Gaming
ひとりのロボット戦士が、謎に包まれた巨大な岩山を目指してコミックブック的な砂嵐の中をゆっくりと進んでいく。その岩山に入ると、奥の暗闇からその岩山を掴めるほど巨大な手が現れる。そしてその手の持ち主であるクリーチャーは、まるで先に待つ危険を教えようとするかのごとくロボット戦士を見つめる…。
上記は今夏にNintendo SwitchとPCでのリリースが予定されている(デベロッパーのFlight SchoolはPS4版とXbox One版のリリースも予定しているが、Switch版とPC版のリリース後の判断になるとしている。日本版は2019年4月現在未定)ピンボール&ダンジョン探索ゲーム『Creature in the Well』のオープニングシーンの概要だが、我々はこのようなゲームを一度も観たことがない。
『Creature in the Well』は、『ハイパーライトドリフター』の世界観と複数のマップを組み合わせてひとつの巨大なピンボールマシンにしたようなゲームで、そのイメージをひとことで説明するのは簡単ではないが、デザイナーのAdam Volkerは次のようにシンプルに表現している。
「正直『ロケットリーグ』との共通点が多いと思います。“風変わりな物でボールを操作する” からです」
「ただ『ロケットリーグ』はクルマでボールを蹴りますが、『Creature in the Well』では剣でボールを操作します。僕たちは、『ロケットリーグ』のように “バイオレンスではない何か” でボールを操作できたら面白いのではないかと考えたんです」
「この『Creature in the Well』の剣はボールを操作するためだけに存在します」
VolkerはBohdon Sayreとコンビを組んで『Creature in the Well』の開発を続けている。彼らが所属するデベロッパーFlight Schoolは、モントリオール、ダラス、ハリウッドに拠点を持つ。
『Creature in the Well』は時間と共に成長してきたゲームだが、「ピンボール&ダンジョン探索」というコアアイディアは開発スタート直後からブレていない。
ユニークなアイディアの源泉
とはいえ、『Creature in the Well』は最初から不気味なムードを擁していたわけではなかった。当初は複数のプレイヤーがエアホッケーのようにボールを打ち合うマルチプレイヤーエクスペリエンスが重視されていた。Volkerが話を続ける。
「最初は『フライングパワーディスク』のようなプロトタイプを開発したんです。それを開発したあとで現在のような世界観を用意した僕たちは、このゲームをシングルプレイヤー用として開発していきました。ピンボールの要素とパズルの要素を追加しました」
VolkerとSayreによる『Creature in the Well』プロトタイプ開発プロセスは、新しいアイディアを順次追加していくアプローチで進んでいった。彼らは定期的に別の要素やシステムをテストし、それらの実用性を判断していった。Volkerが続ける。
「プロトタイプ開発では常に色々なアイディアを試していて、色々な要素を考えています。自分たちで面白いと思える様々なアイディアを用意しています」
『Creature in the Well』の大部分は、VolkerとSayreの日常生活や2人が得たインスピレーションをいくつも組み合わせた結果だ。
たとえば、砂漠の世界観は2人のテキサス時代から生まれたもので、コミックブックのようなヴィジュアルはVolkerのコミック『ヘルボーイ』の生みの親Mike Mignolaのアートスタイルへのリスペクトから生まれたものだ。また、ナラティブに関しては、複数のシステムをテストしていく中でゆっくりと組まれていった。
Volkerが説明する。
「あの『ゼルダの伝説』シリーズのようなトップダウン型になることは最初から分かっていました。ナラティブについては、プロトタイプ開発のアプローチに沿って、ひとつずつ作っていきました。“岩山を舞台にしたゲームはどのような内容にするべきだろうか?” と考え、相応しいナラティブを用意していきました」
このような細かい部分がゲーム全体をゆっくりと変えていった。
元々はリプレイバリューを高めるためにプロシージャル(自動生成)なダンジョンが用意されていた。『Dead Cells』をプレイしていた2人は、同じようにランダムに生成されるマップを組み込みたいと考えたのだ。
しかし、最終的には自分たちでデザインした8種類のマップを組み込むことにした。当然仕事量は増えることになったが、全てを自力でデザインしたことで、2人はキャラクターが使用できるツールの種類を増やせる自由を得られた。Volkerが続ける。
「長時間楽しんでもらいたいという理由から最初はプロシージャル機能を試しましたが、結局外しました。今のバージョンには、特定の武器に対応するダンジョンが複数用意されています。たとえば、斧が用意されているダンジョンでは、ボールを細かく切り刻めます」
現時点の『Creature in the Well』には15種類の武器が用意されており、武器ごとに異なるプレイスタイルを楽しめるようになっている。
ボールをどんどん小さく切っていく斧の他にも、レーザーサイトでエイムできるデュアルブレードや複数のボールを扱える武器、ボールをスピードアップできる武器などが用意されている。時間をスローダウンさせるハンマーもある。
セサミストリート
『Creature in the Well』のデモを3回プレイした我々に最も大きな印象を残したのが、ゲーム全体と敵(岩山に棲む巨大なクリーチャー)が醸し出す不気味な雰囲気だ。
このゲームのヴィジュアルは非常にカラフルだが、プレイヤーが進むダンジョンにはある種の恐怖が感じられる。
しかし、この不気味な雰囲気は最初から考えられていたものではなかった。クリーチャーデザインも、元々は『セサミストリート』からインスパイアされたものだった。Volkerが説明する。
「NPCについてのブレインストーミング中に、 “オスカー・ザ・グラウチ” からヒントを得たんです」
「ゲームに収録する複数のキャラクターを考えていたのですが、その時にオスカーなら暗闇から何かが姿を現すストーリーにハマるねという話になったんです。そこから不気味なクリーチャーのアイディアが膨らんでいきました」
8つのダンジョンを進むプレイヤーの敵となる巨大なクリーチャーは、あのゴミ箱に棲む緑のマペットから生まれたのだ。しかし、どこか間抜けなオスカーとは異なり、『Creature in the Well』のクリーチャーはひたすら怖い。
『Creature in the Well』の岩山にある8つのダンジョンは、巨大な天候コントロールマシンと繋がっている。このマシンをオンにするために必要なツールを各ダンジョンで手に入れることがプレイヤーの目的だ。
また、ゲーム内には、休息や武器のアップグレード、そしてオスカーのような他のキャラクターからインスピレーションを得てデザインされた住民との会話などが行える小さな村も用意されている。
トカゲの鍛治屋を含むNPCキャラクターの初期デザインをいくつか見せてくれたVolkerは、『Creature in the Well』の村にはこのような人間以外の生物をモチーフにしたキャラクターが生活しているとしている。
『Creature in the Well』については、トレイラーと今回我々がプレイしたデモ、そしてVolkerとSayreがシェアしてくれた情報しか明らかになっていないが、リリースが楽しみなゲームということは断言して良さそうだ。
『Creature in the Well』はNintendo Switch・PCで2019年夏にリリース予定。
Twitterアカウント@RedBullGamingJPとFacebookページをフォローして、ビデオゲームやesportsの最新情報をゲットしよう!