Max Verstappen in his F1 race suit at the Red Bull F1 Showrun during the Jumbo Racedagen in Zandvoort, Netherlands, in May 2018.
© Jarno Schurgers/Red Bull Content Pool
F1

F1:レーシングスーツの進化

1950年代のポロシャツから現代の耐火性と軽量性を備えたハイテク素材まで、F1のレーシングスーツは時代と共に大きく変化してきた…。
Written by Chris Parkin
読み終わるまで:5分Published on
ドライバーがレースで着用するレーシングスーツヘルメットについてFIAが安全義務を導入した1960年代以降、F1のレーシングスーツは目覚しいペースで進歩を果たしてきた。

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現在、Red Bull Racingマックス・フェルスタッペンダニエル・リカルドが着用しているレーシングスーツには、安全性よりも快適性や通気性を優先した1950年代のドライバーたちのウェアとの共通点は見つけられない。
今回は、この70年間のF1レーシングスーツの変遷を振り返ってみよう。

1950年代:ファン・マヌエル・ファンジオ

アルゼンチン出身の伝説的ドライバー、ファン・マヌエル・ファンジオが1951シーズンから1957シーズンにかけて5回のタイトルを制覇してF1世界選手権黎明期に君臨していた頃、レーシングウェアの安全性耐火性はまだ実現していなかった。
当時のドライバーたちは各自が好むウェアを着てレースに臨んでおり、サー・スターリング・モスが着用した鮮やかなサックスブルーのオーバーオールから、ファンジオが好んだポロシャツ+ワークジャケット+スラックスの組み合わせに至るまで、その出で立ちは多彩だった。
安全性よりも軽量・快適性を優先したファンジオの出で立ちとヘルメットを現代の目で見れば、クレイジーに映るかもしれない。しかし、“エル・マエストロ(El Maestro)” と称えられた名手ファンジオの妨げにはならなかった。
ファンジオは通算51回出走・24勝を記録し、勝率46.15%という驚異的な数字を残して1950年代のF1を席巻した。
Argentina's five-time F1 world champion was famous for driving races in just a polo shirt and slacks when he dominated the sport in the '50s.

Juan Manuel Fangio's race suit

© John Smisson

1960年代後半 / 1970年代前半:ジャッキー・スチュワート

1960年代後半から1970年代前半にかけて3度のワールドチャンピオンを獲得したジャッキー・スチュワートほどクールなルックスのドライバーは、彼以外いなかった。
ホワイトのレーシングスーツとヘルメットは彼のスコットランド人としての誇りを感じさせるものだったが、この “フライング・スコット” が纏っていたレーシングスーツはファンジオの時代に比べて安全性が大幅に高められていた。
F1に限らず、1960年代のモータースポーツではマシン出火アクシデントが頻発していたため、耐火性スーツ開発が始まっていた。そして1963年に、FIAが耐火性スーツに関する最初のルールを制定した。
当時のNASCARドライバー、ビル・シンプソンNASA宇宙飛行士ピート・コンラッドの紹介でNomex素材をレーシングスーツに応用したことがきっかけとなり、耐火能力を備えたレーシングスーツが初めてモータースポーツ界に登場した。
Debonair 'Flying Scot' Jackie Stewart – a three-time world champion – embodied all that was cool about F1 in the swinging '60s and he looked impossibly cool in his trademark race suit.

1960年代後半〜1970年代前半:ジャッキー・スチュワート

© John Smisson

1976年:ニキ・ラウダ

FIAは1975年に耐火性スーツに関する安全基準を導入していた。
しかし、ニキ・ラウダが重傷を負った1976シーズンのニュルブルクリンクでのクラッシュが、コットン素材を用いたレーシングスーツは依然として耐火能力に大きな問題を抱えているという事実を明らかにした。
ラウダのクラッシュをきっかけに、ドライバーとチームは安全性向上に関する議論を真剣に行うようになった。
そしてそれから数年後の1979年、ラウダやマリオ・アンドレッティといった当時のトップドライバーたちはNASA宇宙飛行士が着用していたスーツと同じ素材・規格を用いた5層レイヤーのレーシングスーツを着用するようになったが、これはまだ重く、快適性も低かった。
The suit worn by three-time Austrian F1 legend Niki Lauda is iconic for two reasons: it looks super cool and, after the 1976 fire that almost killed Lauda, race suits changed forever.

1970年代:ニキ・ラウダ

© John Smisson

1987年:アイルトン・セナ

1986年に改定されたFIAの安全基準に準じて製作されたアイルトン・セナの1987シーズン用レーシングスーツは、F1史に残るアイコニックなアイテムだ。
このレーシングスーツに身を包んだセナは、Lotus Honda 99Tを駆ってTeam Lotusにとって最後となるモナコGP優勝をプレゼントした他、1987シーズンを通じて計7回の表彰台フィニッシュを飾り、翌1988シーズンの初戴冠を含む通算3度のワールドチャンピオン獲得への足がかりを作った。
ビビッドだがクールなこのイエローのレーシングスーツは、1980年代のF1用レーシングスーツの典型だった。所狭しと貼られたチームやスポンサーのワッペン着心地を悪くしていた上に重量増に繋がっていたはずだ。
もちろん、2006年以降F1を去ったタバコスポンサーのロゴはまだ健在だ。また、クラッシュ時のドライバーをコックピットから引き上げて救出するため、頑丈なエポレットが肩部に取り付けられている。
1987シーズンのモナコGP優勝時にセナが着用していたこのレーシングスーツは、直近のオークションで38,400ユーロ(約490万円)で落札されている。
Maybe the coolest race suit of all time is this eye-popping yellow uniform worn by Brazil's Ayrton Senna during his time with the Lotus prior to becoming a three-time world champion.

1980年代:アイルトン・セナ

© John Smisson

2018年:マックス・フェルスタッペン

マックス・フェルスタッペンが着用している2018シーズン用レーシングスーツは、現代のドライバーやピットクルーが着用するウェアの典型と言えるだろう(1994シーズン以降、FIAはピットクルーが着用するウェアについてもドライバー同様の安全基準を設けている)。
現代のレーシングスーツ開発におけるチャレンジは、防護性快適性の最大化だ。
5層レイヤーの重い耐火素材はとっくに過去のものとなっており、現在は軽量で透湿性の高いNomex繊維を用いた素材が使用されている。
尚、この素材は複数回の洗濯・乾燥テストや、600℃〜800℃の厳格な耐火試験にパスする必要があるが、素材だけではなく、ジッパーやグローブ、ソックス、それらを縫合する糸など、スーツの全てが厳しい耐火試験にパスする必要がある。
また、レーシングスーツに施されるスポンサーロゴも、軽量性と快適性をさらに追求するためプリントに置き換えられている。
As of 2018, this is what Red Bull Racing drivers such as Netherlands' rising star Max Verstappen are kitted out in. Looks good.

2018年:マックス・フェルスタッペン

© John Smisson

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