Gaming
eスポーツフォトグラファー・大須晶氏の個展"FIGHTING GAME COMMUNITY"(※)を、本人のインタビューコメントとともに振り返ってきた本企画も今回で最終回。
【※ "FIGHTING GAME COMMUNITY"……東京・中野にあるRed Bull Gaming Sphere Tokyoにて、2019年2月1日(金)~2月28日(金)の期間限定で開催された世界初の格闘ゲーマー写真展。クラウドファンディングの後押しを受け、2019年内に関西エリアでも開催予定】
最終回となるVol.3では、アメリカ・ラスベガスにて毎年開催されている世界最大の格闘ゲームトーナメント"EVO"でのショットを、年代別にまとめてお届けしていく。
なお、Vol.1・Vol.2(下記、リンク)では、国内外で開催された大小さまざまな大会の写真によせて、大須氏のコミュニティに対する想いや、格闘ゲーマーを撮り続ける理由について語ってもらっている。まだご覧になっていない方は、ぜひそちらもチェックしてもらえれば幸いだ。
◆【EVO2014】会場一体となって白熱するコミュニティ同士の戦い
"EVO2014"最大のトピックといえば、『ウルトラストリートファイターIV(以下、ウルIV)』部門でLuffyが優勝を果たしたことだろう。
シリーズ初となるヨーロッパ人"EVO"チャンプの誕生により、以後欧州勢はアジア・アメリカに続く第3の強豪勢力として注目されるようになる。
また、『BLAZBLUE CHRONOPHANTASMA』のグランドファイナルにてくり広げられた、どぐら、ガリレオの死闘も印象深いところだ。
"EVO2014"、『ウルIV』部門のグランドファイナルにて激突したLuffyとボンちゃん(写真1枚目)。お互いのアマチュア時代を写した貴重な写真だ。
当時の"EVO"はまだ取材の規制も緩く、プレスパスさえ身に着けていれば壇上からプレイヤーを撮影することも黙認されていたのだとか。
その決戦を正面から、なおかつ大須氏ならではの画角で収めたショットには、当時の熱狂ぶりがそのまま残されている。
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「にゃん師さんを筆頭に、一生懸命ボンちゃんを応援する友達たち。一方でLuffyサイドの応援団もすごい熱量だったので、見応えがありました。コミュニティ同士の戦いですよね。"争い"ではなく"戦い"と言いたくなるような、正々堂々としたぶつかり合いなのがよかった」(大須)
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◆【EVO2015】出場したすべてのプレイヤーにドラマがある
翌年に『ストリートファイターV(以下、スト5)』のリリースを控え、『ウルIV』が使用される最後の回となった"EVO2015"。
この年の『ウルIV』部門では、ももちが優勝。グランドファイナルでのGamerBeeとの一戦では機材トラブルに見舞われたものの、フルセットを制し頂点に立った。
また、本大会の『Guilty Gear Xrd -SIGN-』部門にて、オシゲの"幻のガッツポーズ"(下の動画の0:51~)が飛び出したのも大きな話題のひとつだ。
世界最高峰の舞台である"EVO"は、各国有数のプロプレイヤーが一堂に会する点ではもちろん、その裾野の広さも特色と言える。
近年は『ストリートファイター』シリーズ部門だけでも何千人というエントリー数を集めており、アマチュアプレイヤーが名だたる強豪を打倒することも少なくない。
グラビアアイドルとして活動する傍ら、熱烈な格闘ゲーマーとしても知られる倉持由香の勝利の瞬間を収めたショット(写真最下段)は、そんな"EVO"ならではのドラマがたっぷりと詰まっている。
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「普段はクール目に寄せているぶん、こういった写真はあまり撮らないのですが、これはもう、倉持由香さんが文句なしに勝った瞬間だったので。写真下には彼女の友達の吉田早希さんがいるし、横にはまるで女子のように喜ぶ板橋ザンギエフもいる(笑)。本当にキャプションがいらないくらいの、ハッピーな写真ですよね」(大須)
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◆【EVO2016】ホームの追い風を受けて躍動するアメリカ勢
毎年3日間にわたり開催される"EVO"。2016年より、大会最終日の舞台はラスベガスでも有数の高級ホテル"マンダレイベイ・リゾートアンドカジノ"に移行。
同ホテル内のイベントセンターは"格闘技界の殿堂"として名高い由緒あるアリーナであり、決勝の模様は米大手スポーツテレビ局"ESPN 2"でも生中継された。
またこの年は『スト5』の発売後、初の"EVO"ということで、初代王者を巡る戦いも注目が集まることに。
ホームの期待と声援を一身に背負うアメリカ人プレイヤーたちは、"EVO"で最も警戒すべき相手だ。
彼らがひとたび壇上に現れれば、会場がまたたく間に「U・S・A」コールに包まれることも少なくない。
大須氏は、中でも「大好きなプレイヤー」として、アメリカを拠点に活動するPR Balrog(写真最下段)の名前を挙げた。
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「PR Balrogは、喜怒哀楽をハッキリと出す陽気な選手。けれども試合のときはすごくかっこいいので、そんなメリハリが好きですね。本当に、純粋にゲームを楽しんでいることがこちらにも伝わってくるので応援したくなりますし、撮っていてもおもしろい人です」(大須)
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◆【EVO2017】世紀の日米対決を戦い抜いた日本人プレイヤーたち
"EVO2017"と言えば、やはり『スト5』部門グランドファイナルでのPunk対ときどの一戦が印象深い。
アメリカの超新星・Punkの正確無比なコンピューターの如きプレイングを、東大卒プロゲーマー・ときどの攻略と情熱が上回ったあの瞬間は、未だ多くの格闘ゲームファンによって語り継がれている。
この年の『スト5』部門トップ8には、日本勢5名とアメリカ勢3名が進出。図らずも日米対決の様相を呈する。
大須氏は、MOV、ハイタニ、板橋ザンギエフ、ときどの写真を順にピックアップし、彼らについての印象や撮影の裏側を明かしてくれた。
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「MOV(写真1枚目)はクールなように見えてかなり感情を表に出す選手なので、今回の写真展ではウェットなシーンを使うか喜んでいるシーンを使うか、かなり悩んだんです。ただやはり、MOVは人一倍悲しむ男なので。方向性は違いますけど、要はときどと同じくらい"格ゲーに懸けている"人間ですよね。
ハイタニ(写真2枚目)の写真に関しては、もう言うことがないです。単純に、"ハイタニのかっこよさを突き詰めたらこうなりました"という写真。けれども、ちゃんと結婚指輪をしているという部分には彼の人柄が出ていると思います。
一方で、板橋ザンギエフ(写真3枚目)。彼は"EVO"の壇上で、しかもPunkのような超強豪と当たってもつねに楽しそうにプレイしているという(笑)。彼は選手としてよく勝ち上がりますし、しかも大会中ホットな場面に必ずいるので被写体の中に入っている率が高いです(笑)。
ときど(写真4枚目)については、これが撮れたから今回の写真展をやるに至ったまである、という写真ですね。初め、ときどに「撮らせて!」と声を掛けたら"ゲッツ"のようなおちゃらけたポーズを取ったんです。しかしその後、すぐに背を向けてこのパフォーマンス。これが自然と出てくるところに、"人に見られている"というのをわかっている彼のプロフェッショナルな部分を感じますね」(大須)
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どの写真にフォーカスしたとしても、自然と被写体本人の内面まで掘り下げてくれる大須氏。
それほどまでに、同氏にとってプレイヤー愛と写真を撮るという行為はシームレスな関係性にあるのだろう。
◆【EVO2018】絶対王者など存在し得ない世界でくり広げられるサバイバル
前大会覇者のときどは、ルーザーズ(敗者復活)トーナメントを勝ち上がり、GFでイギリス人プレイヤーのProblem Xと激突する。
誰もが"EVO2017"でのときどの劇的勝利を彷彿する中、なお攻勢を増したProblem Xがそのプレッシャーを跳ね除けて優勝。ヨーロッパ勢に4年ぶりとなる栄冠をもたらした。
ウメハラが"EVO2009"、"EVO2010"と連続優勝を果たして以降、2018年に至るまで『ストリートファイター』シリーズ部門に連覇達成者は現れていない。
"EVO2018"でのProblem Xの華々しい優勝シーン(写真最下段)の裏で、スクリーンに映り込んでいたときどの表情は、そんなトーナメントシーンの過酷さを物語る。
最後に、改めて大須氏に格闘ゲーマーたちへとカメラを向ける魅力について聞くと、こんな答えが返ってきた。
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「いまでも生き残っているトッププレイヤーたちは、みんな"eスポーツ"がブームになる前から飽きもせず続けてきた連中ばかりじゃないですか。いい意味でクレイジーな連中が揃ってるので、撮っていて飽きないです(笑)」(大須)
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さて、3回に渡ってお届けしてきた、大須晶氏のweb写真館はこれにて完結となる。
くり返しになるが、同氏の写真展"FIGHTING GAME COMMUNITY"はクラウドファンディングで驚異の達成率350%超えを果たし、2019年内に関西エリアでも開催予定だ。
現地では、大須氏肝入りの最高品質"ラムダプリント"によって出力された大判写真を心ゆくまで鑑賞可能とのこと。ぜひ興味のある人は、会場に足を運んでみて欲しい。
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