Goalkeeper Alberto Brignoli celebrates with his Benevento team-mates.
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サッカー

GKが決めたビューティフルゴール 10選

GKはシュートを止めるのが仕事だが、シュートを決めることもある。GKが相手ゴールに突き刺したベストゴールを集めてみた。
Written by Tom Wiggins
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GKがゴールマウスから離れるのは、大きなトラブルが起きたか全員が相手ゴール前に上がるほど追い詰められた状況にいるかのどちらかだ。
しかし、GKがゴール前に上がっても大抵は上手くいかない。セットプレーが不発に終わり、自陣ゴール前へダッシュで戻るGKの姿を我々は何回も見ている。
しかし、ごくまれに全てが上手く噛み合い、ゴールを止める役を与えられている彼らがゴールを決める選手になる時がある。そして、ごくごくまれに、彼らはグローブを与える選手を間違ったのではないかと思えるほどのビューティフルゴールも決めている。
今回はビューティフルゴールを決めた10人のGKを紹介しよう。

アルベルト・ブリニョーリ(ベネヴェント vs. ACミラン)

2017年12月、苦しい昇格シーズンを送っていたベネヴェントACミランと対戦した。ベネヴェントはそれまで勝ち点をひとつも得られず、最下位に沈んでいた。
この試合も後半のアディショナルタイム5分を過ぎた段階で、ベネヴェントは1-2でACミランにリードを許しており、そのまま試合は終わると思われていた。
しかし、歴史を変えるなら今しかないと言わんばかりに、敵陣ゴール前の最後のセットプレーでベネヴェントのGKアルベルト・ブリニョーリが目を閉じて身体を投げ出した。
そして歴史は変わった…。

ロジェリオ・セニ(サンパウロ vs. コリンチャンス)

多くのサッカーファンは、最も得点力の高いGKは元パラグアイ代表GKホセ・ルイス・チラベルトだと認識している。
チラベルトはアルゼンチンのベレス・サルスフィエルド時代の48ゴールを含むキャリア通算67ゴールを誇っている伝説のGKのひとりだ。
しかし、彼よりも通算ゴール数が多いGKがいる。それがロジェリオ・セニだ。彼は引退までに131ゴールを決めており、その記念すべき100ゴール目がこのコリンチャンス戦で決めたフリーキックだった。
通算1,234試合に出場した彼がフリーキックで決めたゴールはこれだけだが、彼がGKだということを忘れてはいけない。

マルティン・ハンセン(デン・ハーグ vs. PSV)

ヘンリク・ムヒタリアンオリヴィエ・ジルーが美しいスコーピオンキックでゴールを決めた2016年のクリスマスは、全世界のサッカーファンが2人に注目していた。
しかし、どうやらこの2人はその1年前にデン・ハーグに所属するGKマルティン・ハンセンがPSV戦で決めていた超アクロバティックなゴールを参考にしていたようだ。
試合終了直前の95分のタイミングでリーグ王者相手にGKが決めたゴールということを踏まえると、この3ゴールの中ではマルティン・ハンセンのゴールがベストと言って良いだろう。

ピーター・シュマイケル(アストン・ヴィラ vs. エヴァートン)

マンチェスター・ユナイテッドのレジェンド、ピーター・シュマイケルは圧倒的な存在感を放っていたため、ボールに触れる触れないに関わらず、相手ゴール前に姿を現すだけで恐れられていた。
マンU時代の彼は、1995年UEFAカップ、対ロートル・ヴォルゴグラード戦でゴールを決めたことでも知られているが、アストン・ヴィラ時代に決めたこのパオロ・ディ・カーニオ的な、どこか泥臭いファーポストからのシュートは、シュマイケルにはGKにはまず期待しないゴールへの嗅覚が備わっていることを示している。
しかし、残念ながらアストン・ヴィラはこの試合を3-2で落としている。

フアン・カルロス(CDルーゴ vs. スポルティング・デ・ヒホン)

フィールドプレーヤーがロングシュートを決めるのは良くあることだ。しかし、GKがロングシュートを決めるというのは、テクニックというよりは幸運が呼び込むものと言える。
今回紹介するCDルーゴのGKフアン・カルロスのロングシュートも多少の運が絡んでいるが、このゴールは、基本的にはこのスペイン人GKのシュートテクニックが呼び込んだものだ。
力強く放たれたボールは勢い良く相手GKの頭上を越えたあと、ドライブ気味にゴールへ吸い込まれている。ラッキーなディフレクションや風がアシストしている様子は確認できない。

マッシモ・タイービ(レッジーナ vs. ウディネーゼ)

マッシモ・タイービと言えば、1999年のマンチェスター・ユナイテッドへの移籍の失敗が良く知られているが、アレックス・ファーガソン監督がタイービをGKではなくFWとして起用していたら、彼のマンU時代はハッピーエンドを迎えていたかもしれない。
イタリアに戻り、レッジーナに所属していたタイービはコーナーキックを見事にニアで合わせ、ウディネーゼのGKの横を抜くビューティフルゴールを決めた。ちなみに、このゴールはタイービのキャリア唯一のゴールとなった。

アル・アハマダ(トゥールーズ vs. スタッド・レンヌ)

95分にゴールを決めるGKは、救世主になるチャンスを最後の最後まで諦めていないように見える。
フランスのトップリーグ、リーグ1で記録されたこのゴールもまた試合終了直前に決まったものだが、トゥールーズのGKアル・アハマダは、クリフダイビング初心者のように不器用に身体を仰向けで後方に投げ出してフリーキックの方向を変えるという素晴らしい即興プレーを見せ、貴重な同点ゴールをプレゼントした。

マルト・ポーム(サンダーランド vs. ダービー)

英国サッカーファンは、空中戦で頭ひとつ抜け出してボールに触る様子を「鮭のようだ」と表現するが、この表現は、2003年にサンダーランドのGKマルト・ポームが決めたドンピシャのヘディングシュートのために用意されたものなのかもしれない。
試合終了直前、1ゴールを追うサンダーランドのために、エストニア代表GKは古巣クラブを相手に、世界中のDFが決めたいと思っているような素晴らしいヘディングゴールを決めた。

オスカリン・マスレケ(バロカ vs. オーランド・パイレーツ)

美しいオーバーヘッドキックと言われて最初に思い出すのは、ズラタン・イブラヒモビッチギャレス・ベイルクリスティアーノ・ロナウドあたりだろう。しかし、南アフリカのバロカに所属するGKオスカリン・マスレケも彼らに負けず劣らずのシュートを決めている。
オーランド・パイレーツに1点のリードを許していたマスレケは、相手GKが中途半端にクリアしたボールをアクロバティックに叩いてゴールに突き刺した。ゴールが決まった時間? お察しの通り95分だ。

ジミー・グラス(カーライル・ユナイテッド vs. プリマス・アーガイル)

一見したところ、ジミー・グラスが決めたこの近距離シュートは大したことがないように思える。ゴール前中央に位置していた彼はただボールに触るだけで良かったはずだ。
しかし、ゴールというのはボールが勝手に吸い込まれて生まれるものではない。また、サッカーグラウンドというのは不確定要素の巣窟だ。しかも、このゴールは1998-99シーズン最終節の試合終了間際だったばかりか、グラスが所属するカーライルを降格から救うことにもなった。
以上を知ってから映像を見れば、このゴールの印象が変わるはずだ。