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2019年2月22日、『マスエフェクト』シリーズや『Star Wars: Knights of the Old Republic』などで知られるデベロッパーBioWareが、マルチプレイヤーアクションRPG『Anthem』をリリースする。
このゲームのプレイヤーは "フリーランサー" となって文明崩壊後の惑星を旅するのだが、全員がジャベリン・エグゾスーツと呼ばれる特殊な能力が備わっているロボットタイプの強化外骨格を装着することになる。
このジャベリン・エグゾスーツには4タイプが用意されている。1つ目は万能型のレンジャー、2つ目が高火力攻撃と防御に優れたいわゆる “タンク” 型のコロッサス、3つ目が長距離攻撃とサポートに特化したストーム、そして、最後がスピードと近距離攻撃に特化しておりヒット&アウェイを得意とするインターセプターとなっている。
『Anthem』関連の記事を執筆しているライターがジャベリン・エグゾスーツに触れる時に最も良く使っている比較対象が “アイアンマン” だ。トニー・スタークのように、『Anthem』のプレイヤーも自由にカスタマイズした複数のジャベリン・エグゾスーツを所有することが可能で、状況・戦況に応じて切り替えて装着する。
しかし、『Anthem』のインスピレーションの源はアメコミだけではない。BioWareの最新作は、日本のロボットアニメから派生した、長い歴史を持つメカ系ビデオゲームからもインスピレーションを得ている。
巨大ロボットが登場する日本のアニメ『機動戦士ガンダム』(1979年)は、メカ系ビデオゲームというジャンルの創設に大きな役目を果たした。
このジャンルの歴史の黎明期に含まれるいくつかの作品はこのアニメシリーズをベースにしており、たとえば、ヴィジュアルノベルとシューターを組み合わせたPCタイトル『機動戦士ガンダム1 ガンダム大地に立つ』が1983年にリリースされた他、同シリーズのファミコンデビューとなる『機動戦士Zガンダム ホットスクランブル』が、1985年にリリースされている。
ある学説は、このような巨大ロボットは第2次世界大戦と都市を壊滅できる規模の大量破壊テクノロジーの引喩だとしている。
この説をベースに考えると、世界中のメディアから高く評価された小島秀夫の『メタルギア』シリーズが上記のテーマに真正面から取り組んでいたのも納得できる。
家庭用コンピューターMSX2でリリースされ、1987年にファミコンへ移植された第1作『メタルギア』は、FOXHOUND隊員ソリッド・スネークが核発射能力を持つ歩行兵器メタルギアの破壊を目指すというストーリーが用意されていた。
『メタルギア』シリーズでは、ロボットやメカは常に敵 – 脆弱な人間が知恵を振り絞って全力で破壊しなければならない巨大な機械装置 − であり続けてきた。
しかし当時は、テクノロジーの限界からこのようなメカやロボットは完全に再現されていなかった。
ここに大きな変化をもたらしたのが、1998年にリリースされたシリーズ第3作『メタルギアソリッド』だった。
この作品には、主人公ソリッド・スネークとメタルギアREX(デザインは新川洋司)の1on1バトルがフィーチャーされていた。また、その後のシリーズ作品にも同様のメカバトルと第2次世界大戦後・冷戦時代のパラノイアや陰謀的要素がフィーチャーされている。
このような作品に登場するメカは全て敵で、血の通わない非人間的存在として描かれている。ここで問題になるのが、「プレイアブルキャラクターとして登場するメカを欧米のプレイヤーたちにどうアピールすれば良いのか?」だ。
実は、小島も2001年にリリースした『ZONE OF THE ENDERS』でこのテーマに取り組んでいる。また、善玉ロボットが活躍する『スーパーロボット大戦』シリーズもその長い歴史から欧米での知名度は高い。しかし、いくつかの例外を除き、『スーパーロボット大戦』シリーズは日本でしかリリースされていない。
良く知られている “海外での成功例” のひとつが、1996年(日本は1995年)にアーケードで稼働した『電脳戦機バーチャロン』(海外名『Virtual-On: Cyber Troopers』)だ。
横並びの筐体2台にプレイヤー2人が座り、それぞれがロボットのパイロットとなって1on1のバトルを楽しむこのゲームは、2本のジョイスティックを動かして自機を操作するのが特徴のひとつだった。この格闘ゲームをアップグレードしたようなゲームはアクセシビリティが非常に高かったことから、のちにセガサターンへ移植された。
尚、現時点で海外展開されているシリーズ最新作は、2003年にPS2でリリースされた『電脳戦機バーチャロン マーズ』となっている(日本ではライトノベルとのコラボタイトル『とある魔術の電脳戦機』が2018年にリリースされている)。
いくつかの欧米の長寿メカ系シリーズは、1990年代から2000年代、そして2010年代へとスムーズに移行しながら、それなりにヒットを生み出してきた。たとえば、『BattleTech』シリーズはテーブルトップのボードゲームとしてスタートしたあと、ビデオゲームへ移植され、複数のタイトルで成功を収めている。
このようなシリーズの中で最も新しく、最も良く知られているのが、2018年4月にリリースされたターン制ストラテジータイトル『BattleTech』と、2019年9月のリリースが予定されている『MechWarrior 5: Mercenaries』だ。『MechWarrior』シリーズは1989年から続いており、第1作はMS-DOSでリリースされた。
2010年代は、メカ系ビデオゲームというジャンルを確立させるための試みが数多く行われている。たとえば、基本プレイ無料のFPSメカアクション『HAWKEN』が2012年にリリースされた。メディアから高く評価されたこの作品には、3タイプのメカが用意され、全タイプの改造・カスタマイズが可能だったが、2018年に最後のPCサーバーがシャットダウンされた。
また、2014年にリリースされた『Titanfall』はマルチプレイヤーシューターとして世界的にヒットした。プレイヤーはパイロットとして巨大メカに自由に乗り込み、他のメカの弱点を攻撃するスピーディなマルチプレイが話題となった。続編の『Titanfall 2』も高く評価されたが、オンラインマルチプレイヤータイトルの流行から生存競争が厳しくなっていた関係で、期待されていたほど売れなかった。
生存競争 – ここで再び『Anthem』に立ち返ろう。
ジャベリン・エグゾスーツが “メカ” なのかどうかは、個人の解釈と語義によって変わってくるが、このゲームには、数十年続いてきたメカ系ビデオゲームの特徴が全て備わっている。問われるのは、以下のような生存能力に関する部分になるはずだ。
『Anthem』は現在リリースされている他のライバル作品とは大きく異なる特徴を打ち出せるのだろうか? ジャベリン・エグゾスーツはカスタマイズオプションが豊富に用意され、4タイプの違いは明確なものになるのだろうか? メカに人間味を感じ、感情移入できる魅力的なストーリーが用意されるのだろうか?
これまでの情報から判断する限り、『Anthem』がこれら全ての疑問に「イエス」と回答してくれる確率は高そうだ。
また、BioWareは『Anthem』を長期的にサポートする心づもりのように思える。彼らは、最低10年はこのゲームを積極的にサポートする予定でいる。「常時接続」なので、プレイヤーのニーズにほぼリアルタイムで応えることも可能だろう。
『Anthem』は1月25日から先行予約限定のVIP試用版がリリースされており、2月1日には全プラットフォームで通常のデモ版がリリースされる。ジャベリン・エグゾスーツを装着できる日は、もうそこまで迫っている。
『Anthem』はPS4・Xbox One・PCで2月22日にリリース予定。
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