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EAが脱獄をテーマにしたオフラインCo-opタイトル『A Way Out』をリリースしたが、このゲームが話題になるまで、オフラインCo-opは忘却の彼方へ向かおうとしていた。
気の合う仲間とお気に入りのソファに座り、共闘したり、対決したりを何時間も楽しんでいた時代がかつて存在したが、最近のマルチプレイヤーと言えば、そのほとんどがオンライン専用だ。
オンラインCo-opはプレイヤーにゲームをより自由かつ柔軟に楽しめるチャンスを与えているが、難しいチャレンジをクリアして "ハイファイブ" する物理的な喜びを消してしまっている。
『A Way Out』がきっかけでそのノスタルジアが静かに復活しつつある現状を受け、今回はクラシックな2D横スクロールアクション、ハードコアシューター、隠れた名作など、プレイしておきたいオフラインCo-opタイトルをリストアップした。
『ベア・ナックル』
今回のリストは、SEGAのクラシックゲーム機でリリースされたタイトルだけで終わらせることも可能だったが、多様性を持たせるために1本だけを選ぶことにした。しかし、それは簡単な作業ではなかった。なぜなら、『ベア・ナックル』シリーズと『ゴールデンアックス』シリーズがオフラインCo-opの歴史に燦然と輝いているからだ。
しかし今回は、1990年代初頭にリリースされ、世界中のプレイヤーにオフラインCo-opの楽しさを教えることになった『ベア・ナックル』を紹介することにした。
プレイヤーは、ステージ内のオブジェクトを破壊して体力回復アイテムを回収しながら(電話ボックスにリンゴが入っているのは今でも不思議だ)パンチ、キック、投げで迫り来る敵を倒していく。
最高のサウンドトラック、痛快なアクション、そして思わずブーイングしたくなる悪役Mr. Xを揃えているこのタイトルは今プレイしても面白い。『ベア・ナックル』をプレイした経験を持つ人は多いはずだが、未経験の人は、メガドライブを手に入れて友人を誘ってプレイするべきだ。最高のオフラインCo-opが待っている。
『ダイナマイト刑事』
アーケードで稼働されたあと、辛酸をなめ続けたセガサターンでリリースされた(のちにPS2版もリリースされた)『ダイナマイト刑事』は、今回リストアップされているタイトルの中では比較的知名度が低いかもしれない。
しかし、当時このゲームをプレイしていた人は、このゲームが提供していたオフラインCo-opのピュアな魅力を昨日のことのように憶えているはずだ。
映画『ダイハード』シリーズをベースに3種類のゲームプレイをひとつにまとめたPS1のヒットタイトル『Die Hard Trilogy』と同じ年にリリースされた『ダイナマイト刑事』は、よりシンプルな3Dアクションで、プレイヤーは粗く描かれた主人公ブルーノ・デリンジャー(海外版は『Die Hard Arcade』としてリリースされたため、ジョン・マクレーンとして登場)と相棒のシンディ・ホリデイ(海外版はクリス・トンプソン)のどちらかを選べた。
しかし、このシステムが原因で、当時は攻撃力のある主人公とスピードに優れた相棒のどちらを選ぶかについての議論がソファの上で延々と交わされることになった。
『ダイナマイト刑事』は、荒唐無稽な設定(バイカーや力士など様々な敵から大統領の娘を守る)で、ゲームプレイが不安定になる時もあったが、満足度の高い戦闘、豊富な武器(ロケットランチャーが人気だった)、笑えるクイックタイムイベント(ビジュアルシーン)がそれらを帳消しにしていた。
現在海外ではそれなりの価格(eBayでは約70ドル / 約7300円)で取り引きされているので、手に入れるためにはある程度の出費を覚悟しなければならないが、オフラインCo-opのクラシックタイトルに相応しい満足感が得られるはずだ。
『メタルスラッグ』
『メタルスラッグ』が入っていないオフラインCo-opタイトルのリストは、BFG9000が登場しない『DOOM』のようなもので、「なくても成立するが、重要な何かを無視している」ことになる。
このラン&ガンの傑作シリーズは、スピンオフを含む様々な形で展開されてきたが、多くの人が今でもベストはオリジナルとしている。
今からそう遠くない2028年の世界が舞台に設定されている『メタルスラッグ』では、豊富な種類の銃火器で遠距離の敵をなぎ払いながら、ナイフで近接攻撃を繰り出して奥へ奥へと進んでいく。また、破壊可能なエンバイロンメントが用意されているのも特徴だ。撃ちまくる爽快感を求めている人なら、戦車に乗り込むセクションで最高に楽しい時間が過ごせるだろう。
『メタルスラッグ』シリーズは、設定やストーリーはあまり重要ではない。重要なのは最高の形で提供されているアナーキーなオフラインCo-opアクションだ。
『メタルスラッグ』は、癒やしを求めて地元のアーケードのべたついた床の上を歩き回っていた人の間で最も良く知られているシリーズかもしれないが、家庭用ゲーム機版も数多くリリースされているので、今でも友人とソファに座り、真のオフラインCo-opクラシックの爽快感を楽しめる。
『聖剣伝説2』
つい先日リリースされたフル3Dリメイク『聖剣伝説2 Secret of Mana』がどっちつかずの評価に終わっているので、オリジナルに戻ってその魅力を再確認するには良いタイミングと言えるだろう。
ファミコン時代にリリースされたこのJRPGクラシックは、美しいピクセルアートと当時革新的だった戦闘システムを備えているが、多くのプレイヤーにとって何よりも重要だったのが優秀なオフラインCo-op機能だった。
壮大なRPGを友人と一緒にプレイするというのは、今となってはやや奇妙なアイディアに思えるが(我々としてはいつでもウェルカムだが)、『聖剣伝説2』のオフラインCo-opは見事に機能していた。
2018年のリメイク版にもオフラインCo-opモードは残されているが、その不完全さは、オリジナルのリリース時にこれがいかに新鮮だったのかを引き立てている。好きなタイミングで参加・退出ができた『聖剣伝説2』は、壮大なアドベンチャーの協力してプレイするというゲーミングエクスペリエンスを確かめるにはパーフェクトな1本だった。
オフラインCo-opタイトルの大半が、派手なアクションや合体攻撃を重視していた中で、『聖剣伝説2』はチームワークを違った視点から捉えており、プレイヤーは各キャラクターの長所と短所を把握し、お互いをカバーしながら広大な世界を探索することができた。このユニークさが、このゲームが時を超えて愛されている理由だ。
『タイムスプリッター ~時空の侵略者~』
オフラインCo-opシューターは数多く存在する。『タイムクライシス2』や『ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド』を頭に思い浮かべる人は多いだろう。しかし、我々はこの2タイトルの真の魅力が発揮されるのはソファではなくアーケードだということを知っている。
その中で、オフラインCo-opをソファで存分に楽しめたのが『タイムスプリッター ~時空の侵略者~』だった。
オリジナル(日本未発売)も小規模なストーリーモードながらそれなりのオフラインCo-opが楽しめた良作だったが、このシリーズのハイライトは『タイムスプリッター ~時空の侵略者~』で、『ゴールデンアイ 007』や『パーフェクトダーク』(『タイムスプリッター ~時空の侵略者~』はこの2本を手掛けたスタッフが開発)とは異なる独自の立ち位置を獲得している。
『タイムスプリッター ~時空の侵略者~』には様々な時代を舞台に戦うストーリーモードが備わっており、映画『ブレードランナー』のようなステージ「ネオトーキョー」や西部開発時代を忠実に再現したステージなどがシリーズのコンセプトを見事に表現している。
これらのステージで友人と一緒に多種多様なミッションをこなせたことが、シングルプレイでも豊富な機能とモードが楽しめたこのゲームの魅力をさらに高めていた。クラシックなFPSとオフラインCo-opを同時に楽しみたい人にはマストな1本だ。
『Left 4 Dead』
『タイムスプリッター ~時空の侵略者~』と同じく、『Left 4 Dead』もシューターだが、内容と設定は大きく異なる。
『Left 4 Dead』は、Valveが開発して大成功を収めたマルチプレイヤーホラーシリーズの第1作で、その面白さは、5年ほど前から我々のディスプレイやTV画面を占拠している数多のアポカリプス系ゾンビタイトルの中で群を抜いている。
設定は非常にシンプルで、4人のプレイヤーキャラクターの中から好みのルックスのキャラクターを選び、偶然にも世界中の人々をゾンビに変えているウイルスに免疫がある彼らをサバイブさせるだけだ。
このように設定こそシンプルな『Left 4 Dead』だが、画面分割オフラインCo-opでは最高にスリリングなアクションが楽しめる。
バラエティに富んだステージ、仲間がひとりでも死ねば直前のチェックポイントまで戻されてしまうというシステム、そして治療キットを仲間にも使えるという機能が、"協力プレイ" の重要性を高めている。感染者が大量に押し寄せてくる危険が常にある中でサバイブしなければならないことを踏まえると、その重要性はさらに高まる。
また、感染者が、よろよろと歩く "ゾンビ" とは異なり、怒り狂って走り回る "獣" のような存在として描かれているのも、このゲームの緊張感を高めることに貢献している。さらには、とんでもなく厄介な敵(特にウィッチ!)にいつ襲われるか分からない恐怖も常にある。『Left 4 Dead』は最も魅力的なオフラインCo-opが楽しめるゲームのひとつだ。
『TowerFall Ascension』
『TowerFall Ascension』はデスマッチ系プラットフォームマルチプレイヤータイトル、つまり、ステージ内に仕掛けられている様々なトラップをかわしながら友人を出し抜くゲームとして知られているかもしれないが(言っておくが、説明以上に楽しいゲームだ)、オフラインCo-opのクエストモードも実に素晴らしいので無視してはいけない。
デベロッパーのMatt Makes Gamesは先日最新作『Celeste』をリリースして高評価を得ているが、同レベルの難度と魅力を備えている2Dアドベンチャー『TowerFall Ascension』は、友人とプレイしてこそのゲームだ。
『TowerFall Ascension』は、矢1本だけで敵を倒さなければならず、再び矢を使うためには、放ったあとにその矢を拾わなければならない。このようなトリッキーな設定で大きな助けになってくれるのが友人の存在だ。
このゲームでは友人と一緒に何回も死ぬことになる。お互いの射線に入らないように気をつけていてもちょっとしたミスで死んでしまうので、コントローラーを投げつける数も多い。
しかし、高難度とレトロなグラフィックスを求めている人にとっては、オフラインCo-opが当たり前で、ビデオゲームの楽しみ方のひとつだったあの時代へ戻れる最高の1本だ。
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