ZeRoインタビュー
© Vincent Samaco via Flickr
ゲーム

ZeRoが語る自身の過去と『スマブラ4』の未来

APEX 2015の『大乱闘スマッシュブラザーズ for Wii U』チャンピオンがEVO 2015へ向けての思いを語った。
Written by Chris Higgins
読み終わるまで:8分公開日:
eSportsの格闘ゲーム最大の大会が目前に迫った今、注目すべきプレイヤーたちが世界各地に存在している。今年のEVOでは来春に『ストリートファイターV』のリリースが予定されているため、恐らく『ストリートファイターIV』の最後の王者を決める戦いが展開されることになる。しかし、今年のEVOは旧タイトルに別れを告げつつも、任天堂の『大乱闘スマッシュブラザーズ for Wii U』が初参加するため、新タイトルの導入も同時に行われる。
Gonzalo “ZeRo” Barriosは2月にニュージャージーで開催されたAPEX 2015で『スマブラ4』のワールドチャンピオンとなった。これは『スマブラ』シリーズにとって、そして本人にとって大きな一歩となったが、今回は彼にこれまでの経緯と、任天堂とコミュニティの関係性、そして『スマブラ』シリーズの未来などについて訊ねた。
EVO 2015の参加タイトル
EVO 2015の参加タイトル
『スマブラ』シリーズをプレイしたきっかけは?
みんなと同じで子供の頃からプレイしていたよ。沢山の人気キャラクターをひとつのゲームに登場させるというアイディアが凄くクールに思えたんだ。2006年頃にニンテンドー64でプレイしたのが最初だね。地元のゲームショップがトーナメントを開催していたから、トーナメントに参加するようになった。最初は実力を試してみようと思っただけなんだけど、それ以来のめり込むようになったんだ。
初参戦の成績はどうでしたか?
数週間練習してから挑んだ最初のトーナメントは64人中17位だった。シングルエリミネーションのトーナメントで、最終的に準優勝したプレイヤーに負けたから、結果にはハッピーだったよ。1ヶ月後の2度目のトーナメントは準優勝だった。そのあと、2度目と同じ月に開催された3度目のトーナメントで優勝した。初めてのアウェイでのトーナメントだった。僕はその時11歳で、バスに乗って会場へ向かったんだ。
親の付き添いもなくひとりでですか?
親は付き添わなかった。母親にひとりで行きたいって言ったんだ。親がついてきたら笑われるからね。今思うとそんなことどうでも良かったんだけど。母親から地図を渡されて、何か困ったことがあればすぐに警察に電話しなさいって言われたよ。
あなたは今や世界を飛び回っていますが、母親から毎回昔と同じアドバイスをもらっていますか?
それはないね。母親は僕をサポートしてくれたけれど、裕福な訳ではなかったから大変だった。僕のために残業してくれた時もよくあった。母親がいてくれて本当に感謝しているんだ。「トーナメントに出場するために米国に行くって言ったらどうする?」って冗談っぽく言うと、彼女は決まって、「難しいだろうけど、不可能じゃないわね」と応援してくれた。最初から今までずっとサポートしてくれているよ。
チリのシーンはどうですか?eSportsが盛んな国としては知られていませんよね。
チリのシーンは小さいよ。首都サンチアゴに集中している。だからトーナメントに出場する時は移動が大変だった。最初は僕みたいな小さな子供が優勝するのを面白く思わない人たちがいたから大変だったよ。『スマブラX』がリリースされた頃にはあらゆるイベントで優勝するようになっていて、それで初めて米国のトーナメントに出場することになったけど、地元では僕のことを信じてサポートしてくれる人はほとんどいなかった。国際トーナメントで優勝するようになって初めてリスペクトされるようになったね。それまではちょっとね…。
チリのシーンは大変だったから、それが逆に僕を鍛えてくれた。チリのシーンは経済的にも厳しいし、プロプレイヤーとして生活することはできない。国全体の経済事情で低収入の人も多いから、トーナメントも成長できない。多くの人たちが努力しているけれど、停滞しているというのが実情だよ。
『スマブラ』シーンは最近急成長を遂げていますが、それについてはどう感じていますか?
ちょっと信じられないよね。僕はお金が欲しくて始めた訳じゃないし、お金のためにプレイしている訳でもない。ただ勝ちたいだけだった。時間と共にお金を稼ぐという選択肢が自然に生まれてきた。自分が大好きなことをしてお金をもらえるチャンスを得られたことには本当に感謝している。でもそれで生活していくのはまだ難しいよ。
『スマブラ』は難しいゲームだし、どの大会にもトッププレイヤーが出場しているから、安定した結果を出し続けるのは本当に難しい。賞金1000ドルのイベントと賞金10000ドルのイベントに同じプレイヤーが出場するから、毎回トッププレイヤーと戦わなければならない。今はファンベースを築いたプレイヤーたちがTwitchやYouTubeを使って生計を立て始めているけれど、トーナメントだけで生計を立てるのは難しいよ。
あなたはどうやって生計を立てているのでしょうか?
とにかくイベントで勝ちまくったし、あとはファンの「いいね!」の数が僕というブランドを作ってくれた。その後でYouTubeと「いいね!」を利用した他のコンテンツをプロデュースしていったんだ。『スマブラ4』のランキングで首位になったことも助けになったね。今は僕のYouTubeのチャンネルに6万人以上登録してくれているから、今年はその部分にもっと力を入れていこうと思っているよ。
プレイヤーとしても限界を押し広げたい。もっと良いプレイができると思うんだ。最近はYouTubeに真剣に取り組んでいるから、そこまで練習できていないんだ。時間の管理が上手くできるようにならないといけない。それでも素晴らしい結果を出せているけどね。
スポンサーやチームと契約することでそのようなストレスは解消されると思いますか?
そうだね。時間が節約できると思う。僕はできる限り自分の時間をプレイにつぎ込みたい。そうすればもっと成長できるからね。
スポンサーの数はどうやれば増やせると思いますか?
『スマブラ4』は時の試練に耐える必要がある。まだリリースされたばかりだから、スポンサーは確信を持てていないんだ。『スマブラDX』は時の試練に耐えたから、今はスポンサーの数が増えてきているよね。『4』に関してはスポンサーも僕たちも時間が必要だ。
最近は任天堂自体が積極的に関わるようになってきています。APEXではスポンサーにつきましたし、トーナメントに興味を示しているようです。どのような形で携わって欲しいと思いますか?
任天堂には僕たちがやっていることを優しく見守って欲しい。『スマブラDX』と『スマブラ4』の国内と国外のトーナメントをサポートしてもらえればと思っているよ。『スマブラ」シリーズのLCSのようなものを構築してもらえれば嬉しいね。プレイヤー側も任天堂と徐々に良い関係を築けてきているけれど、まだ時間はかかると思う。あとはトーナメントを意識したバランス調整パッチが欲しいね。パッチノートを公開してもらいたい。どういう理由で彼らが変更したのかを理解したいんだ。何も報告がないのは悲しいね。
最近配布されたパッチはEVOの展開に影響すると思いますか?
今おゲームバランスは落ち着いた状態にあると思う。少し順位に変動があって、シークとロゼッタをルイージとネス、ピカチューが追う形だよね。ひとつ大きな問題になっているのが、DLCのリュカに合わせてパッチが配布されるのかどうかという点だよ。EVOが開催される数週間前にもうひとつDLCが追加される予定になっているのに、そのあとでバランス修正パッチが配布されるのかが分からないし、それが大きな影響を与えるのかどうかも今は分からない。逆に君たちに訊きたい位だよ。どうやって調べたら良いのかも分からないからね。パッチはゲームプレイに大きな違いを生むから、分からないのは本当に困るんだ。
残念ながら私たちも分かりません。任天堂がValveやRiotと同様、情報を公開しないとプレイヤーは困るのでしょうか?
トーナメントシーンは大弱りだよ。僕のキャラクター、そしてトーナメントにどの程度の影響があるのかまったく分からないからね。望んでいない方向に修正されたらどうしようって思うよ。運の話になってくるし、そんなのはフェアじゃない。EVOまであと少ししか時間がないし、そうなった場合は修正する時間もない。
格闘ゲームシーンはEVOのようなイベントに『スマブラ』シリーズが参加することをどう受け止めていると思いますか?
格闘ゲームシーンは長い間『スマブラ』シリーズを認めていなかったけれど、もう問題ないね。僕たちは集客力があるし、そこを得意としているからさ。
任天堂が興味を示し、EVOが成功を収めている中、『スマブラ』シーンの未来はどうなると思いますか?
素晴らしい未来になると思うよ。シーンがゆっくりと着実に成長しているから楽しみだ。