スケートボード
スケートフォトグラファー・春田健二氏に聞く『YOU GOOD?』の裏側
Red Bull Skateboardのスーパーエディット『YOU GOOD?』に同行した春田健二氏が撮影の裏側をレポート!
『You Good?』
21分
『You Good?』: Presented by Red Bull Skateboarding
ザイオン・ライト、ジェイミー・フォイ、アレックス・ミドラーが世界を巡る。
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ー まずは、春田健二さんのプロフィールを教えて下さい。
春田 山口県出身で中学の頃に家族で沖縄へ移住しました。その後、デザイン関係の専門学校に行く為、18歳で上京して22歳まで東京に。卒業後は沖縄に戻りWebデザインの仕事をしていました。そこで写真の重要性に気づき、勤めていた社長にムリを言って一眼レフのカメラを買ってもらったんです。週末は“練習”という名目でカメラを持って出かけ、好きだったスケートを撮り始めたのがキャリアのスタートです。
28歳の時に撮った写真がスケート雑誌の表紙を飾って、そこからいい感じの波に乗れて今現在に繋がっています。主な活動は、様々なスケートブランドのツアーに参加して、スチールで起こったことを記録して記事や広告にすることです。海外で撮影することが多く、よく行く国ではガイドの仕事もしています。スケーターやスケートのプロジェクトに合わせた撮影場所の提案はもちろん、バンの手配やご飯屋さんのチョイスまで毎日のルーティンをアレンジメントしてプロジェクトがより円滑に進むように計画しています。
ー 海外にはどれくらいのペースで行ってるんですか？
春田 世の中がこうなる前は、アメリカやヨーロッパには年に1回の頻度。アジアは多い時だと2ヶ月に一度のペースで行ってました。これまでに中国、バンコク、バルセロナ、アメリカ、韓国など、様々な国に行きましたね。
ー どういった経緯で『YOU GOOD?』の撮影に参加されたんですか？
春田 友達でフィルマーのアンソニー・クララヴァルからの紹介です。『YOU GOOD?』のムービーを手掛けたアイラが僕のような人間を探してたみたいで、アンソニーがプッシュしてくれたそうです。ちなみにアンソニーとアイラの2人は、以前、411VM（90年代に誕生したスケートボードのビデオマガジン）の同僚で長い付き合いがあったようです。
写真中央に映るのが『YOU GOOD?』のムービーを手掛けたアイラ
© Kenji Haruta / Red Bull Content Pool
ー 『YOU GOOD?』の撮影はいつ頃、行われたんですか？
春田 去年です。僕は台湾で決行されたジェイミー・フォイとザイオン・ライト、ライアン・シェクラーの撮影に同行したので、期間は4月11日から22日までの間ですね。
ー なるほど。それでは 『YOU GOOD?』のリコメンドをお願いします。
春田 ライアン・シェクラー、CJ・コリンズ、トリー・パッドウィル、クリス・ラッセル、アレックス・ソルジェンテ、ブライトン・ゾイナー、グスタボ・リベイロ、フェリペ・グスタボ、ライアン・ディセンゾ、ジョーイ・ブレジンスキーといった文句なしのライダー陣が出演すること。さらに、ジェイミー・フォイ、ザイオン・ライト、アレックス・ミドラーのフルパートが盛り込まれていることですね。
定評のあるジェイミー・フォイとザイオン・ライトを抑えてトリを飾ったアレックス・ミドラーの燻銀なスケーティングは最高です!!
アレックス・ミドラー：50-50・ギャップ・50-50
© Jorge Matreno
後、ジェイミー・フォイのレールさばきにはグッとくるものがありました。もう、神の領域って感じ。これが見れるだけでも贅沢な内容だと思います。ストリートの映像として、今後も長く愛されるエバーグリーンな作品です。
ジェイミー・フォイ：フロントサイド・ノーズグラインド
© Kenji Haruta
ちなみにYouTubeに上がってるこちらの動画をぜひともチェックして欲しい。アイラとアレックスが作品の舞台裏についてトークを繰り広げる内容で、これを見た後に本編を見るとさらに楽しめるはずです。
ー 撮影の舞台となった台湾の魅力ってなんですか？
春田 良いスポットが密集している。街がコンパクトで移動がしやすい。後は街に目新しいオブジェなどが沢山あるから、見ている人が退屈しないようなビジュアルの映像が作れるといったところでしょうか。
ー フルパートのあるジェイミー・フォイ、ザイオン・ライト、アレックス・ミドラーについて教えて下さい。
春田 ジェイミーは、とにかく体幹がいい人って印象を受けました。後、撮影中に聞いた話だと、普通はトライし過ぎて疲れるのが一般的なんですけど、ジェイミーの場合は、トライする前に疲れちゃうらしいんです。というのも、どうやって攻略するかなど、全体のイメージを何度も頭の中でシュミレーションするのだとか。だから頭を使いすぎて疲れちゃうんでしょうね（笑）。でもその分、いつもほぼ一発メイクでした。
スポットを直すジェイミー・フォイ
© Jorge Matreno
ザイオンは、レールからトランジッションまでこなすオールラウンダーです。決断力が高くて恐れ知らず、一度決めたら迷わずにトライするスケーターでした。会う前は大人しい性格だって思い込んでたんですが、実際はかなりヤンチャな性格でしたね（笑）。写真で見る以上にガタイが良くて、特に上半身が逆三角形で凄かった。その見た目からも彼の滑りが納得できましたね。
ザイオン・ライト
© Kenji Haruta
アレックスは、ソルジャー並みの気合の入り方と攻めが特徴かな。今回の撮影では合わなかったんですけど、大会とかではよく会うんです。その時の印象だと凄いヤンチャな子って感じ。とにかくスケートがめちゃくちゃ上手いんですけど、それがうまく伝わる映像作品が今まであまりなかった。ようやく、今回のカーテーンコールで証明されましたね。
ビッグレールもコンテストも朝飯前！若き天才、アレックス・ミドラー
© Jorge Matreno / Red Bull Content Pool
ー 春田さん視点で『YOU GOOD?』の“見どころ”と“その理由”を3つ挙げるとすれば？
春田 まずはライアンの⏰6:09～です。数年前からこのスポットを知っていて「この人なら!」と思う人達に提案していたんです。ただ、誰も反応してくれなくて……。それが今回の撮影でライアンがこのスポットに食いついてくれて。僕は「遂にこの時がきた!」と大興奮しました。
次は⏰11:41～のジェイミーです。彼はレールも上手いけど回しも同じように上手い。それが証明されてるのがこのフェイキーインのフロントサイドフリップなんです。
専門的な話なんですけど、このスポットってスケーターから見ると無茶苦茶難しい場所。ノーリーだと難易度がグッと下がるんですけど、フェイキーのフロントサイドフリップで行くってのが凄いんですよ。スケーターなら誰が見ても、「うゎ、ここをフェイキーで行くんだっ。この人回しが上手いね」ってなるシーンです。
最後はアレックスの⏰21:03～のカーテンコール。メイクシーンではなくてあえてここを選びました。もぅ、この転けシーンが最高なんです。この後、再チャレンジする前に集中するシーンがあるんですよ。その真剣な表情もとにかくかっこいい。観ているだけでアドレナリンが出てきますね。これぞskateboardingの真髄だと思います。
ー 春田さんが撮影したベストフォトを何枚か紹介してください。
ライアン・シェクラー：テールドロップ
© Kenji Haruta
ザイオン・ライト：ノーリーヒール
© Kenji Haruta
ジェイミー・フォイ：フロントサイド・ノーズグラインド
© Kenji Haruta
ライアン・シェクラー ：ハーフキャブ・フリップ
© Kenji Haruta / Red Bull Content Pool
ー 春田さんだけが知ってる撮影時のマル秘エピソードってありますか？
春田 普段の撮影ならスポットに着いてからゆっくりと撮影が始まるんです。でも彼らは、着いた瞬間からカメラが回っていようがなかろうがお構いなしにハードなトリックに挑戦して瞬殺でメイク。その様子をスチールとビデオグラファーが必死に追ってキャプチャーする、かなりニュースクールな撮影スタイルでした。時間とスポットさえあれば永遠にコンテンツが量産されるんじゃないかってくらい。製作陣からしてみるとかなり大変なメンツ（笑）。
ー 最も印象的な出来事は？
春田 ドロップインのシーンです。実はここでスラッシャーの表紙を狙っていたんです。でも結果は、表紙じゃなくて中ページでした。その時にライアンと“この夢を諦めずにまた台湾のどこかしらのスポットで叶えよう”って約束をしました。今年、世の中がこんな風になっていなかったら、また台湾で一緒に撮影をする予定だったんです。この混沌が終わったらすぐに台湾で再トライを狙ってます!!
ライアン・シェクラー：テールドロップ
© Kenji Haruta
他にも沢山あるんですが、ここで話せないことばかりです（笑）。
ー Red Bull TVには他にも様々な映像作品がアップされているんですけど、春田さん的にオススメの作品はありますか？
一つ目は🎬『Making Reakwon’s the appetition』です。
13分
Making Raekwon's The Appetition
Go behind the scenes with Raekwon at Red Bull Music Studios as he creates something fresh for his new EP.
スケートは音楽やアートの要素も含んでいて音楽を掘り下げてチェックすることにで、より質の高いカルチャー系スケーターになれると信じています。
もう一本は🎬『Skate Tales』ですね。
18分
『Skate Tales』
友達のマーダスがホストを務めている番組。中でもOsaka Daggersをフィーチャーした第5話のエピソードは日本人なら要チェックです!!
※『Skate Tales』全エピソードはRed Bull TVアプリにて絶賛配信中！
💡アプリのダウンロードはこちらから
ー これまでに世界各国の様々なスケートシーンを撮影してきた春田さんですが、いま特に面白い国、スポット、人 etc 何かスケートトピックスをこっそり教えて!
春田 こっそり教えますが、タイのバンコクがアツいです。スポットが沢山あるし、その後の観光にも最適です。
バンコク湖畔川の辺りでピクニックを楽しむ人々。
© kenji haruta
大好物のパッタイ、ここはニラが一本出てきて衝撃だったので記録。
© kenji haruta
バンコクのチャイナタウン周辺にあったスケートスポット。
© kenji haruta
スケートの後に新鮮なココナッツウォーターのカリウムで身体を優しくケアして、日本人の舌にも合う美味しいご飯を食べて、安くて腕のいいマッサージ屋も多いのでそこでリフレッシュして次の日のスケートに備える。そんなルーティーンがオススメです。あっ、現地のシーンでは、プレデュースというスケートブランドが盛り上がってますよ。
ー 最後に何か一言!!
春田 アメリカにウッドワードっていう大きなスケートパークがあるんです。そこで今回の写真をめちゃくちゃ大きくプリントしたものが飾られるらしいです。おそらく、もうそろそろのはず。楽しみです!
※『YOU GOOD?』全エピソードはRed Bull TVアプリにて絶賛配信中！
💡アプリのダウンロードはこちらから
（了）
◆Information
レッドブル・アスリートの“ひととなり”に迫る記事＞＞ Red Bull Skateboard 選手名鑑（大会観戦のお供にぜひ!!）
Red Bull TV・スケートチャンネルの魅力を徹底解明する＞＞ Red Bull TV 🖥 ：スケートチャンネルが配信する動画の充実度が凄い！