードを抱えて歩かなければならないが、スキーヤーはスケーティングで抜けることができる。
しかし、そのセクションが長く、ストックで加速するのに夢中になってしまうと、上腕三頭筋を無駄に疲労させてしまい、エナジーも使い切ってしまう可能性がある。
その時に、平坦なセクションが長いのを知っていて、適切なパワーでスケーティングしていたスキーヤーに涼やかな顔で追い抜かれれば、気分は最悪だ。
《解決策》
常に遠くを見て、フラットなセクションがあるかどうかを事前に確認しよう。
03
お金がかかるという事実
正直に言おう。スキーは安くない。交通費とリフト券料金、必要なギア代を考えれば、ジェームズ・ボンドが経費で落ちる時しかスキーをしないのも納得できる。また、スキーリゾートでは、食費だけでもかなりの金額になる可能性が高い。
しかし、スキーが楽しめるなら、いくらかかっても構わないというのがスキーファンの感覚だ。
やや極端な表現だが、丸1日バスに乗らなければ辿り着けないと言われても、そのために数ヶ月間食費を切り詰めなければならないと言われても、スキーファンは気にしない。
《解決策》
リフト券が安いスキーリゾートを狙えばコストを抑えることができる。ヨーロッパなら、フレンチアルプスやイタリアアルプスの代わりに、アンドラやスロバキア、ブルガリアに向かえば良い。
また、冬よりも春スキーの方が安目だ。ランチを自分で作るのもグッドアイディアだ。
04
視界不良の日
自分がどこに向かっているのか分からないコンディションでのスキーは危険だ。また、スキーは他のスポーツではまず味わえない美しい景色が味わえるスポーツだ。
上記を踏まえると、たとえ綿布団の中にいるような気分が味わえるとしても、20m先もろくに見えない中でもスキーを楽しむ人がいるというのはどうにも不思議だ。悪天候が続けば、スキーリゾートの1日はあっという間に終わってしまう。
《解決策》
1日くらい休んでも問題ない。天気予報を常にチェックして、コンディションに注意しておこう。天候が良さそうならスキーを楽しみ、崩れそうなら無理をせず、翌日のために脚を休めておこう。
グッドコンディションの時は思い切りハードにスキーすること。コンディションが崩れた日に休む言い訳になる!
05
起き上がるのが大変
雪の上に倒れている自分。両脚はタコのようにもつれている。怪我はしていないが、何とかして姿勢を変えないと元の姿に戻るのは無理そうだ…。
《解決策》
人間らしい姿勢が取れるまで脚を無様に動かしたあと、ストックを使って上半身を支えながら立ち上がろう。
06
斜面を登るのが面倒
「元に戻る」に関するもうひとつの厄介ごとは、未踏のパウダーのためにスポットを探している時に起きる。
色々と探し回っていると、自分が仲間やガイドから少し下がった位置にいることに気付く時がある。尾根の上にいる彼らは、自分がいる斜面とは逆の斜面を見下ろしている。彼らと一緒に滑りたいなら、彼らのところまで戻らなければならないようだ。
しかし、そのためにはたった10mのスロープを10分かけてサイドステップで登らなければならない。「全ては自分のせい」という揺るぎない事実が気分をさらに悪くする…。
《解決策》
ボーッとしていないで集中を維持しておこう。このようなシチュエーションはスキートリップにつき “最多で1回” だ。なぜなら、一度体験すれば、二度としないように気を付けるからだ。
07
自分より上手い人を必ず見かける
チェアリフトの下に見える子供を見てみよう。何の問題もなく360°をパーフェクトにメイクしている。あっちの子供はどうだろう? 完ぺきなターンで素晴らしいスピードをキープしている。
2人ともごく自然にスキーを楽しんでいる。
しかし、2人より下手な自分を責めることはない。
2人とも地元出身なのだろう。スキーリゾートで生まれ育ったに違いない。1歳の誕生日を迎える前からスキーを履いていたはずで、毎週、毎日スキーをしているのだ。
でも、自分はどうだろう? 多くて年に2週間というところではないだろうか?
スキーリゾートではジェラシーが付きものだ。
スキーリゾート付近で育ったティーンエイジャー全員が自分よりスキーが上手いわけではない。しかし、スキーリゾートを訪れるたびに、自分にとっては宝くじを当てるよりも難しいトリックやジャンプを難なくメイクしている素晴らしいスキーヤーたちを数多く見かけることになる。
《解決策》
ジェラシーは醜い。むしろ彼らに感謝しよう。自分には不可能なレベルに到達している優秀なスキーヤーを見かけたら、YouTubeでプロスキーヤーのエディットを見ているのだと言い聞かせよう。
ゆっくりと彼らの滑りを眺めながら、隣の友人に「来年の自分だよ」とジョークを飛ばそう。
08
オールシーズンで楽しめない
5分
Zeppelin Skiing
The three Tyrolean freeriders, Stefan Ager, Andreas Gumpenberger, and Red Bull athlete Fabian Lentsch, have fulfilled a dream - they have chartered a zeppelin and explored new areas.
スキーで最悪なのは「ずっと続けられないこと」だ。天候に振り回されてしまうのは本当に残念だ。冬限定のスポーツなので、毎日スロープに向かって雪を楽しむことはできない。
しかし、それゆえにスキーリゾートへ向かい、スキーを履いて、リフトに飛び乗った瞬間が最高に思えるのだ。
《解決策》
スキートリップを早めに企画して、冬を満喫するようにしよう。スキーができない時期は、映像や記事をチェックして、ワックス塗り立てのスキーで颯爽と滑り下りる自分をイメージしながら、次のシーズンに向けて期待を高めておこう。
もしくは、スキーリゾートで仕事を見つけて、シーズンの初日から最終日まで安価で楽しもう。